管理会社から広告料の増額を提案されたものの、広告料を付けるメリットや適正な金額がわからずお困りではありませんか?
広告料とは入居が決まった際に貸主が賃貸仲介業者に支払う謝礼の一種で、そのまま仲介業者の利益になります。
賃貸仲介業者は空室を埋めるために、スーモなどの住宅ポータルサイトへの掲載や魅力的な募集図面(マイソク)の作成を行ってくれます。
広告料はそれらの業務に対する報酬として支払われるものです。
この記事では広告料を有効活用して皆さんの利益を最大化するため、以下の3点をお伝えしていきます。
・広告料が入居付けに効果的な理由
・オーナーが知っておくべき広告料の決め方
・広告料が適切な金額に設定できているかのセルフチェック方法
目次
1.広告料が入居付けに効果的な理由
広告料が入居付けに効果的な理由は、
・広告料が多い空室は仲介業者に紹介してもらいやすくなるから
・広告料が多い分、仲介業者は入居希望者からの仲介手数料や初期費用の減額交渉に応じやすくなるから
です。
この章ではそれぞれについて解説していきます。
1.1.仲介業者に紹介してもらいやすくなる
広告料がついている物件はついていない物件に比べ、部屋探し中の方に対して紹介してもらいやすくなり、結果として空室が埋まる可能性が高くなります。
これは広告料が仲介手数料と同じく、仲介業者の収入源の一つになっているためで、仲介業者からすると広告料がついていない物件よりついている物件を成約した方が儲かるのです。
賃貸仲介店舗で部屋探しをする場合、入居希望者の求める条件に即した物件を営業マンが提示します。この時仲介業者は、基本的に「空室を埋めたい物件=広告料を多く得られる物件」から紹介していきます。
このように、広告料を多くつけることで部屋探しをする人の目に触れる機会が多くなり、結果として空室が埋まりやすくなるのです。
1.2.仲介業者は入居希望者からの減額交渉に応じやすくなる
先にもご説明した通り、広告料は仲介手数料と並んで賃貸仲介業者の報酬となります。
入居希望者からの初期費用や家賃の値下げ交渉があった際に、広告料が多くついている物件だと交渉に応じやすくなるのです。
例えば、入居者から家賃8万円の部屋の初期費用20万円を15万円まで下げてほしいという交渉があった時に、差額の5万円は仲介業者が負担することが多いのです。
広告料が1か月分ついているものと、3か月ついている物件では、仲介業者の報酬としては8万円と24万円で大きく差があります。
8万円に比べ24万円の報酬があれば、5万円分の値下げにも応じやすいですよね。
このように、入居希望者からの金額交渉があった場合に、仲介業者は設定されている広告料によって金額交渉への応じやすさが変わります。
値下げ分仲介業者の取り分が少なくなってしまうと思われますが、手元に残る金額が多少減ったとしても契約しないよりは収益になるので、仲介業者は空室を埋めてくれるのです。
まとめると、
仲介業者としては広告料を多く手にする分、交渉に応じやすくなり、仲介業者が交渉に応じることで、入居者もその物件に決めやすくなるのです。
2.広告料の決め方:管理会社の提案に従って良い
空室の集客を管理会社に任せている場合、管理会社から広告料に関する提案をされたことがある方は多いのではないでしょうか。
もちろん提案に乗るか、別の選択肢を取るかの最終的な決定権はオーナーにありますが、基本的に管理会社は空室を埋めるための知識・経験が豊富なので、管理会社の提案する広告料に従って問題ないでしょう。
しかし最終的に広告料を決めるのはオーナーですので、広告料の付け方を知っておいた方が安心です。
次の章では管理会社がどのように広告料を決めているのかを説明します。
2.1.管理会社は多くの空室情報をもとに広告料を決めている
広告料を多くつけると空室は埋まりやすいとお伝えしました。
多くつけると言っても、相場を基準として広告料を決めていくのが適切な方法です。
広告料の相場は競合物件の広告料によって形成されています。
ここでいう競合物件とは、エリアや間取り、築年数が類似している物件のことを指しています。
この相場を基準として
▼相場より多い広告料だと比較的埋まりやすく
▼相場と同等だとそれなり
▼相場より少ないと比較的埋まりにくい
ということが言えます。
広告料の相場はそのエリアの空室情報を取り扱っている仲介業者が熟知しています。
また、管理戸数が多い管理会社も蓄積された経験・知識がある為管理エリアの広告料相場を把握しているでしょう。
(管理会社が自社で賃貸仲介を行っているケースも多いです。)
管理会社はこうした情報をもとに広告料を提案しているのです。
オーナー自身が広告料相場を知りたい際は、
▼自主管理の場合は、広告掲載を依頼している仲介業者に直接聞く
▼管理会社に管理を任せている場合は、管理会社を通して賃貸仲介会社に質問する
という方法があります。
この時、仲介業者1社に聞いて満足するのではなく、2社以上の賃貸仲介業者に聞くことをお勧めします。
なぜなら、相場より高く伝えることでより高い広告料を取ろうと考えている仲介業者も中には存在しているからです。
2.2.管理会社自身が賃貸仲介も行う場合は検討が必要
ほとんどの場合管理会社からの提案に従って問題ありませんが、広告料を精査する必要がある場合もあります。
それは、管理会社自身が賃貸仲介も行う場合です。
この場合、管理会社として提示した広告料を自社の仲介会社が受け取るため、割高な広告料を請求してくる可能性があるのです。
この他にも管理会社から広告料の提案がない場合は、オーナーから率先して広告料に対する話を持ち掛けなければなりません。
したがってオーナーも広告料の適切な決め方を理解しておく必要があります。
管理会社の選び方については以下の記事で詳しく解説しています。
3.広告料を増やすべきケース
適切な広告料は相場によって左右されるとお伝えしました。
この章では広告料を上げることを検討するべきタイミングをお伝えします。
空室が3か月以上にわたる場合
空室が3か月以上続いてしまう場合は、家賃としてのストック収入が見込めません。
空室を早く埋めるために、広告料を上げることをお勧めします。
引っ越し閑散期の5~8月、11~1月
引っ越しシーズンである3月、9月ごろは部屋を探す方も多く、需要が高まっています。
それ以外の人の動きが鈍い時期は部屋探しする方が少なく、年間を通して相対的に部屋が埋まりにくい時期と言えるでしょう。
そのようなタイミングの中でより埋まりやすくするためには、競合する空室との差別化を図るために広告料を相場より高く設定することをお勧めします。
反対に3月、9月の引っ越しシーズンは広告料を抑えてもいいかもしれません。
4.広告料が適切な金額に設定できていたのかをセルフチェックする方法
過去に設定してきた広告料の金額が適正であったかをチェックするには、以下の図に数字をあてはめてみてください。
図の点線までが、想定される平均の空室期間です。
広告料の金額が適切だったかどうかをオーナー自身で判断できれば、将来空室が発生した時により効果的に広告料を設定できます。
適切な広告料であれば費用対効果が高いと言え、そうでなければ費用対効果が低いと言えるでしょう。
空室期間から適切な広告料を算出する際は、想定される「広告料を出した場合の収入見込み」、「広告料なしの場合の想定空室期間」、「広告料」の3点を比較します。
【費用対効果が高い場合】
広告料なしだと空室期間が6か月となる部屋を想定します。
なかなか部屋が埋まらないので3か月の広告料を付けて1か月で部屋を埋めた場合の計算をします。
広告料を付けずに6か月間収入が0か月分であることと比べると、広告料を付けても手元に2か月分の収入が残ります。
このことから空室期間が6か月と想定される物件に対して広告料を3か月つけることは効果的であるといえます。
【費用対効果が低い場合】
広告料なしだと空室期間が2か月となる部屋を想定します。
この時1か月分の広告料を付けて1か月で部屋を埋めた場合、以下の表の収支になります。
広告料を付けずに2か月間収入が0か月分であることと比べ、収入として入った1か月分と広告料として支出した1か月分は差し引き0か月分になり、2か月間空室だった場合と差はありません。
このことから空室期間が2か月と想定される物件に対して広告料を1か月つけることは効果的でないといえます。
これ以外にも、広告料だけでなく、入居したいと思われるような部屋にリフォームすることも空室対策として有効です。
広告料とリフォーム費用を比較して費用対効果の高い方を選択することも視野に入れておくと、万が一空室が発生してしまっても柔軟に対応することができます。
広告料以外での空室対策については以下の記事で詳しく説明しています。
まとめ
いかがでしたか。
広告料の効果を理解することで、空室対策として効果的に活用することができます。
広告料に対する知識をつけることで、ご自身で広告料の相場が判断できるようになり、空室募集に対するハードルが少しでも下がっていたら幸いです。
今後広告料について疑問に思うことが出てきたら、ぜひこの記事を参考にしてみてください。
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