Jリートとは?株や現物不動産投資との違いや銘柄選びのコツを解説

Jリート
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「値上がり益もいいけど、出来れば安定して配当金が入ってくる投資がいいなぁ」と思う事はありませんか?
Jリート(不動産投資信託)は安定的な配当に魅力がある投資商品です。

不動産に投資を行い、配当金の分配原資がテナントの賃料を元にしているため、業績が変動しやすい企業の株式に投資するのと比べて分配金に安定性があるとされています。

また不動産に対して投資をするため、株式市場全体とは違った値動きをする傾向があります。
そのため投資を行う際、どの金融商品を組み合わせて購入するかを検討する、つまりポートフォリオを組む際のリスク分散のために、Jリートは有効な選択肢となるのです。

この記事では、まだJリートの事がよく分からないけれど投資対象として検討してみたい、という方向けに、Jリートの解説から選び方までお伝えさせていただきます。
そして、現物不動産への投資との違いについても述べさせていただきますので、この記事をきっかけに不動産への投資について興味を持っていただければ幸いです。


1.Jリートとは

Jリート(J-REIT)とは、多くの投資家から集めた資金で、オフィスビルや商業施設、住居など複数の不動産を購入し、そこから生じる賃貸収入売却益を投資家に分配する商品です。

REITはアメリカで生まれ、「Real Estate Investment Trust」(不動産投資信託)の頭文字をとっています。日本版はJAPANのJをつけてJ-REITと呼ばれます。

1.1.Jリートの仕組み

Jリートの仕組み

JREITは投資信託の仲間ですが、証券取引所に上場されており、取引所を通じて売買ができます。そのため個別株式とよく似ています。

投資家は不動産を保有、運用している不動産投資法人に対して投資を行います。投資法人は不動産の運用を行い、得られた収益(主に賃貸による収益、売買による収益)を投資家に分配金として支払います。

全体的に、個別株式と性質は似ていますが、使われる用語や商品性には違いがあります。

Jリートと株の違い

1.2.他の投資商品との違い

JREITは他の投資商品とどんな点で異なっているのかを見ていきます。主な特徴は

  • 分配金目当てに投資されることが多い
  • 不動産に投資するため、景気変動の影響を受けにくい部分がある
  • 現物の不動産と違って売買が楽
  • 現物の不動産と違ってレバレッジ効果を得にくい

などがありますが、他の投資商品との比較を通じてこれらの特徴を掴んでいきましょう。

株式との違い

JREITは株式投資と似ています。ネット証券などを通じて購入してみると分かりますが、手続き上で異なる点はほぼありません。JREITは投資法人が利益を出す手法が不動産に限られているという点、つまり投資対象が違うというのが異なる点です。

また、一般の個人投資家が株式やJREITに投資する目的は

  • 値上がり益
  • 配当金(分配金)
  • 株主優待(投資主優待)

の3つに大きく分けられます(大きなお金を運用する場合には、経営参加が目的となることもあります)。投資商品としての違いは、この3つの目的の中でどれを一番重視するのか、つまり投資のスタンスが一番の違いです。

JREITは、運用利益の90%超を分配金として投資家に分配すると、法人税が実質的に免除される仕組みがあることから、分配金が多い傾向にあります。そのため投資のスタンスも長期保有して分配金を受け取るものになることが一般的です。

JAPAN-REIT.COMが発表している2019年版 J-REIT個人投資家アンケート調査結果では、「J-REIT投資を始めた理由は?」という質問に対し回答者の86%が「分配金利回りが高い」を挙げるなど、分配金を求めて投資されるものであることが分かります。

対して株式は、上記で上げた3つの目的の内、どの点が重要視されて投資されているのかがJREITに比べて分散しています。日本証券業協会による「証券投資に関する全国調査(平成30年)」では、株式の購入理由を調査していますが、多い回答が上から順番に「配当がもらえる」(52.3%)、「株主優待が受けられる」(36.2%)、「短期の値上がり益を期待して」(32.5%)と並びます。

少し前までは「株は値上がり期待、REITは分配金期待」と整理されていましたが、近年は高配当株や有料優待株に注目が集まるようになっているため、上記のような整理となるのです。

ポイントとして、短期の売買を繰り返して売却益を狙うのであれば、Jリートは向いていません。Jリートの投資目的が分配金利回りの高さである以上、分配金利回りが下がること、つまり価格が上がることに対して反対のベクトルに力が働くからです。そのためJリートの価格は急激に上がることが少ないため、売却益を狙うのには向いていない、という結論になるのです。

投資の目的

投資信託との違い

投資信託の大半は株式や債券などの有価証券をメインの運用対象資産としています。一方でREITは不動産のみを対象としている事が違いです。
他にファンドへの投資方法、運用資産の管理の仕方などの仕組みも異なっています。
不動産に絞って投資する場合はJREIT、他の業界も含めて投資をしたい場合は投資信託を選ぶと良いでしょう。

また、JREITの場合は証券会社が受け付けている時間であれば即時の売買が可能ですが、投資信託はクローズド期間があるため換金までに2週間程度まで時間がかかることがあります。

現物の不動産投資との違い

現物の不動産投資との違いは主に5点です。

Jリートと現物不動産投資の違い

以上の性質から、少額で手軽に不動産投資をしたいという方はREITが、ある程度固定して投資できる資金があり、自分で運営を工夫したり金融機関からの借入を利用してレバレッジを効かせたりなどをして多くの利益を得たい方は現物不動産が向いていると言えます。

1.3.Jリートの種類

一般的にJREITは、投資対象の物件の用途によって種類分けされます。物件用途は主に以下の6種類があり、2種類の用途の不動産を組み入れている物を複合型、3種類以上を組み入れている物を統合型と呼びます。

Jリートの種類

こちらのページで、全てのJREITの銘柄の利回りや投資口価格を閲覧することが可能です。
参考:JAPAN-REIT.COM – 全ての投資家のための不動産投信情報ポータル REIT一覧(リートデータ)

特徴欄を見ると分かるように、どの型のリートに投資するかによって投資の結果に関する傾向も異なります。具体的な選び方は4章で解説します。


2.ポートフォリオにJリートを組み込むメリット

JREITは、株式や債券、投資信託と複合してポートフォリオに組み込まれることが多くなります。高利回りを狙いながら、分散投資のために投資対象候補として選ばれることが多いという事です。

投資で有名な言葉に「卵は一つのカゴに盛るな」というものがあります。1種類の投資商品に資産を集中させてしまうと、値上がりしたときには大きな利益を得ることができますが、反対に値下がりしたときのリスクが大きくなってしまうため、運用リスクをできるだけ分散させるために多種類に資産を分散して投資すべきだというものです。

JREITは不動産を投資対象としているため、企業の株価とは違った要因で価格や配当利回りが変化します。また、現物不動産とは違い比較的リスクを少なく、少額から始められるため、手軽な分散投資の手段となるのがメリットです。

卵は一つのカゴに盛るな


3.Jリートをポートフォリオに組み込んだ方が良い人

Jリートをポートフォリオに組み込んだ方が良い人は以下のような方となります。

  • 1億円以上など多くの金融資産を既に持っており、増やすというより安定的に運用したい
  • 毎日値動きを追うのが苦痛な方

これらの方は、値動きが比較的緩やかで分配金が安定的に入る傾向にあるJリートを積極的に組み込んだ方が良いでしょう。

また、

  • 特定の分野の不動産が値上がり、もしくは高稼働するという予測に自信がある方

こちらもJリートを検討しても良いかも知れません。例えば「現在はコロナ禍でホテルの稼働状況は悪いが、今後は必ず好転してみんながホテルに泊まるようになるはずだ」と予測するならば、ホテル系のリートを購入する、という形です。
ただ、予想を当てるのはそれなりに難易度が高く、また当たっていたとしても実際の値上がりや分配金の増加までには時間がかかることも多いため、その点は注意が必要です。

反対に、

  • 短期で売却益を狙いたい
  • 資産を一気に増やしたい

という方はJリートをポートフォリオに入れるのはお勧めできません。繰り返しになりますが、短期の売却益を狙うにはJリートは適していないので注意が必要です。

また、

  • 10万円未満で積み立て投資がしたい

という方も、10万円未満で購入できるJリートの銘柄は少ないので、購入の選択肢が限定されることを認識しておきましょう。
ただし、Jリートそのものでなく、Jリートの指数に連動するETFであれば、少額からの購入ができますので、少ない金額でリートに投資したいという方はこちらも検討してみましょう。

少額ならETF


4.Jリートの選び方

この章では、初心者の方向けに「どのような観点でJリートの銘柄を選ぶべきか?」についてお伝えします。

4.1.利回りで選ぶ

分配金の利回りで選ぶのが第一の観点です。前述の通りJREITは高い分配金利回りを目的に購入されるケースが多いため、利回りの高い銘柄の方が理論上は値下がりしにくいと言えます。
2021年4月現在の利回りですと、5%以上の銘柄がいくつかあり、4%台のものもあるので、これらを中心に選ぶと良いでしょう。

4.2.組み入れ資産の種類で選ぶ

今後需要が大きくなると考えられる種類(用途)の不動産で選ぶことと、実際の組み入れ資産を調査し将来性を考慮して選ぶことの2通りが考えられます。
後者については不動産個別の分析となり、素人が判断することは難しいです。しかし、前者のように用途で選ぶことについては、例えば昨今のコロナ禍においてはホテルの需要が減りロジスティクス(倉庫)の需要が増えるなど、予想が可能であるとも言えます。最終的に自分なりの予想が当たるかどうかは分かりませんが、このように用途で選ぶことも可能です。

ただ、JREIT自体が分散投資の一つの選択肢として投資されることが多いため、一つの用途や一つの銘柄に投資を集中させることはお勧めできません。用途についてはバランスよく分散させるか、もし分散させるほどの元手がなければ、リスクが一般的には高くないと言われている住居系の銘柄への投資を検討しましょう。

4.3.優待で選ぶ

株式と同じように、Jリートにも投資主優待があるものがあります。
例えばホテル系のリートでは、運用対象の物件や投資法人が所属するグループ会社のリゾートを、割引価格で利用できるといった優待があります。
優待があるからと言って投資対効果を考えなくても良いわけではありませんが、自身の生活スタイルに適した優待がある銘柄があれば、魅力的な選択肢となるでしょう。


5.まとめ

Jリートはポートフォリオ分散のために購入されることが多く、一般的には高い分配金が魅力となる投資商品です。組み入れ不動産の種類によって各銘柄は差別化されていますので、自分の投資目的やポートフォリオにあった商品を選ぶようにしましょう。

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