管理会社を変更すべき3つのパターンと変更のための手順・注意点

管理会社変更
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管理会社の変更は、不動産投資をする上で収支を改善させる有効な手段の1です。

管理会社を変更することで、満室稼働を実現し、収支を安定させることができる場合があります。また、管理会社とのコミュニケーションが円滑になることで、本業に集中でき、よりよいサイクルをつくることができます。

この記事では、「管理会社を変更すべきパターン」を解説し、実際に管理会社を選定・変更する流れを示しています。

管理会社からの営業の言葉を鵜呑みにせず、自分の状況を確認しどの管理会社が最も自分の資産形成をサポートしてくれるのか見極める力を養っていただければと思います。

なお、当社は管理会社として3万戸以上の不動産の賃貸管理をしています。
物件の現場で発生するトラブルの対処事例や賃貸経営のノウハウについては、公式note【賃貸管理の現場日記@武蔵コーポレーション~住まいで人を笑顔に~】でも情報発信をしていますので、ぜひご覧ください。


1.管理費用を抑えたいという理由で安易に管理会社を変えるべきではない

費用を安くしたいという理由で安易に管理会社を変えるべきではありません。

その理由は、管理会社の管理費用と空室を埋める力はおおむね比例の関係にあるからです。

管理会社変更-比例

駅から遠い・築古・地方の物件など、放っておいても空室が埋まらない物件の場合には、管理費用をしっかり払うことで満室を維持しやすくなります。利回りの高い地方の物件は、多少高い管理手数料を払っても、満室稼働を実現することで、不動産投資を成功させることができるので、管理費用の見極めは特に重要です。したがって、安易に管理費用の安い会社に変更しようと考えるのは危険です。

極端に管理費用が安い管理会社は、料金に含まれる業務の内容が非常に少なかったり、別途費用を請求されたりと安いなりの理由がある点も安易に変えるべきでない理由の1つです。

もし、あなたの物件の条件が良く、入居の需要がある場合には、管理会社の空室を埋める力が弱くても空室を埋めることができるため、管理費用を抑えてもいいでしょう。しかし、そうでない場合には安易に管理費用の安い会社に変更しようと考えるのは危険です。


2.管理会社を変更すべき3つの基本的なパターン

管理会社を変更すべきパターンは以下の3つです。

・空室が3ヵ月以上続いている場合
・所有物件の条件がいいのに管理費用が3%よりも高い場合
・管理会社の対応が悪く本業に支障が出る場合

特に、空室が3ヵ月以上続いている場合には、管理会社を変更すべきです。

不動産経営では、家賃収入が入ってこなければ収支が回っていかないので、空室がある場合には、空室を埋めることのできる会社に変更すべきです。

2.1.空室が3か月以上続いている場合

管理会社変更-空室

最も管理会社を変更すべきパターンは、空室が多く、物件の収支がうまくいっていない場合です。

具体的には、

・3か月以上の間、管理会社から入居の連絡が全くない場合(内見や申込などが全くない)
・総戸数に対して2割の部屋が空室である場合

には、今の管理会社ではこの先も状況が変わらないと考えられるので空室対策に強い管理会社に変えるべきです。

当社では、3ヵ月の空室は長期空室としています。入居率96~98%を維持していることを考慮すると、3ヵ月の空室、2割以上の部屋が空室というのはかなり空室が多いイメージがあります。

空室を埋める力は、管理会社によって明確に差がありますので、管理会社を変更することで収支が改善されることが多々あります。

2.2.所有物件の条件がいいのに管理費用が3%よりも高い場合

管理会社変更-お金

2つ目は、所有物件の条件がいいのに管理費用が3%よりも高い場合です。

管理会社の管理費用は、平均5%だといわれています。一般的には3%~10%とされていますが、現在では1%~3%といった安い管理費用を謳った管理会社が増えているのも現状です。

先ほども述べたように、管理費用と空室を埋める力はおおむね比例の関係にあるので、安易に管理費用が安い管理会社に変更することは注意が必要です。

しかし、あなたの所有物件が

・駅から徒歩5分以内の立地
・都内
・築年数が浅い

など好条件の物件であれば、空室を埋める力が弱い管理会社でも現在の状態を保つことができる可能性があるので、より管理手数料の低い管理会社に変更することで多くのリターンを得ることができるといえます。

管理費用と空室を埋める力がおおむね比例の関係にあることを認識し、物件の状況から管理費用を見極めましょう。

2.3.管理会社の対応が悪く本業に支障が出る場合

管理会社変更-ゴミ

3つ目は、管理会社の対応が悪く本業の仕事に支障が出る場合です。

管理会社の対応については、

・担当者と意見が合わない
・家賃の滞納が続いている
・物件の清掃状況が悪い
・物件の状況について報告、連絡、相談がない
・空室やリフォームについて具体的な改善提案がない
・入居者からのクレームが改善されない

などでうまくいかない場合があります。

管理会社との付き合いは、結局、人との付き合いになるので、管理会社の対応が悪いことが悩みの種となり、本業に支障が出る場合にはレスポンスの早い管理会社や提案力の強い管理会社に変更すべきだといえます。

ただし、3章で述べる管理会社変更のリスクを考えると、管理会社の対応が悪く管理会社を変更したい場合には、本業に支障が出るなど、どうしようもない状況に限るべきです。

管理会社を変更しても、管理会社の対応の良しあしは、付き合いを始めてみないと分からないため判断が難しく、必ずしも状況が改善するとは限りません。


3.管理会社を変更する3つのリスク

管理会社を変更することでリスクも発生します。それは主に下記の3つです。

・管理解約までの間に管理がおろそかになる可能性がある
・次の管理会社の管理効果がすぐに発揮されないことがある
・保証が切れるリスク

どの項目も発生する可能性が高いため、十分に理解しておく必要があります。

3.1. 管理解約までの間の管理がおろそかになる可能性がある

1つ目は、管理会社を変更する際に、管理解約までの数か月間で物件の管理がおろそかになるというリスクです。

管理会社を変更する際には、管理解約をする数か月前に前の管理会社に申告しなければならない管理会社がほとんどです(※何か月前に申告するかは管理会社によって異なり、契約書で決まっています)。

この場合、管理解約を申し出てから、管理解約までの間、前の管理会社は入居付けに力を入れなくなったり、清掃作業などが、不十分になってしまうといったケースが考えられます。管理会社としては、頑張って管理を行っても、管理解約することが目に見えているため、他の管理物件に力を入れた方がいいと考えてしまうのです。

したがって、管理会社を変更する際に、管理解約までの数か月間で物件の管理がおろそかになるというリスクがあることを認識しておきましょう。

3.2. 次の管理会社の管理効果がすぐに発揮されないことがある

2つ目は、次の管理会社の管理効果がすぐには発揮されにくいというリスクです。

次の管理会社に変更しても、まだ新しい物件の管理には慣れていないため、入居付けがうまくいき始めるまでには23ヵ月かかると思った方が良いでしょう。そのため、1つ目のリスクと合わせて、管理会社を移行する間に、ある程度のブランクは起きてしまうことは知っておく必要があります。

3.3.保証が切れるリスク

管理会社を変更することで、今までの管理会社と結んでいた保証が切れてしまう場合があります。

具体的な保証としては、以下のようなものがあります。

・入居者の滞納保証会社の保証
・サブリース保証
・工事の保証

保証が切れても、次の管理会社でカバーできる場合もあります。管理会社を変更することにメリットが大きい場合には管理会社を変更すべきです。

入居者の家賃保証会社の保証

独自の保証(自社保証)がついている場合には、保証会社の保証が切れてしまいます。

保証会社の保証が切れてしまうと滞納に繋がるリスクがありますので、次の管理会社と保証会社についてしっかりとすり合わせを行う必要があります。基本的には、保証会社を引き継げるところが多いので、滞納のリスクを押さえたい場合には、前の管理会社と次の管理会社に保証会社について聞いてみるのがいいでしょう。

例えば、当社では、当社に管理会社を変更した際に入居者が安く加入できるような保証会社をご紹介しています。保証会社をつけるかどうかは、オーナーの判断であり、滞納のリスクをカバーできそうであれば保証会社に入らないという選択をすることもできます。

このように、管理会社を変更しても保証が切れるリスクを回避できるのかどうか、管理変更前に確認するべきです。

サブリース保証

サブリース契約は、管理会社を変更することで切れてしまいます。

サブリース契約で管理会社を変更するケースは

・家賃収入の削減など、条件を下げられそうな場合
・空室が多く、悪い条件で更新をのまざるを得ない場合

が考えられます。

この場合には、入居付けの強い一般管理の管理会社に変更した方が、収支がうまく回る場合が多いので、思い切って管理会社を変更すべきです。

管理会社変更後も、次の管理会社とサブリース契約を結んだり、一般管理で満室稼働を実現することでよりよい資産形成が可能になります。

工事の保証

めったにないケースですが、外壁工事などで継続して契約することが条件で、保証がついている場合には保証が切れてしまう場合があります。

これは、管理会社を変更しても、工事会社を変えなければ工事の保証をそのまま継続できる場合もあります。

逆に、管理会社の子会社に工事会社がついている会社に変更する場合には、注意が必要です。詳細は、建築したときの保証書等に載っていますので、現在管理を委託している会社に工事の保証があるか確認しましょう。


4.最適な管理会社を見つけるための2つのステップ

管理会社変更-2つのステップ

最適な管理会社を見つけるためには、

・現在の管理会社の問題点を整理する
・新しい管理会社を選定する

という2つのステップで進めていきます。

4.1.現在の管理会社の問題点を整理する

まずは現在の管理会社の問題点を整理したうえで、自分の中で外せない点を明確にしましょう。

管理会社の問題点の中でも、空室が多いことは特に重視すべき問題です。不動産経営では、家賃収入が入ってこなければ収支が回っていかないので、空室がある場合には、空室を埋めることのできる会社を最重要視すべきです。

また、管理会社を選定していくとよりよい管理会社を選ぼうとするあまり、長期的に時間がかかる上にどの管理会社が自分に合っているのか分からなくなってしまう場合があります。そのため、自分の中で譲れない点とある程度の妥協点を始めに明確にしておきましょう。

下記のチェックリストに従い、かつ、自分の譲れない点に沿って管理会社を絞っていきましょう。

管理会社変更-チェックリスト

4.2.新しい管理会社を選定する

新しい管理会社の探し方は主に下記の4つの方法があります。

・銀行からの紹介を受ける
・不動産情報サイトで一括資料請求をする
・DMのチラシから管理会社に問い合わせる
・インターネットで管理会社を検索する

このうち、一番おすすめの方法は銀行からの紹介を受けることです。

この方法がおすすめの理由は、悪徳業者と出会う可能性が最も少ないからです。

銀行からの紹介

管理会社変更-銀行紹介

自分が融資を受けているなど、付き合いのある銀行に、管理会社を変更しようか悩んでいるという話を持ち掛けることで、最適な銀行を紹介してもらえる場合があります。銀行は、最終的に貸しているお金を返してもらわなければならないので、収支が改善するような不動産管理会社を紹介しようとするのです。

したがって、銀行のお墨付きを得ているため、自分で不動産管理会社を探すよりも悪徳業者と出会う可能性が低く、最もお勧めできる方法だといえます。

不動産情報サイト

不動産情報サイトを利用することは、最も一般的な選定方法です。主に以下のようなサイトがあり、無料で管理会社の資料を取り寄せたり、管理費用の見積もりを依頼したりすることができます。

・楽待 https://www.rakumachi.jp/ooyasan/kanri/
・HOME4U  https://lease.home4u.jp/services/manage
・イエカレ https://plus-search.com/property_management/
・マンション貸す.com https://xn--88j8j6dnb6cc5655n.com/

管理会社変更-一括サイト

自分の所有物件の住所や戸数、空室数などをフォームに入力することで、その所有物件を管理エリアにしている管理会社が選別され、より条件のあった管理会社が510社ほど選定される仕組みになっています。

DMのチラシ

管理会社変更-DM

家のポストに賃貸管理会社から直接チラシが投函されている場合があります。こういったチラシでは、キャンペーンなどで保証がついていたり、管理費用が安く抑えられるなどその時々の特典がついている場合があります。

したがって、普通に申し込むよりもよい条件で契約ができる可能性があるので、チラシが来たタイミングで、管理会社の変更を考えている場合には、一度その管理会社に問い合わせて話を聞くのも選択肢の一つです。電話番号やメールアドレス、FAX番号が書かれていたりするので、「ポストに投函されていたDMチラシを見て電話した」と伝えるのがよいでしょう。

インターネットで管理会社を検索する

インターネットで管理会社を探す方法は、HPだけでどのような管理会社か判断しなければならないため、あまりおすすめできません。ただ、友人からの紹介や不動産関係の雑誌・新聞に載っている良さそうな管理会社に目途をつけて申し込む場合には有効な方法だといえます。

空室対策という観点では、実際のお客様の声や管理事例に目を通すことで、その会社がどのくらい空室を埋められるかを判断することができます。

したがって、管理会社のHP上では、

・管理戸数が10,000戸以上あるかどうか
・平均入居率が90%を超えているか
・お客様の声が掲載されているか

3点に注目するのがよいでしょう。

ここまで、4つの方法をご紹介しましたが、他社と比べた結果、今よりもいい管理会社がない場合には管理会社を変更する必要はないといえます。

以下の記事では「管理会社の探し方と選定方法」を詳しく解説しています。
あわせてご覧ください。

【補足】繁忙期になってから管理会社を変更しても遅い

空室に困っていて対策をしたい場合、2月、3月の繁忙期に間に合わせることも管理会社を変更する上でポイントの一つになります。仲介業者は、年明けには繁忙期に向けて準備を始めるので、年内に管理会社変更を終えるなど、早め早めの行動が必要です。

【補足】どのくらいの期間かかるのか

率直に言うと明確な数字はありません。

新しい管理会社を探し始めてから、契約するまではかなり個人差があり、当社の事例をもとに考えると約1か月未満で決まる場合もあれば1年近くかかる場合もあります。


5.管理会社を変更するまでの3つのステップ

ここからは、管理会社を変更するまでの実際のステップを追っていきましょう。

5.1.次の管理会社と契約する

次の管理会社と面談をして、契約日を決め、契約をします。そこで、管理開始日が決まります。

管理会社によってまちまちですが、その際に「委任状」を書く場合があります。この委任状は、管理会社変更の手続きを次の管理会社に委任するという内容のもので、管理会社変更をスムーズに行うために必要とされています。

5.2.今の管理会社に連絡する

新しい管理会社が決まったら、今の管理会社にその旨を連絡します。これは、今の管理会社に連絡してから、次の管理会社と契約するという順番になることもあり、どちらが先でも問題はありません。オーナーが、変更に際して行うことはこれでほとんど終わりです。

まれに、前の管理会社にしつこく引き留められることもあるので、コミュニケーション自体が面倒になる場合もありますが、基本的には、管理会社を変えたい意思を明確に伝えることができれば、あとは管理会社が管理会社変更手続きをするので問題はありません。

5.3.管理会社変更の手続き

ここからは、管理会社同士のやり取りになるので、オーナーが関わることは基本的にありません。次の管理会社は、前の管理会社から賃貸借契約書のコピーを引き継ぎ、手続きを行います。賃貸借契約書の原本はオーナーが所有していますが、コピーで事足りるので、原本が必要になることは基本的にありません。

ただ、前の管理会社がいい加減で賃貸借契約書が紛失している場合などは次の管理会社が大変な場合がありますが、こちらもオーナーの手間はありません。


まとめ

管理会社を変更すべき場合は以下の3つです。

・空室が3ヵ月以上続いている場合
・所有物件の条件がいいのに管理費用が3%よりも高い場合
・管理会社の対応が悪く本業に支障が出る場合

変更に際しては、前の管理会社に連絡をすることだけで足り、基本的には他にすべきことはありません。

管理会社の変更は不動産投資をする上で、収支を改善させる有効な手段の1つですので、この記事がよりよい資産形成の一助になれば幸いです。

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