「不動産を購入する時は、積算価格が大事だ」
「物件の積算価格が高い方が、融資を受けやすい」
こんな話を聞いたことがありませんか?
不動産投資を成功に導くには、物件選びが非常に重要です。
これから不動産投資を始めようと思っている方は、物件選びをどのようにしたらいいかわからないという方も多いでしょう。
今回のテーマである「積算価格」は、物件の価値を判断する上で重要になる指標です。
「積算価格とは何か」、「どんなシーンで使われるのか」を理解した上で、物件の購入に進んでいただきたいと思います。
目次
1.積算価格は、土地と建物の価値を合算した価格
積算価格とは、土地の価格と建物の価格をそれぞれ合算した価格のことで、現在の物件そのものの状態を見たときの価値を表す数字です。第1章では、積算価格がどのようなシーンで必要になるのか解説します。
1.1.積算価格は、融資を受けるときに物件価値を図る基準になる
収益物件の購入時に融資を受ける際、金融機関が重視するのが積算価格です。不動産投資の融資を受ける際は、融資額を積算価格の70~80%としている金融機関が多いです。
1.2.積算価格は、不動産の価格が妥当なのかを判断する基準になる
積算価格は融資を受けるときの金融機関の判断基準だけでなく、収益物件を購入しようとする際、物件の価格が妥当なものなのか、という判断基準にもなります。
不動産という高価な商品を購入するわけですから、価格が相場よりも大幅に高くなっていないか、逆に安すぎないか、といったことに注意する必要があります。そのような際に、積算価格は役立ちます。
2.積算価格の計算方法は土地の価格+建物の価格
記事冒頭でもお伝えしましたが、積算価格は土地の価格と建物の価格を合算したものです。
2.1.建物の積算価格の求め方
建物の価格は、以下の計算式で求めることができます。
再調達価格とは、対象となる建物と同等のものを新たに購入する際に必要となる金額のことです。建物の構造によって建築資材の価格が異なるため、構造によって再調達価格が変わります。
構造 | 再調達価格 |
木造・軽量鉄骨造 | 15万円程度/㎡ |
重量鉄骨造 | 18万円程度/㎡ |
RC造・SRC造 | 20万円程度/㎡ |
法定耐用年数とは、「普通に直しながら使っていたらこの種類の資産は新品のときからこれだけの年数使えるはず」という年数で、法で定めています。
構造 | 法定耐用年数 |
軽量鉄骨造 | 19年 |
木造 | 22年 |
重量鉄骨造 | 34年 |
RC造・SRC造 | 47年 |
法定耐用年数については、こちらの記事で詳しく解説しています。
2.2.土地の価格の求め方
土地の価格は、以下の計算式で求めることができます。
公示地価とは、国土交通省が毎年3月に公表するもので、その年の1月1日時点における標準地の土地の価格です。特定の土地の公示地価を知りたいという場合は、こちらのサイトから調べることができます。
路線価とは、国税庁が毎年7~8月に公表するもので、その年の1月1日時点における主要な道路に面した1㎡あたりの土地の価格です。特定の土地の路線価を知りたいという場合は、こちらのサイトから調べることができます。
具体的なイメージを掴むために、数字をあてはめた積算価格の計算式を見てみましょう。
【積算価格の計算例】
条件
構造:築20年木造物件
延床面積:150㎡
路線価:80万円/㎡
土地面積:100㎡
①建物の価格を計算する
木造の再調達価格は15万円程度なので、
15万円×150㎡×{(22年-20年)÷22年}=202万5,000円
②土地の価格を計算する
土地の価格 = 公示地価または路線価 × 土地面積(㎡)
80万円×100㎡=8,000万円
③建物の価格と土地の価格を合算する
202万5,000円+8,000万円=8,202万5,000円
8,202万5,000円が、この物件の積算価格です。
3.投資用不動産を購入する全員が、積算価格にこだわる必要はない
投資用不動産を購入しようとして物件を探す場合、「積算価格の高い物件」が良い物件だと思う方もいらっしゃると思います。たしかに、出口戦略を考えると、「積算価格の高い物件」は売却しやすいというメリットはあります。
ですが、実際には融資を受ける金融機関や購入する物件の種類によって、積算価格を重視した方がよい場合と重視しなくてよい場合があります。
3.1.家賃収入目的なら、積算価格を重視した方が良い
不動産投資の目的が家賃収入なら、積算価格を重視した方が良いケースが多いです。家賃収入が投資の主な目的の場合は、新築や築浅の物件を購入する方が多いです。そして、新築や築浅の物件に融資付けをする金融機関は、積算価格で物件を評価することが多いため、この場合は購入時に積算価格を重視して物件を選ぶのが良いでしょう。
3.2.節税目的なら、積算価格を重視しなくても良い
不動産投資の目的が節税なら、積算価格を重視しなくても良いケースが多いです。節税が投資の主な目的の場合は、築古の物件を購入することが多いです。そして、築古の物件に融資付けをする金融機関は、積算価格とは別の方法(収益価格)で物件を評価することが多いため、この場合は購入時に積算価格を重視しなくても大丈夫です。
収益価格とは
収益価格とは、不動産を購入した場合に、その不動産が将来生み出すと考えられる1年間の純利益から、不動産の価値を算出したものです。不動産の収益性を踏まえて、不動産の価格が適正であるかを判断する時に利用されます。
積算価格は不動産そのものの価値を表したものであるのに対して、収益価格はその不動産が「生み出す収益」に着目して価値を表したものになります。
4.さいごに
本記事では、知っているようで知らない「積算価格」について解説しました。不動産の購入に際して金融機関から融資を受ける時の物件評価に使用されることが多く、積算価格を意識すべき人がどのような人なのかお分かりいただけたかと思います。これから投資用物件を購入されるという方のお役に立てたら幸いです。
コメント