「コインパーキングを経営するためには、どんな準備や知識が必要?」
「経営を成功させるために知っておくべき情報は?」
コインパーキング経営を検討するうえで、土地活用の有効性や収益性は知りたいですよね。結論から言うと、コインパーキング経営は土地活用に有効な手段と言えます。
コインパーキングは建物が必要ないので費用負担が少なく、経営経験がない初心者の方でも始めやすい特徴があるからです。
さらにコインパーキングの市場規模は拡大しており、今後も需要の高まりが予測されています。
【コインパーキング 箇所数の推移】
参考)一般社団法人 日本パーキングビジネス協会「コイン式自動車駐車場市場に関する実態分析調査」
土地活用を考えているのであれば、コインパーキング経営は前向きに検討を進めてみるべき1つの活用方法です。
ただし、どの土地でも簡単に利益が出るわけではありません。市場調査を怠るなど、準備不足で失敗してしまうケースもあります。
そこで本記事ではコインパーキングの経営を検討している方に向けて以下の内容をまとめました。
この記事を読んで分かること
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コインパーキング経営のメリット・デメリット
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コインパーキング経営にかかる費用
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コインパーキング経営の収益シミュレーション
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コインパーキング経営のポイントと対策
コインパーキング経営に必要な情報を網羅的にまとめたので、コインパーキング経営を始めるかの判断ができ、経営を成功させるためのポイントが分かるはずです。
コインパーキング経営を検討しているなら、ぜひ最後まで読んで参考にしてください。
目次
1.コインパーキング経営のメリット
コインパーキング経営を土地活用に取り入れるとさまざまなメリットが得られます。
コインパーキング経営のメリット
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初期費用を抑えて経営をスタートできる
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メンテナンスの手間・費用が少ない
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土地転用がしやすい
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狭小地・変形地でも活用できる
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経営の知識がなくても始められる
コインパーキング経営のメリットについて1つずつ解説します。
1.1.初期費用を抑えて経営をスタートできる
コインパーキング経営は初期費用を抑えて経営をスタートできるメリットがあります。
コインパーキングは建物を建設せずに開業をスタートできるからです。
実際、建物を必要とする経営方法と比べた初期費用は、以下のように大きく異なります。
【初期費用比較一覧】
土地活用例 |
初期費用 |
賃貸アパート・マンション |
約6,000万~1億円 |
サービス付き高齢者向け住宅 |
約1億7,000万~2億3,000万円 |
コンビニ |
約2,100万~3,600万円 |
コインパーキング |
0円(委託する場合) |
コインパーキングは一括借り上げ方式で運用会社に委託する方法が一般的です。
運用会社に委託する場合はオーナーが初期費用を負担する必要はありません。
借金するリスクを負わずに経営できる特徴は、大きなメリットであると言えるでしょう。
1.2.メンテナンスの手間・費用が少ない
コインパーキングにはメンテナンスの手間や費用が少なく済むメリットもあります。
コインパーキングは建物がないため、自然災害や火災、老朽化による影響を受けにくいからです。
修繕する手間や費用が少なく済むことは、経営をしていく負担を下げ、収益性を上げる要因になります。
手間をかけずに安定した収益性を上げやすい特徴があるため、土地活用にコインパーキング経営は有効です。
1.3.土地転用がしやすい
コインパーキングで土地活用をする場合、土地転用がしやすいというメリットも得られます。
コインパーキングは建物を建てるわけではなく、月極駐車場のように利用者と契約を交わすわけでもないからです。
コインパーキングの設備を撤去するだけで更地にすることが可能なので、将来別の方法で土地を活用したいときはすぐに対応できます。
一時的にコインパーキングとして活用する、という方法が取れることは、土地所有者にとって好都合な特徴です。
1.4.狭小地・変形地でも活用できる
コインパーキングは狭小地・変形地でも活用することが可能です。
変形地であっても、1~2台程度の狭い土地でも、駐車スペースがあればコインパーキングとして経営できるからです。
活用方法が制限されてしまうような土地でも収益を生み出せる可能性があることはメリットと言えます。
1.5.経営の知識がなくても始められる
コインパーキングは経営の知識がなくても始めることが可能です。
コインパーキングには、事業者に経営を委託できる方法があるからです。
【コインパーキング経営の方法2つ】
一括借り上げ方式 |
土地をコインパーキング事業者に貸し、事業者から毎月定額の賃料を受け取る方法。 |
自主管理方式 |
コインパーキングの運営を土地の所有者自身で行う方法。 |
一括借り上げ方式で委託すると、駐車場の整備や初期費用の負担、設備の設置、メンテナンス、トラブルの対応に至るまで、すべての経営を行ってくれます。土地の所有者は、“ただ土地を貸すだけ”で収益を得られるのです。
さらに、委託する方法は月々の支払いが一定額になるので、収益にも安定性を得られます。
収入の波によるストレスを感じることもありませんし、集客対策を施す必要もありません。
忙しい人や経営経験のない人にとっては、たいへん嬉しいメリットであると言えるでしょう。
2.コインパーキング経営のデメリット
コインパーキングにはメリットが多くありますが、デメリットも存在します。
以下のデメリットを受け入れることができるかを確認しましょう。
コインパーキング経営のデメリット
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固定資産税・都市計画税の節税効果は得られない
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賃貸経営に比べて収益性は低い
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収益は立地に左右される
コインパーキング経営のデメリットについて解説します。
2.1.固定資産税・都市計画税の節税効果は期待できない
土地を所有していると固定資産税・都市計画税がかかります。
土地活用としてアパートを建てた場合、住宅用地の特例措置が適用されるため固定資産税・都市計画税は減税されます。
しかし、コインパーキングは軽減措置の対象である『住宅用地』として認められないため、減税されることはありません。
税金は満額の支払いになるため、固定資産税・都市計画税の軽減措置のために土地活用を考えているのであれば、コインパーキングは向いていません。
2.2.賃貸経営に比べて収益性は低い
コインパーキングは賃貸経営と比べて収益性が低い傾向にあります。
例えばアパート経営で家賃10万円✕8部屋を貸し出すとすると、見込みの手残り月収は約30万円です。
【賃貸アパート・マンション 収支シミュレーション ※2DK✕8戸✕家賃10万円と想定】
収入 |
80万円/月 |
支出 |
約50万円 |
見込み手残り月収 |
約30万円 |
一方コインパーキングの収入は、アパートよりも低い収入になりやすいです。
【コインパーキング 収支シミュレーション ※6台分のスペース=90㎡、一括借り上げ方式で想定】
初期費用 | 0円 |
維持費用 | 0円 |
収入 | 毎月固定6万8,000~8万円 ※想定利益30万円の場合 |
支出 | 手数料15~20% 税金 |
見込み月収 | 22万5,000円~24万円 |
アパートやマンションの場合、2階、3階と上階を造ることで土地面積の稼働効率が上がります。
また、賃貸経営の場合は税金の軽減措置対象になるため、節税効果が働くことも収益性を高めます。
このように賃貸経営と比べると、コインパーキングは多くの収入が見込めるわけではありません。コインパーキングの1つのデメリットとしてふまえておきましょう。
2.3.収益は立地に左右される
コインパーキング経営だけに言えることではないですが、やはりコインパーキングも収益性は立地に強く影響されます。
駐車場としての需要が低い立地であれば稼働率が下がるので、利益が生みづらくなるからです。
そのため、どのような土地でもコインパーキングが向いているとは言えません。
コインパーキングを始めようとコインパーキング事業者に相談しても、断られてしまうケースもあります。
初期費用を投じて自営したとしても、利益を得られるかは立地次第です。
コインパーキング経営が成功するかはニーズの有無による、ということを留意しておきましょう。
3.コインパーキング経営にかかる費用一覧
コインパーキング経営を始めるかを検討するうえで、どれくらいの費用が必要かは気になりますよね。
まず、コインパーキングの初期費用の有無は経営方法によって異なります。完全に事業者に委託する一括借り上げ方式の場合、初期費用はかかりません。
一方、自身で経営する場合には以下の初期費用が必要になります。
【コインパーキングの初期費用 ※6台分のスペース=90㎡と想定】
費用項目 | 金額 |
アスファルト舗装費 | 36万~45万円 (相場費用1㎡につき4,000~5,000円) |
車止め、駐車ライン | 約10万円 |
ロック版 | 約10万円/1台あたり |
精算機 | 40万~50万円 |
場内照明器具 | 15~20万円 |
設置工事費 | 40~50万円 |
看板、釣銭、監視カメラなど | 5万~10万円 |
合計 | 約200万~300万円 |
業者や取り入れる設備、規模によって費用は異なりますが、6台分のスペースでコインパーキング経営を始める場合は約200万~300万円ほどの初期費用が必要であると見込んでおくとよいでしょう。
また、コインパーキング経営で必要なランニングコストは以下のような費用が挙げられます。
【コインパーキング経営でかかるランニングコスト】
固定資産税・都市計画税 |
固定資産税:固定資産税評価額 ✕ 1.4% |
設備修繕費 |
1万~5万円 |
レシートなどの消耗品費 |
約1万円 |
電気代 |
約1万~2万円 |
管理委託費(運営を委託する場合) |
賃料の5~10% |
人件費(雇う場合) |
約10万円~15万円 |
一括借り上げ方式の場合、土地所有者が負担するランニングコストは税金や電気代程度ですが、自営の場合は修繕費や管理委託費の支払いが必要です。
費用は経営方法によって大きく異なることも踏まえ、どのように経営するかを検討することをおすすめします。
4.コインパーキング経営の収益シミュレーション
コインパーキング経営を検討するうえでは収益性の確認も大切です。
以下の条件で稼働した場合の収益を、自営と一括借り上げのケース別でシミュレーションしてみましょう。
【シミュレーションの条件】
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土地の広さ:90㎡
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駐車スペース:6台分
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稼働率:25%
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料金300円/1時間
自営の場合 |
一括借り上げ(完全に委託)の場合 |
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初期費用 |
200万~300万円 |
0円 |
維持費用 |
月3万~10万円 |
税金、電気代、事業者への管理委託費15~20% |
収入 |
32万4,000円 |
毎月固定20万円~24万円 |
見込み手残り月収 |
22万4,000円~29万4,000円 |
20万円~24万円 |
自営の場合は収入が全て自分のものになりますが、手間や支出もあります。
一方、一括借り上げ方式の場合は、管理委託費として15〜20%を支払うことになりますが、管理業務を全て任せられるというメリットと、経営状況にかかわらず毎月一定の収入を得られるといったメリットがあります。
自営の方が見込み月収が高くなりますが、経営の手間を省きたい場合、経営リスクを抑えたい場合は、完全に委託する(一括借り上げ方式)経営方法がおすすめです。
5.コインパーキング経営はこんな人におすすめ
コインパーキング経営の特徴や収益性からまとめると、コインパーキング経営は以下のような方におすすめできます。
コインパーキング経営はこんな人におすすめ
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リスクを抑えて土地活用したい人
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人や車の往来が多い地域に土地を所有している人
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将来転用や売却を考えている人
理由とともに解説します。
5.1.リスクを抑えて土地活用したい人
コインパーキング経営はリスクを抑えて土地活用をしたい人におすすめです。
コインパーキング経営には事業者に完全に委託する『一括借り上げ方式』という方法があり、費用負担なしで始められる事業だからです。
また、建物がないため、老朽化や自然災害による維持管理費がほとんどかかりません。
リスクなく土地活用をして収入を得たい人には、最適な土地活用方法であると言えます。
5.2.人や車の往来が多い地域に土地を所有している人
コインパーキング経営は人や車の往来が多い地域に土地を所有している人に向いています。
コインパーキング経営は需要があって成り立つビジネスだからです。
コインパーキングの需要は駐車場が不足している以下のような地域で需要があります
・飲食街
・観光スポット
・商業施設周辺
・病院の周辺
・公共交通機関でのアクセスが不便な場所
駐車場のニーズがある地域に土地を所有している場合は、コインパーキング経営を前向きに考えてみてはいかがでしょうか。
5.3.将来転用や売却を考えている人
将来土地の転用や売却を考えている人にもコインパーキングはおすすめです。
コインパーキングは建物を必要としないので撤退がしやすく、転用をスムーズに進めやすいからです。
「土地価格が上がった時点で売却したい」「将来はこの土地に家を建てたい」など、将来の計画があるのであれば、コインパーキングは有効な手段であると言えます。
注意! |
6.【失敗例から学ぶ】コインパーキング経営のポイント・対策
コインパーキング経営は、費用を抑えやすいので、稼働率次第で大きく稼げる可能性があります。
ただし、コインパーキング経営にも失敗例はあります。
ここからは、失敗例をもとにしながら経営のポイントと対策について紹介します。
6.1.コインパーキングのニーズがあるか?
コインパーキング経営を始める前には、ニーズがあるのかの確認を必ず行いましょう。
以下のような失敗例があるからです。
稼働率が低く、費用の方が多くかかってしまう |
せっかく収入を得るためにコインパーキング経営を始めても、費用を回収できず損をしてしまう失敗例があります。
その土地に駐車場を必要としている人がいるかを見極めることは、経営をするうえで非常に重要です。
ニーズを確認するための対策
・その土地の周辺環境をよく観察する
・コインパーキング事業者に相談する
・その地域の不動産会社に相談する
6.2.妥当性のある料金設定ができるか?
コインパーキング経営では、妥当性のある料金設定にすることも大切です。
見合わない料金にすることで以下のような失敗例が考えられます。
・需要があるのに料金が高くて利用者が集まらない ・近隣のコインパーキングに流れてしまう ・費用や税金の方が大きくなる |
駐車料金を高くしすぎると集客力は弱くなりますし、低すぎると費用・税金の負担が大きくなります。
料金設定は集客力や収益性に直結するので、近隣の相場や費用・税金をふまえ、立地に合った妥当性のある料金設定をすることが大切です。
妥当性のある料金設定にするための対策
・近隣にあるコインパーキングの料金を確認する
・費用負担、税金負担を把握する
・コインパーキング事業者に相談する
6.3.利用者が安全に駐車できる設計・メンテナンス維持ができるか?
利用者が安全に駐車できる設計やメンテナンスができるかもコインパーキング経営には重要です。
コインパーキングでは以下のようなトラブルが考えられるからです。
・設備の不具合で車に傷が付いてしまった ・パーキング内で事故が起きた ・放置車両により収益が得られない ・無賃駐車車両が発生する |
メンテナンスがされない駐車場は治安が悪化し、放置車両や無賃駐車車両が発生しやすくなります。
収入が得られないだけでなく、撤去費用もかかる場合があります。
また、設備に不具合があることで車両に傷がついてしまったら、運営者の管理責任が問われます。
安全に利用できる環境を維持することがコインパーキング経営には求められるので、以下のような対策が可能であるか事前に確認をしておきましょう。
トラブルを防ぐためにできる対策
・定期的に清掃、設備の動作確認をする
・監視カメラを設置する
・管理を委託する
7.コインパーキング経営におすすめの相談先
コインパーキング経営は経営初心者の方でも始めやすい事業ですが、成功率を高めるにはプロへの相談がおすすめです。
コインパーキング経営を検討しているなら、不動産会社、またはコインパーキング事業者に相談してみてください。
相談できる内容と、相談するタイミングについて紹介します。
7.1.不動産会社
不動産会社はその地域のニーズはもちろん、土地に関する専門的な知識や税金についても熟知しています。
客観的かつ広い視点を持っているので、他の土地活用を含めた提案やアドバイスを受けられる可能性があります。
ただし、コインパーキングの経営知識を持っているわけではありません。
土地活用の選定やサポート・アドバイスを受けたい場合におすすめです。
不動産会社への相談はこんな場合におすすめ
・コインパーキングの需要があるか確認したい
・最適な土地活用のアドバイスがほしい
7.2.コインパーキング事業者
コインパーキング事業者はコインパーキングに特化した経営知識を持っている事業者です。
ニーズの確認はもちろん、経営方法の相談にも具体的なアドバイスが受けられるでしょう。
経営を一任したい場合もコインパーキング事業者への相談は欠かせません。
コインパーキング事業者は複数あるので、複数の事業者に相談したうえで条件や対応力を比較し、パートナー事業者選びをするようにしてください。
コインパーキング事業者への相談はこんな場合におすすめ!
・コインパーキング経営を依頼したい
・コインパーキングに見合った土地かを確認してもらいたい
コインパーキング事業者は、どの土地でも一括借り上げをしているわけではありません。
相談したからと言って必ずしもコインパーキング経営ができるわけではないので、コインパーキング経営が向いていないと判断された場合は他の活用方法を検討してみましょう。
まとめ
今回はコインパーキング経営について網羅的に解説しました。
コインパーキング経営には以下のようなメリットとデメリットがあります。
コインパーキング経営のメリット |
・初期費用を抑えて経営をスタートできる ・メンテナンスの手間・費用が少ない ・土地転用がしやすい ・狭小地・変形地でも活用できる ・経営の知識がなくても始められる |
コインパーキング経営のデメリット |
・節税効果は得られない ・賃貸経営に比べて収益性は低い ・収益は立地に左右される |
コインパーキングはビジネスである以上需要が必要なので、どんな土地でも有効であると言えないですが、駐車場の需要は年々増加傾向にあります。
今まではコインパーキングの需要がなかった街でも、商業施設や飲食店ができたりするとコインパーキングの需要も高まるので、街の変化を見逃さないようにすることもポイントです。
コインパーキング経営が気になる場合は、まずは不動産会社やコインパーキング事業者に相談してみてはいかがでしょうか。
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