「不動産投資を始めてみたいけど、どのくらい税金がかかるのか不安…」
不動産投資を検討する上で、誰もがぶつかるのが税金の壁ではないでしょうか。その中でも、不動産投資を行う上で特有のものが固定資産税です。この固定資産税は、株などほかの投資では関わりがないのが一般的です。それゆえ、多くの投資家が不動産投資を始める際に固定資産税で悩んでしまいます。
しかし、固定資産税は恐れるような税金ではありません。
独特な考え方もありますが、おおよその目安や概要をざっくりつかんでおけば理解は十分です。また、うまく活用することで税金を抑えることもできます。
今回は、そんな固定資産税について解説します。
目次
1.不動産投資における固定資産税とは
固定資産税は、土地や家屋および償却資産を持っている人に対して課される税金です。
マイホームを購入されている方はなじみがあるかもしれませんが、不動産投資で対象となる投資用不動産(アパート・マンションなど)に対しても、同じく固定資産税は課税されます。一棟ものの投資でも、区分マンションの購入でも、固定資産税課税の対象です。
1.1.固定資産税は誰が支払うのか
固定資産税を支払う義務があるのは、毎年1月1日時点で、アパートなどを持っている人です。(正確には、所有者として固定資産課税台帳に登録されている方です。)
しかし、これでは年の途中でアパートを売却しても、年始時点の所有者が固定資産税を全額負担することになってしまいます。これでは不公平なので、実務上は決済日を基準に日割り計算を行い、決済日以降の税額分は、買主が売主に支払うことがほとんどです。
【参考】
なお、関東と関西で年度に対する考え方の違いが存在します。
関東:毎年1月1日~12月31日を1期として考える。
関西:毎年4月1日~3月31日を1期として考える。
この違いにより、どの年度の固定資産税がどの割合で負担されるのかの計算の基準が変動します。詳しくは下記サイトを参照。
参考:【ホームズ】「公租公課」とは何か? 不動産売買契約で慌てないために | 住まいのお役立ち情報
1.2.固定資産税の支払い方法
固定資産税は年4回支払うのが一般的です。
東京都の場合、納付の対象期間(令和3年度)は下図の通りです。
納付期間 | 納期限 | |
---|---|---|
第1期 | 令和3年6月1日から6月30日まで | 6月30日 |
第2期 | 令和3年9月1日から9月30日まで | 9月30日 |
第3期 | 令和3年12月1日から12月27日まで | 12月27日 |
第4期 | 令和4年2月1日から2月28日まで | 2月28日 |
支払の時期ごとに納付書が届きます。納付書に納付金額が示されているので、それをもとに支払を行います。固定資産税を支払う方法は自治体により異なりますが、大体以下の通りになります。
- 窓口支払い …納付書をもって市町村や郵便局、金融機関、コンビニの窓口に出向き現金で支払いを行います。
- 口座振替による自動支払い …納付書に同封される口座振替依頼書を提出することで、毎回自動で口座から引き落としを行うことができます。
- ペイジー支払い …ペイジーマークのついている納付書であれば、対応のATMで支払を行うことができます。
- クレジットカードでの支払い …クレジットカードを用いることで、各市町村の専用サイトにて固定資産税を支払うことができます。ただし、決済手数料が発生します。
2.不動産投資における固定資産税の税額は物件価格の約0.3%~1%
2.1.固定資産税の税額の目安
1章で固定資産税のざっくりとした概要をお伝えしました。それでは、その税額の算出方法や目安はどの程度なのでしょうか。
固定資産税の計算方法については次の項目でお伝えしますが、その目安は大体「物件価格の約0.3%~1%」となります。
物件の築年数や床面積によっても変わるため税額はまちまちですが、1億円の物件であれば、おおよそ30万~100万円の間に収まるくらいです。
2.2.固定資産税の税額の決まり方 (課税標準、税率)
固定資産税は 課税標準額×1.4% の税額となります。
ここで用いられるのは実際の売買価格ではないことに注意が必要です。課税標準額は固定資産税評価額をもとに決定されます。課税標準額と固定資産税評価額の値は実際にはほぼ変わりませんので、一緒のものと考えていただいてかまいません。
土地、建物のそれぞれで固定資産税評価額の計算方法が決められていますが、おおよそ物件価格の70%ほどになります。
固定資産税評価額 は 物件価格の約70%
しかし、固定資産税評価額は物件の築年数、床面積、構造などによって変化します。固定資産税評価額は、物件を購入したのち毎年6月ごろに送られてくる課税明細書に記載されています。
(課税明細書 大津町ホームページより)
こちらで固定資産税評価額を確認することができます。なお、固定資産税のほかに固定資産評価証明書を用いることでも確認することができます。
こちらは市役所などの窓口で取得することができますが、手数料を支払う必要があります。東京都の場合、1件につき400円の手数料がかかります。
また、税率は1.4%になります。
Tips)都市計画税
固定資産税について説明する上で欠かせないのが、都市計画税です。固定資産税と同時に課税され、税額は 課税標準額×0.3% です。
3.不動産投資における固定資産税の軽減措置
これまで固定資産税の税額についてお伝えしてきました。ここからは、固定資産税の軽減措置をお伝えします。
とはいっても、何か申請が必要なわけではなく、その不動産について適用される軽減措置が適用された状態で納付書が送付されます。
下記の軽減措置を踏まえながら、物件選びを行うと固定資産税の軽減につながります。不動産投資を行う場合は、特に小規模住宅用地の特例が重要になります。
3.1.免税点
固定資産税はすべての場合に課税されるとは限りません。それぞれの固定資産の課税標準額が
- 土地:30万円以下
- 建物:20万円以下
の場合は固定資産税が課税されません。
これが免税点です。ただし、同じ人が同一の市町村内に複数の不動産を所有しており、合計の課税標準額が上記の額を超える場合は、それぞれに対し課税されます。
ただし、不動産投資において取得するアパートがこの免税点にひっかかることはまずありません…。地方の山林などであればこの免税点に引っかかる可能性があります。
3.2.小規模住宅用地の特例
固定資産税についても、アパート経営を行う上では活用できる軽減措置があります。住宅用地については、その課税標準額が
- 住戸1戸につき200㎡以下の部分(小規模住宅用地)は評価額の1/6
- 住戸1戸につき200㎡を超える部分(一般住宅用地)は評価額の1/3
になります。実際の売買価格→課税標準額(固定資産税評価額)で約70%に下がったあと、この特例制度を用いることでさらに税額を下げることができます。
さらに、アパートの場合は 戸数×200㎡ が評価額1/6軽減の対象になるので、大幅に課税標準額を下げることができます。
例:1000㎡の土地に4戸のアパートを建築した場合、4戸×200㎡=800㎡までが評価額1/6となり、残りの200㎡は評価額1/3となります。
3.3.新築住宅における固定資産税の減額
新築住宅の場合、固定資産税の税額そのものの軽減を受けることができます。ただし、次の条件を満たす必要があります。
- 令和4年3月31日までに新築
- 床面積(※1)が50㎡以上280㎡以下
(※1)共同住宅の場合、各居住部分に共用部分面積を按分し加えた面積
その場合、固定資産税の税額が1/2になり、下記の通りになります。
固定資産税 = 課税標準額×1.4% ×1/2
この軽減が通常3年の間続きます。
また、軽減期間は建物の状況により下記の通り延長されます。
- 3階以上の耐火・準耐火建築物 … 5年分
- 認定長期優良住宅 … 5年分
- 3階以上の耐火・準耐火建築物かつ認定長期優良住宅 …7年分
4.まとめ
ここまで、固定資産税の概要や税額、そして軽減の方法についてお伝えしてきました。
これまで株などで投資をされていた方は特に、こうした不動産投資特有の税金に対して苦手意識を感じられるかもしれません。しかし、ここまで読んでいただいていればそれで固定資産税の理解は十分です。
他にも不動産投資特有の税金はいくつかあるので、気になる方は読んでみてください。
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