プロパティマネジメントとは、アパート経営のプロが“オーナーの代理”として、オーナーが行う業務を代行する管理方法を指します。
それに対して、一般的な管理会社は“オーナーと入居者の代理”として、オーナーが行う業務を代行する管理方法をとっています。
以上が、プロパティマネジメントの定義ではありますが、これだけでは分かりにくく、プロパティマネジメントの特徴をつかみきれないと思います。当社に問い合わせをいただく方の中にも、プロパティマネジメントについてよく分からないという方がいらっしゃいますので、本記事でプロパティマネジメントについて詳しく解説させていただきます。
・プロパティマネジメントの意味を知りたい
・プロパティマネジメント型の管理会社と一般的な管理会社の違いを知りたい
・アパートの空室で困っていて管理会社を検討中である
もし、あなたがこのような思いを抱いているのであればこの記事があなたの行動の指針となることでしょう。
この記事では、プロパティマネジメントの意味を明確に理解し、プロパティマネジメントならではの強みを理解することができます。
管理会社への理解を深め、最適な管理会社を見つけることで、よりよい資産形成をしていきましょう。
【補足】「プロパティマネジメント」は、2つの場合に用いられます。
・個人で投資するアパートの運営管理を代行する業務
・オフィスビルや商業施設の運営管理を代行する業務
この記事では1つ目の、個人が投資用アパートの管理を行う際のプロパティマネジメントを解説していきます。
目次
1.プロパティマネジメント(PM)とは
プロパティマネジメントとは、アパート経営のプロがオーナーの代理として、オーナーが行う業務を代行する管理方法を指します。プロパティマネジメントは、一般に「PM」と略されます(以下、PM)。
元々は、不動産先進国のアメリカ発祥の不動産(特に商業ビル)の管理方法であり、個人が買うような賃貸物件に対して使われ始めたのは最近の話で、現在、PM型の管理を行っている会社は、管理会社全体の1%にも満たないのが実情です。
そもそも、管理会社は、一般的な管理会社(2章以降では「一体型」とします)とプロパティマネジメント型の管理会社の二つに分けることができます。
業務内容に大きな違いはありませんが、一番明確な違いは仲介店舗をもっているかもっていないかという違いです。
一般的な管理会社が、オーナーと入居者の代理としてオーナーが行う業務を代行する管理方法をとるのに対して、プロパティマネジメントでは、オーナーだけの代理である点が特徴です。
プロパティマネジメントは、具体的には以下のような業務をオーナーから請け負います。
・入居者募集(募集依頼、リフォーム)
・建物管理(点検、清掃)
・既存入居者対応(クレーム対応、要望対応、提案、家賃集金、督促、不良入居者への対処)
例えば、当社の体制ではオーナーは送られてくる明細書を確認するだけで足り、他のすべての業務をプロパティマネジメントを請け負っている当社が担っています。
2.「プロパティマネジメント(PM)型管理会社」と「一体型管理会社」の2つの違い
ここからはPMの管理方法をとる管理会社をPM型とし、一般的な管理会社は賃貸仲介店舗を持ちながら管理と仲介(入居付け)を同時に行っているので「管理客付け一体型」(以下「一体型」)として説明していきます。不動産業界では管理会社でありながら自社で賃貸仲介店舗をもって、管理と賃貸仲介を一緒に行う会社がほとんどなのです。
PM型・・・PMの管理方法をとる管理会社
一体型・・・一般的な賃貸仲介店舗をもつ管理会社
PM型の管理会社と一体型の管理会社の違いは、仲介店舗をもつかどうかです。この違いにより、立場と募集方法の2つに違いが出てきます。どちらも見かけ上は大きな違いはなく、行っている業務も表面上はほとんど同じですが、実態は根本的に大きく異なります。ここからPM型の管理会社の立場と管理方法の違いについて詳しく説明していきます。
2.1.①立場の違い
「PM型」と「一体型」最も大きな違いは、立場の違いです。PM型は、オーナーの立場にたってオーナーの利益最大化のために管理を行います。一方、一体型はオーナーと入居者の両方の立場に立って業務を行います。
PM型:オーナーの立場
一体型:オーナーと入居者の立場
ここから、PM型と一体型の立場の違いを説明していきます。
PM型の管理会社の立場
PM型の管理会社の立場は、オーナーの立場に寄り添っています。その理由は2つあります。
理由①:オーナーの利益を優先できる
理由②:賃貸仲介店舗の売り上げを考えなくてよい
1つ目の理由は、オーナーの利益を優先できることです。
賃貸仲介店舗を持たないため、実際に入居者と対面で交渉する場面は基本的にありません。
したがって、入居時の交渉では完全にオーナーの立場に立って要望を聞くことができます。とはいえ、入居者に長く住んでもらうことがオーナーの利益につながるのでそのバランスをとることも重要です。オーナーの立場で家賃値下げや修繕要望を受け入れるべきかどうかを考え、入居者と交渉します。
2つ目の理由は、賃貸仲介店舗の売り上げを考えなくてよいことです。
賃貸仲介店舗を持たないことで、店舗の採算をとる必要がないため、自社の仲介店舗だけでなく他の会社の仲介店舗でも空室を決めてもらえるように募集をかけることができ、オーナーの利益を最大化することができます。この募集方法の詳細については、3章で詳しく解説します。
管理会社は、アパートオーナーから管理費をもらって業務を遂行するので、基本的にはオーナーさんのために働くものであるはずです。したがって、オーナーの利益最大化のために行動することは最適な形であるといえます。
一体型の管理会社の立場
一方で、一体型の管理会社は、オーナーと入居者の両方の立場に立たなければなりません。その理由は2つあります。
理由①:オーナーと入居者のどちらの要望にも答えなければならない
理由②:仲介店舗をもつためオーナーの利益に加え、店舗の売り上げを上げなければならない
1つ目の理由は、上の図にもあるように、「家賃を上げてほしい」というオーナーの要望と「家賃を下げてほしい」という入居者の要望のどちらにも答えなければならないことです。
これは、オーナーの立場だけに立っているとは言えません。特に現在の法律は入居者保護に基づいているので、管理会社が入居希望者の味方になって修繕希望や家賃値下げの交渉をオーナーにすることもあり、オーナーの利益を損ねてしまうことにも繋がります。
2つ目の理由は、賃貸仲介店舗の売り上げを上げなければならないことです。
賃貸仲介店舗を持っていると、店舗の採算をとるために募集物件を自分の店舗でだけ囲い込むことになり、募集の範囲が限られてしまいます。オーナーとしてはどこの仲介店舗で決まっても変わりませんが、管理会社としては他の仲介店舗で入居が決まってしまうと仲介店舗の売り上げがたたなくなってしまうため自社の店舗で物件を囲い込んで決めてしまう傾向があります。
そのため、オーナーの利益最大化するという目的に対して、賃貸仲介店舗の仲介手数料を最大化するという目的が邪魔をして、オーナーの利益を最大化するための行動がとれず、オーナーと入居者の両方の立場に立たなければならないのです。
2.2.②募集方法の違い
「PM型」と「一体型」2つ目の大きな違いは、入居募集方法の違いです。PM型は、自社で仲介店舗を持たず、他社の仲介店舗を通じて幅広く募集を行います。一方、一体型は自社の仲介店舗に限って募集を行います。
PM型:自社で仲介店舗を持たず他社の仲介店舗を通じて幅広い募集を行う
一体型:自社の仲介店舗に限って募集を行う
そのために、1つの物件に対する募集店舗数は大きく違ってきます。
以下で詳しく見ていきましょう。
PM型の管理会社の募集方法
PM型の管理会社の入居募集方法は、自社で仲介店舗を持たず、自ら客付け(仲介)を行うのではなく、他社の仲介店舗に幅広く仲介依頼を出す方法をとっています。物件のエリアにあるすべての賃貸仲介会社に依頼をかけるため、一体型の管理会社とは比較にならないほどの数の仲介店舗から募集をかけることができます。実際に、PM型をとっている当社では、1つの物件当たり平均で100店舗以上の仲介店舗で募集をすることができているケースもあります。
PM型の募集はリーシングマネジメント(以下LM)と呼ばれています。仲介会社を管理(マネジメント)することで入居希望者を募ります。
一体型の管理会社の募集方法
一体型の管理会社の募集方法は、自社の賃貸仲介店舗で入居者を募集します。実店舗があるので知名度が高く、店舗自体が広告塔の役割を果たしています。実際の入居者と対面で接するため、入居者の要望を直接聞くことができるというメリットがあります。
知名度が高くなる一方で、仲介店舗は、維持のためにお金がかかります。そのため、維持費を稼ぐためには管理物件の空室を自社の店舗で決めようとする傾向があります。それは、他社で契約された場合、入居希望者からの仲介手数料は他社に持っていかれ、店舗の売り上げにならないからです。
したがって、他社に契約をとられないように物件を自分たちで囲って他社への紹介を押さえてしまうという状態が起こり、PM型に比べて範囲の狭い募集になってしまいます。
3.PM型が選ばれる理由
このグラフからわかるように、日本の空室数は世帯数の減少と総住宅数の増加に伴って、増加するだろうと予想されています。
近年、社会全体として空室が増えているために、簡単に空室が埋まらなくなっている状況下においては、競争を勝ち抜き、きちんとした資産形成戦略をとることが求められます。そのためにアパートオーナーが行うべき業務をオーナーに代わってアパートの経営の専門家が代行するプロパティマネジメントの仕組みが選ばれているのです。
実際に当社の事例では、一体型の管理会社からPM型に移行して空室対策ができた事例が数多くあります。
今後の社会情勢を考えても、きちんとした空室対策をとれるプロパティマネジメント型が選ばれているのです。
4.PM型の管理会社の業務内容
ここまで、PM型が空室を埋める力が強いと説明してきましたが、その秘密はPM型の業務の一つであるリーシングマネジメント(LM)にあります。リーシングマネジメント(LM)で、営業マンの意見を反映し、ニーズに合った戦略を立てることで、空室を埋めることができます。
ここからは、PM型の管理会社の業務内容について説明していきます。
PM型管理会社の業務内容は、主に
- リーシングマネジメント(LM)
- 集金業務
- 建物管理業務
の3つがあります。
以下で、一つずつ説明していきます。
4.1.リーシングマネジメント(LM )
LMはいつまでにいくらの賃料で募集するかという入居募集の戦略を立てます。この際には、賃貸仲介会社に徹底的にヒアリングをかけ、営業マンからの意見を反映させます。こうすることで、早い募集と、賃料の高い募集のバランスを見て、オーナーの最高の利益を最大化するポイントを押さえることができます。
空室対策からLMの業務を理解する↓
4.2.集金業務
・賃料等の回収
・滞納金の催促
・訴訟等の法的手続きを行います。
また、家賃収入や工事費用、募集費用などに関するお金のやりとりを行い、請求書を発行します。入金を確認し、それを踏まえた月次キャッシュフローの管理、助言を行います。
当社では、そもそも滞納が起きないように入居者の保証会社加入を必須にしたり、入居前にビデオ審査を行っています。その結果、家賃回収率は99%を維持しています。
4.3.建物管理業務
日常的な巡回清掃、定期的な法定点検を行います。清掃は美観や快適性にも影響する業務で、入居者や来訪者の印象や満足度のようなソフト面にも寄与します。適正な保守管理、および営繕を行うことで、建物の資産価値維持に貢献します。
また、最適な入居付けのためにリフォームの提案を行います。
当社では、オーナーの収支を考慮し、最終的に利益を最大化するように”リフォーム利回り”を考慮したリフォームを提案しています。
“リフォーム利回り”について詳しくはこちら↓
また、当社では、約40人の巡回員で巡回清掃を分担し、巡回員の方に対して定期的に研修を行うことで定期清掃の質の向上に努めています。
4.4.入居者対応
アパートの入居者からの問い合わせ対応(コールセンター)を行います。
・隣人の騒音トラブル
・ごみのマナー
・エアコンの故障
・窓ガラスが割れた
など入居者の暮らしの中での問題に対応します。
素早く対応することで入居者満足度を高めています。
当社では、24時間365日サポートに加えてインターネットで専用ページを設けることで
迅速な問題解決に努めています。
5.まとめ
プロパティマネジメントとは、アパート経営のプロがオーナーの代理として、オーナーが行う業務を代行する管理方法を指します。一般的な管理会社と業務的に大きな違いはありませんが、プロパティマネジメントは仲介店舗をもっていないため、オーナーだけの代理を行うことが一般的な管理会社と大きく違います。
また、プロパティマネジメントの強みは幅広い募集により空室を埋める力が強いところです。アパート経営をする上で、現在所有している物件が埋まりにくい物件の場合、将来的に予想される空室の増加に備えたい場合には、プロパティマネジメントに絞って管理会社を探すべきです。
プロパティマネジメントを行う弊社の事業を以下の記事で紹介しています。
管理会社をお探しの方や、プロパティマネジメントを行う管理会社が普段どのような目線をもって物件管理を行うのか気になる方は是非ご一読ください。
コメント