検査済証は新築した建築物が建築基準関係の規定に反していないことを証明する書類です。
家などの物件を売却する場合、不動産会社等に必ず検査済証の有無を聞かれます。これは、検査済証のある・ないが物件の売却に影響を及ぼすからです。
もし物件を売ろうとする際に検査済証がなければ問題が生じますが、これには対処法があります。
本記事では、
- 検査済証の基礎知識
- 検査済証がない場合のリスク
- 検査済証がない場合の対処法
- 検査済証がない投資物件の購入の是非
これらについて解説します。
この記事を通じて検査済証に関する基礎知識を身につけてくださいね。
目次
1.検査済証とは
検査済証とは、建築物が建築基準関係の規定に違反していないことを証明する書類のことです。
建物を建築する際は建築確認申請を行い、これから建築する建物が建築関連の法令に違反していないかどうかをチェックします。建築確認を経て計画に問題がなければ、確認済証が発行されます。
そして、建物の建築完了後に完了検査を行い、そこで問題がなければ検査済証が発行されます。検査済証が発行されている建物は、建築後に違法増築などがされていない限り違反のない合法な建物です。
建物を建築し検査済証を取得するまでは、次の図のような流れになっています。
以上の流れを踏まえることで、次の図の通りの検査済証を取得することができます。
2.検査済証がないとどうなる?
1章では検査済証の概要についてお伝えしました。検査済証がないと、次のような制限が発生します。
物件の新築時・物件購入時、新築後・購入後、および売却時に分けてお伝えします。
2.1.(新築時)住宅ローンが通らない
検査済証がない場合、ほとんどの金融機関で新築時に住宅ローンを受けることができません。
家を新築して購入しようとする場合に住宅ローンを金融機関から引く場合は、検査済証を用意する必要があります。実際に融資を受けようとする際に、検査済証をはじめとした書類の提出を求められます。
なお投資用ローンについても同様で、賃貸アパートなど投資物件を新築する際は、検査済証がなければ融資を受けることができません。
2.2.(新築後)建物を使用できない
完了検査を受け検査済証を交付されるまでは、その建物を使用することができません。自己居住用の物件であれば新築後もそこに住み始めることができません。投資用の物件であれば、入居開始ができません。
なお、中古物件の場合は検査済証がなくても物件取得後に住むこと(あるいは入居付けをすること)が可能です。
2.3.(新築後、物件購入後)増改築などができない
検査済証がないと増改築などができません。
具体的には、次の行為ができなくなります。
- 防火地域、準防火地域での増築、防火指定外地域の10㎡以上の増築
- 200㎡以上の用途変更
- 改築
2.4.(物件売却時)物件を売却しづらい
検査済証がないと、物件を売却しづらくなります。
物件を売却する際、検査済証がないためにその建物が違法建築である可能性を買主に懸念されてしまいます。必ずしも売却できないわけではないですが、そうしたリスクや売却価格が下がるリスクがあります。
3.検査済証が必要な場合・不要な場合
家を売却する際などに求められる検査済証ですが、その検査済証がない場合にはどうしたらいいのでしょうか。
検査済証がなくても、そのままで問題がない場合もあります。例えば検査済証がない場合でも、そのまま住むだけ、貸すだけであれば直ちに問題になることはありません。
一方で、次のような場合には検査済証が必要です。
- 建物を新築して、これから住み始める(入居付けを行う)場合
- 防火地域、準防火地域での増築、防火指定外地域の10㎡以上の増築
- 200㎡以上の用途変更
- 改築
- 物件を売却する場合
これらに該当する場合は以下の対処法を確認してください。
4.検査済証がない場合の対処法
まず、検査済証自体を再発行することは不可能です。そのため、検査済証を紛失した場合は別の方法をとらなくてはなりません。
検査済証の代わりに「台帳記載事項証明書」というものを取得・利用することができます。台帳記載事項証明書は、各市区町村の建築確認台帳に記載されている次のような事項を証明する書類です。
出典:https://www1.g-reiki.net/wako/reiki_honbun/e330RG00000539.html
- 建築主
- 敷地地名地番
- 建築物の用途
- 工事種別
- 敷地面積
- 建築面積
- 延べ面積
- 申請建築面積
- 申請延べ面積
- 構造
- 階数
- 建築確認済証の交付年月日、番号、交付者
- 検査済証の交付年月日、番号、交付者
各市町村で300円程度で取得できます。
5.(中古住宅・中古投資物件購入者向け)検査済証の無い物件は購入してもいいか
中古でマイホームを購入する場合、あるいは不動産投資で物件を購入する場合、検査済証の無い物件を購入してもいいか、という疑問が生じます。
5.1.検査済証はなくても問題がない
結論から言うと、検査済証の無い物件については問題なく購入して大丈夫です。物件の検査済証取得率は、以前はそれほど高くありませんでした。
出典:https://www.mlit.go.jp/common/001279404.pdf
そのため、物件の築年数によってはほとんどの場合で検査済証はありません。実際、私たちが取り扱う物件の検査済証取得率は1~2割程度です。
こうした検査済証の無い物件であっても、住宅ローンあるいは投資用ローンを引く際には問題なく融資を受けることができます。
5.2.確認済証がない物件は取得してはいけない
検査済証と似たものに、確認済証があります。こちらは建築を実際に進める前に行政から取得するものです。
確認済証を取得していない物件は重大な違法建築物件になるので、取得しない方がいいでしょう。
6.おわりに
本記事では検査済証についてお伝えしました。
検査済証は物件の遵法性を示すための大切な書類です。今後建物を新築する際には忘れずに取得する必要があります。
もし紛失などをした場合には、2章で示したような台帳記載事項証明書を取得することで対処しましょう。
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