寄附は節税になる?効果がある一方で手残りが減ってしまう理由

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確定申告を行う際に、所得控除を適用する方も多いと思います。
所得控除には、配偶者控除や医療費控除など15個もの種類があり、それらを活用することによって税金の還付を受けることができます。

所得控除一覧

今回の記事ではその中の「寄附金控除」に焦点を当てて、その節税効果について解説します。

社会貢献の一つである「寄附」。本来、寄附は困っている人の力になるという見返りを求めない行為ですが、寄附をすることで人の役に立ちながら節税ができたら嬉しいですよね。

この記事では、以下の内容について解説します。

・寄附金控除について
・一定額を寄附した際の還付額
・ふるさと納税との違い

 


1.寄附をすると節税効果はあるが、手残りは減る

寄附を行うことで節税効果は得られます。と言うと、寄附という行為をお得なものだと感じるかもしれませんが、寄附した分だけ手残りは減ります。節税効果が得られるのは、税制優遇制度である「寄附金控除」という制度を受けることによるものです。

少しでも手残りを多くしたいと考えている方には、あまりおすすめしません。当然のことですが、寄附すればするだけ、実際に自分の手元にある資金は減っていくからです。

寄附節税

5万円を寄附し、1万9,200円の控除を受けると、結果的に3万800円の支出になります。(計算式はのちほどご紹介します)

今回は、所得控除を受けたいと考えている方に、寄附による節税の仕組みについて解説します。
※手残りをなるべく減らさずに節税効果を得たい方は、会計上の赤字で節税が叶う不動産投資という手法を是非検討してみてください。


2.寄附によって節税効果が得られる仕組み

寄附金控除とは、特定の団体※に寄附を行った場合に、所得控除を受けられる制度です。確定申告をすると控除を受けることができます。

寄附節税

 

所得控除の対象になる寄附先
・国、地方公共団体
・公益社団法人、公益財団法人
・独立行政法人
・地方独立行政法人のうち、一定の業務を主たる目的とするもの
・自動車安全運転センター、日本司法支援センター、日本私立学校振興・共済事業団および日本赤十字社
・学校法人
・国立大学法人及び公立大学法人
・社会福祉法人
・更生保護法人
・特定公益信託
・政治活動に関する寄附金のうち、一定のもの
・認定特定非営利法人に対する寄附金のうち、一定のもの
“納税者が国や地方公共団体、特定公益増進法人などに対し、「特定寄附金」を支出した場合には、所得控除を受けることができます。これを寄附金控除といいます。” 

引用:国税庁


3.寄附による節税の2つの方法

寄附金控除には2種類の控除方法があります。

・寄附金控除(所得控除)
・寄附金特別控除(税額控除)

3.1.所得税が40%を超える高所得者は、寄附金控除(所得控除)を選ぶとお得

寄付金控除(所得控除)は、所得金額から所得控除額を差し引いたものに税率を掛けて算出したものです。

所得控除後に税率を掛けることから、税率が高い高所得者の方が減税効果を得やすいです。のちに具体例をお伝えしますが、所得税が40%を超える場合(課税所得の目安は4000万円:所得税率45%)は所得控除を利用するほうがお得になります。

所得控除を選択した場合は、以下の計算式で控除額を算出します。

その年中に支出した特定寄附金の額の合計額-2,000円=寄附金控除額

なお、寄附金額の上限はその年の所得金額の40%です。
この計算により算出された寄附金控除額が所得金額から控除されるため、その分税額を抑えることができます。

3.2.高所得者以外は、寄附金特別控除(税額控除)を選ぶとお得

税額控除は税率に関係なく、税額から税額控除額を直接差し引くことから、少額の寄附であっても減税効果が得やすいです。

税額控除を選択した場合は、その年中に支出した特定寄附金の額の合計額-2,000円×40%が寄付金控除額となり、税額控除として所得税から控除されます。

その年中に支出した特定寄附金の額の合計額-2,000円×40%=寄付金控除額

5万円の寄附で控除できる額を実際に計算
具体的にいくら寄附をしたらいくら控除されるのか、シミュレーションしてみます。

事例① 所得税33%の人が5万円寄附した場合

【所得控除を利用】
5万円-2,000円=4万8,000円 →所得から控除
4万8,000円×33%=1万5,840円 →所得税から減額

計算式通り、寄附金の額の合計から2,000円を引いた4万8,000円が、寄附金控除として所得金額から控除されます。控除された所得金額に各人の税率を掛けたものが所得税額になります。結果的に控除される税額は1万5,840円になります。

【税額控除を利用】
5万円-2,000円=4万8,000円
4万8,000円×40%=1万9,200円 →所得税から減額

寄附金の額の合計から2,000円を引いた4万8,000円に40%を掛けて算出された1万9,200円が、寄付金控除額としてそのまま所得税から減額されます。

事例② 所得税45%の人が5万円寄附した場合

【所得控除を利用】
5万円-2,000円=4万8,000円 →所得から控除
4万8,000円×45%=2万1,600円 →所得税から減額

【税額控除を利用】
5万円-2,000円=4万8,000円
4万8,000円×40%=1万9,200円 →所得税から減額

1つ目の例と同じく、2,000円を引いた4万8,000円に40%を掛けて算出された1万9,200円が寄付金控除額として、そのまま所得税から減額されます。所得税が45%にのぼる場合は、所得控除を利用した方が減税効果が高いことがお分かりいただけると思います。


4.寄附金控除とふるさと納税の違いは、返礼品があるかないか

ふるさと納税は、寄附金控除の一部です。しかし、ここまでお伝えした寄附との違いは以下の通りです。

寄附 ふるさと納税
寄附金額に応じて所得税の控除を受けられる 所得税に加えて住民税の控除が受けられる
返礼品等はない 任意の市町村に寄附することで返礼品を受け取れる
節税効果あり 節税効果なし
確定申告が必要 確定申告が不要な制度が利用できるケースがある

ふるさと納税については、こちらの記事で詳しく解説しています。是非ご覧ください。


5.さいごに

今回は、寄附を行った場合の節税効果について説明しました。記事を読んでお分かりいただけたかと思いますが、寄附自体に節税効果はあるものの、実際には寄附金として支出を行っていますので、手残りは減少します。そのため「個人の所得税の負担が大きく家計に影響を及ぼしている」といった悩みを解決する方法としては適切ではありません。そもそも寄附という行為自体、損得勘定で行うものではありませんので、人の役に立ちながら副産物として節税効果が付いてくるという認識が大切です。

高い所得税にお困りで、なるべく手残りを減らしたくないという場合は、「実際の支出を伴わない赤字を作れる築古不動産への投資」がおすすめです。

詳しくはウェルスハック内の記事でその仕組みを解説していますので、是非ご確認ください。

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