公示価格は国土交通省等が発表している土地の取引価格の目安になる価格です。実際の売買価格とはある程度離れてしまいますが、特定の土地のある程度の価格の目安はわかります。
この記事では、特定の土地の公示価格の調べ方について解説します。より分かりやすくなるように、ステップ別・写真付きで解説しています。
また、公示価格に関連する知識として、
- 公示価格の意味
- 土地の価格の目安になる一物四価
- 公示価格から実際の売買価格を判断する方法
についても解説します。
この記事を読んで、ぜひ公示価格を知りたい土地の調べ方を学んでください。
目次
1.公示価格の調べ方
ここでは、特定の不動産の公示価格の調べ方を解説します。
1.1.ステップ①国土交通省「標準地・基準地検索システム」にアクセス
不動産の公示価格は国土交通省のウェブサイト「標準地・基準地検索システム」に掲載されています。まずは、こちらのサイトにアクセスしましょう。
URL:https://www.land.mlit.go.jp/landPrice/AriaServlet?MOD=2&TYP=0
1.2.ステップ②調べたい不動産がある都道府県・市町村を選択する
次に、画面下部の日本地図から調べたい土地のある都道府県を選択します。
都道府県を選択すると各都道府県のマップが表示されるので、調べたい土地のある市町村を選択します。
1.3.ステップ③検索条件を決める
市町村を選択すると、下の画像のような検索画面になります。
こちらで検索の条件を決めます。
特にこだわりがなければ、画面下の「検索」をクリックします。
(参考)各検索条件の役割
①対象
国交省の発表する地価公示のみを検索するか、都道府県の発表する基準地価のみを検索するか、あるいはその両方を検索するかを選択できます。特段の事情がなければ「両方」を選択すればよいでしょう。
②調査年
何年の調査結果を表示するかを選択します。過去からの推移を検索したい場合はこちらで対象の調査年を選択します。こだわりがなければ「最新調査年のみ」にチェックをいれれば大丈夫です。
③用途区分
自身が調べたい土地の用途を選択します。マイホーム用の土地について調べたい場合は「住宅地」を選択します。
④地価
検索対象にする地価の範囲を決めます。「1㎡あたり○○円くらいの公示価格の土地を調べたい」等の要望がある時に活用します。単純に地価を調べたいときは入力不要です。
1.4.ステップ④検索結果から公示価格を確認する
検索結果の中から、価格を調べたい土地周辺の価格を見ます。ピンク枠で囲まれた「価格(円/㎡)」の部分が公示価格になります。
同じ市町村内のすべての公示価格が出てくるので、その中から土地周辺の地名を探す必要があります。ブラウザの検索機能で町名以降を入力することで、早く見つけることができます。
なお、「検索地域指定(地名入力)」での検索も可能ですが、うまく検索がひっかからないことも多いためオススメではありません。
2.公示価格と合わせて知りたい4つの指標
2章では公示価格の意味およびそれを合わせて知りたい4つの価格指標についてご紹介します。公示価格は国や都道府県が毎年発表している土地の基準になる価格です。公示地価と基準地価の2種類があります。
公示価格では土地の「正常な価格」、つまり早く売りたい場合や周辺で災害があった場合などの特殊な状況がない前提で売買をする際に成立する適正な価格のことです。
公示地価と基準地価はほとんど同じものですが、比較すると下記のような違いがあります。
公示地価 | 基準地価 | |
---|---|---|
機関 | 国土交通省土地鑑定委員会 | 各都道府県 |
プロセス | 2人以上の不動産鑑定士によって行われた鑑定評価を基礎とする | 1名以上の不動産鑑定士の鑑定評価を求め、これに対し審査・調整する |
公表 | 毎年1月1日時点の価格を3月に公表 | 毎年7月1日時点の価格が9月に公表 |
基準地 | 土地取引が相当程度見込まれるところ(令和2年は2万6,000地点) | 令和2年は2万1,519地点 |
また、公示価格の他にも土地の価格の基準となるものはいくつか存在します。これらはまとめて一物四価と呼ばれています。それぞれの意味は下記の通りです。
- 公示地価(基準地価):国土交通省(基準地価は都道府県)が発表する一般的な土地取引の指標
- 相続税評価額(路線価):相続税や贈与税の課税のために用いる土地の価格指標
- 固定資産税評価額:土地にかかる税金を決める指標
- 実勢価格:実際に売買される(された)価格
それぞれ比較すると、次の表のような違いがあります。
公示価格 | 基準地価 | 相続税評価額(路線価) | 固定資産税評価額 | 実勢価格 | |
---|---|---|---|---|---|
所管(発表機関) | 国土交通省 | 都道府県(知事) | 国税庁 | 市区町村 | – |
目的 | ・一般の土地取引の指標 ・公共事業用地取得の価格の基準 |
一般の土地取引の目安 | 相続税、贈与税の算出基準 | 固定資産税、不動産取得時、都市計画税等の算出基準 | 実際に売買される(された)土地の価格 |
基準日 | 毎年1月1日 | 毎年7月1日 | 毎年1月1日 | 1月1日(3年ごとに見直し) | – |
発表時期 | 3月下旬 | 9月下旬 | 7月上旬 | 3月下旬ごろ | – |
評価水準 | – | 公示価格と同じ(100%) | 公示価格の80%程度 | 公示価格の70%程度 | 公示価格の1.1倍(1.2倍) |
特徴 | 通常の土地取引に最も影響が大きい | 公示価格の補完的価格 | 2つの評価方式(路線価方式と倍率方式) | 一般には公開されず、土地の所有者、借地人、借家人は固定資産課税台帳を閲覧可能 | – |
3.調べた公示価格から実勢価格を算出する方法
3章では、公示価格から実勢価格を算出する方法をお伝えします。公示価格は、土地取引の参考となる価格ではありますが、実際に取引される価格(実勢価格)とは差が発生するのが一般的です。これは、公示価格を算出した時点と実際の土地売買の時点が異なることで事情が変化することや、同じ土地でも不動産の売主の売却理由(離婚したので早く売りたい等)によって売買価格が変化することが原因です。
公示価格から土地の実勢価格の目安を算出する際は、下記の通り計算します。
土地の公示価格については、調べたい土地と住所・土地の形状・利用状況・周辺の環境などの条件が近いものを選びます。
例:公示価格が250,000円/㎡の、200㎡の土地の価格
実勢価格の目安 = 250,000円/㎡ × 200㎡ × 1.1 =5,500万円
ただし、こちらで算出した土地の価格はあくまでも目安です。土地は1つとして同じものはありません。土地の利用状況、過去の使用履歴、周辺環境、経済情勢、土地売買の事情などによって土地の実際の価格は変化します。
土地を売却する際などで、より正確な土地の価格を知りたい場合は不動産業者に問い合わせたり、一括査定サイトを利用したりするのがいいでしょう。物件一つ一つの事情に応じて具体的な査定価格を示してくれます。状況に応じて、次のような相談相手に相談することをオススメします。
- とにかく高い価格で売りたい →物件査定の一括見積サイト
- しつこい営業は嫌。じっくり売却を考えたい →口コミの評価がいい不動産会社をネットで探す
- エリアの事情に詳しい人に相談したい →対象物件の近くにある不動産会社
4.おわりに
この記事では公示価格の調べ方についてお伝えしました。公示価格は国交省のウェブサイトを活用することで誰でもカンタンに調べることができます。
一方で、公示価格はあくまでも目安です。実際の土地の売買価格とは異なることが一般的ですので、参考程度にとらえるのがよいでしょう。
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