不動産売却にかかる費用の目安はいくら?10種類をわかりやすく図解

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「不動産を売却したいが、どのくらいの費用がかかるのか?」
という方へ、おおまかな目安を先にお伝えすると、最も大きいのは仲介手数料で、売却代金の約3%強を見ておく必要があります。

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このほかに、印紙税、登記費用、ローン返済手数料、解体費用など、それぞれのケースによって生じる費用があります。トータルでは、売却代金の5〜7%以上を見積もっておく必要があります。

さらに、売却益には譲渡所得税(所得税・住民税)が課税されます。コスト感を把握せずに不動産を売却すると、思わぬ出費に見舞われるリスクがありますので、注意が必要です。

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本記事では、このような不動産売却にかかる費用を解説します。不動産売却費用を安くするためのポイントもまとめました。

不動産売却をご検討中の方はご一読いただき、資金の準備にお役立てください。


1. 不動産売却でかかる3つの基本費用

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まず、不動産売却で基本的に発生する費用から解説します。仲介手数料・印紙税・譲渡所得税の3つです。

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状況によっては、これら以外も発生する場合がありますが、それについては後述します。

まずは、この3つの費用について、詳しく見ていくことにしましょう。

1.1. 仲介手数料

1つめの費用は「仲介手数料」です。

仲介手数料の概要

  • 定義:不動産売買契約の成立を仲介した不動産会社に支払う報酬
  • 金額:売却代金の3%+6万円(消費税別)が上限(売買代金が400万を超える場合)
  • 負担者:売主・買主とも自身が依頼した不動産会社に対して支払う
  • 支払時期:決済・引き渡し時に全額、または契約時と決済・引き渡し時に半金ずつが一般的

仲介手数料は、不動産売却の仲介を依頼した不動産会社に対して、成功報酬で支払うものです。

宅建業法によって上限額が定められており、売却代金が400万円を超える場合、売却代金の3%+6万円(税別)が最高額となります。

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上記は「上限」のため、不動産会社との交渉で、仲介手数料を下げられる可能性はあります。

ただし、過度の値引き交渉には注意が必要です。売却時期が遅れるなど、販売活動の質が落ちるリスクがあるためです。

適正な仲介手数料は、売却に必要な経費として捉え、見積もりに組み込んでおいたほうがよいでしょう。

参考:全日本不動産協会「初めて家を売却する人が読む本 – 家を売る。」

1.2. 印紙税

2つめの費用は「印紙税」です。

印紙税の概要

  • 定義:不動産売買契約書に貼付する収入印紙を通じて納める税金
  • 金額:売却代金に応じて0円〜60万円
  • 負担者:売主と買主で折半するケースが多い
  • 支払時期:売買契約書作成時

不動産売却の際には、不動産売買契約書を作成しますが、この契約書は印紙税の課税対象のため、収入印紙を貼付する必要があります。

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不動産売買契約書に記載された契約金額に応じて印紙税額が決まります。

支払いは、売主と買主で折半するケースが一般的です。通常、契約書は2通作成しますので、双方が1通分の印紙税を負担します。

実際の金額は、以下の一覧表でご確認ください。2027年3月31日までは印紙税の軽減措置が取られていますので、「表1」の金額となります。

【表1:印紙税額の一覧表 2027年3月31日までに作成されるもの】

記載された契約金額 税額
10万円を超え 50万円以下のもの 200円
50万円を超え 100万円以下のもの 500円
100万円を超え 500万円以下のもの 1千円
500万円を超え 1,000万円以下のもの 5千円
1,000万円を超え 5,000万円以下のもの 1万円
5,000万円を超え 1億円以下のもの 3万円
1億円を超え 5億円以下のもの 6万円
5億円を超え 10億円以下のもの 16万円
10億円を超え 50億円以下のもの 32万円
50億円を超えるもの 48万円

出典:国税庁「No.7108 不動産の譲渡、建設工事の請負に関する契約書に係る印紙税の軽減措置」

【表2:印紙税額の一覧表 2027年4月1日以降の軽減措置終了後】

記載された契約金額 税額
1万円未満 非課税
10万円以下 200円
10万円を超え 50万円以下のもの 400円
50万円を超え 100万円以下のもの 1千円
100万円を超え 500万円以下のもの 2千円
500万円を超え 1,000万円以下のもの 1万円
1,000万円を超え 5,000万円以下のもの 2万円
5,000万円を超え 1億円以下のもの 6万円
1億円を超え 5億円以下のもの 10万円
5億円を超え 10億円以下のもの 20万円
10億円を超え 50億円以下のもの 40万円
50億円を超えるもの 60万円
契約金額の記載のないもの 200円

出典:国税庁「No.7140 印紙税額の一覧表(その1)第1号文書から第4号文書まで」

1.3. 譲渡所得税

3つめの費用は「譲渡所得税」です。

譲渡所得税の概要

  • 定義:不動産売却によって得られた所得(売却益)に課される税金
  • 税率:所有期間によって変動
  • 特例や控除:3,000万円の特別控除や軽減税率の特例など各種適用できるケースあり
  • 負担者:不動産売却で利益を得た売主
  • 支払時期:不動産売却の翌年の確定申告(2月16日〜3月15日)の時期

不動産売却によって、売却益が出た場合には、その売却益(=譲渡所得)に対して、譲渡所得税(所得税・住民税)が課税されます。

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譲渡所得は、売却代金から取得費や売却時の費用を差し引いた、利益の部分を指します。適用できる控除がある場合は、その控除額も差し引いて、最終的な課税譲渡所得金額が算出されます。

課税譲渡所得金額に乗じる税率は、所有期間と居住用か否かで変わりますので、下表をご確認ください。

image018参考:全日本不動産協会「初めて家を売却する人が読む本 – 家を売る。」


2. 不動産売却の状況により生じる7つの費用

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続いて、状況によって生じる7つの費用を見ていきましょう。

1.住宅ローン・不動産投資ローン返済手数料
2.抵当権抹消登記費用
3.ハウスクリーニング費用
4.土地の測量費用・境界確定費用
5.建物の解体費用
6.引っ越し費用
7.税理士費用

これらの費用は物件ごとに異なるため、一概に金額を示すのは難しいですが、売却代金の1~3%程度を目安に考えておくとよいでしょう。

以下で、状況別の費用について詳しく見ていきます。

2.1. 住宅ローン・不動産投資ローン返済手数料

1つめの費用は「住宅ローン・不動産投資ローン返済手数料」です。

ローン返済手数料の概要

  • 定義:ローンの残債を一括返済する際に借入先の金融機関へ支払う手数料
  • 金額:繰上返済元本の0.5~2%程度
  • 負担者:ローンの借主
  • 支払時期:ローンの一括返済時(通常は不動産売却の決済・引き渡し時)

住宅ローンや不動産投資ローンが残っている不動産を売却する際は、ローンの一括返済に伴う手数料が発生します。

例を挙げると、以下はオリックス銀行の投資用不動産ローン・住宅ローンの繰上返済解約金です。

image022出典:オリックス銀行「投資用不動産ローン・住宅ローンの繰上返済解約金について」をもとに作成
※2024年6月現在

金融機関ごとに手数料の金額は異なりますので、それぞれご確認ください。

2.2. 抵当権抹消登記費用

2つめの費用は「抵当権抹消登記費用」です。

抵当権抹消登記費用の概要

  • 定義:ローン完済後に抵当権を抹消する登記にかかる登録免許税や司法書士への報酬
  • 金額:1,000円~2万円程度
  • 負担者:売主
  • 支払時期:決済・引き渡し時

ローンが残った状態で不動産を売却する場合、抵当権抹消登記が必要となります。

ローンの担保として不動産に金融機関が設定した抵当権は、ローンを完済するだけでは、自動的に抹消されません。法務局で、抵当権の登記の抹消手続きが必要で、これは売主が行います。

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抵当権の登記抹消の際には、「登録免許税」を納付する必要があります。登録免許税額は、不動産1物件につき1,000円(土地1物件と建物1物件の合計2物件なら2,000円)です。

抵当権抹消登記は、自分で行うこともできますが、司法書士に依頼する場合は、1〜2万円程度の報酬が必要です。

2.3. ハウスクリーニング費用

3つめの費用は「ハウスクリーニング費用」です。

ハウスクリーニング費用の概要

  • 定義:販売開始前にクリーニング会社が物件を清掃・修繕する作業費
  • 金額:物件の広さや汚れ具合で数万円〜10万円
  • 負担者:売主
  • 実施時期:内見の印象を良くする戦略なら販売開始前

不動産を売却する際、物件をきれいな状態にしておくことが重要です。

事前のハウスクリーニングは、内見希望者からの好印象や売却価格の上昇が期待できるため、不動産会社と相談のうえ、ハウスクリーニングを行うケースは少なくありません。

ハウスクリーニング費用は、物件の広さや汚れ具合で変動します。以下は目安としてご覧ください。

ハウスクリーニング費用の目安

間取り 一式価格
マンション 1K/1DK 25,000円
マンション 1LDK/2DK 35,000円
マンション 2LDK/3DK 50,000円
マンション 3LDK/4DK 60,000円
マンション 4LDK/5DK 75,000円
一戸建て 2LDK/3DK 60,000円
一戸建て 3LDK/4DK 75,000円
一戸建て 4LDK/5DK 85,000円

なお、買い手が見つかった後、売買契約の条件交渉の際に、引き渡し前のハウスクリーニングを約束するケースもあります。この場合は、話し合い次第では、費用が買主負担となるケースもあります。

2.4. 土地の測量費用・境界確定費用

4つめの費用は「土地の測量費用・境界確定費用」です。

土地の測量・境界確定の概要

  • 定義:土地の正確な面積や境界を確定するための測量作業
  • 金額:土地面積や立地条件で10万円~50万円程度
  • 負担者:原則として売主だが、買主と折半のケースもある
  • 実施時期:売却前

土地および土地付き物件の売却では、「公簿売買」と「実測売買」があります。

  • 公簿売買:登記上の土地面積を売買対象とする方法
  • 実測売買:契約締結までに測量を行い、測量図を作成して実際の面積を売買対象とする方法

どちらの方法で契約するかは、売主と買主の合意によって、選択します。

実測売買では測量は必須です。公簿売買でも、境界線が曖昧な場合には、境界確定のための測量が必要となります。

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測量を行う場合には、大きく2つの種類があります。

  • 現況測量:土地の現況を測量し、面積や形状を確認する測量
  • 確定測量:隣接地との境界を確定し、境界標を設置する測量

現況測量のみなら10〜20万円、確定測量まで行う場合は30万〜50万円程度が相場となります。

ただし、隣接地が公共用地(道路など)で役所の立ち会いが必要な場合や、広大な土地、山間部などでは、さらに高額になることがあります。

2.5. 建物の解体費用

5つめの費用は「建物の解体費用」です。

建物解体費用の概要

  • 定義:古家付きの土地を更地にして売却する際の建物解体費用
  • 金額:建物の構造や規模次第で数十万円~数百万円
  • 負担者:売主
  • 実施時期:売却前

古家が建っている土地を売却する場合、販売戦略として、解体して更地にして売り出すか、古家付き土地として売り出すかという選択肢があります。

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更地にして売り出す場合には、解体費用が生じます。解体費は建物の構造や大きさで大きく異なり、木造家屋なら数十万円ですむこともありますが、鉄筋コンクリート造では数百万円を要することもあります。

一方、解体しない選択をした場合でも、買主が解体費用を負担すると想定し、その分を売却価格から値引くのが一般的です。

よって、解体せざるを得ない古家がある場合は、負担の方法は異なるものの、解体費用分の負担は避けられないと認識しておくべきでしょう。

2.6. 引っ越し費用

6つめの費用は「引っ越し費用」です。

引っ越し費用の概要

  • 定義:自宅売却後の新居への引っ越し費用
  • 金額:荷物の量や移動距離で変動、数万円~数十万円
  • 実施時期:売却後

現在居住中のマイホームを売却する場合には、新居への引っ越し費用も準備する必要があります。

引っ越し費用は、荷物の量・移動距離・プラン・シーズンといった要素で大きく変動しますので、それぞれの状況で見積もりを取ることが大切です。

参考までに、以下は関東運輸局のサイトに掲載されているモデル運賃・料金です。

引っ越し内容 トラック・作業員 料金
単身
1階 1K~1DK
100km程度
2トン車1台
運転手1名・作業補助1名
50,000~60,000円
家族
1階 2DK~3DK
100km程度
4トン車1台
運転手1名・作業補助2~3名
100,000~120,000円

※ 引越しサービスの内容
・大物類の荷造り、荷解き及び搬出、搬入は業者が行う。
・ダンボール箱10枚~20枚をセット。
・1名~3名の作業員が含まれる(車の大きさにより人数が異なる)。
出典:関東運輸局「引越しのモデル運賃・料金」をもとに作成

2.7. 税理士費用

7つめの費用は「税理士費用」です。

税理士費用の概要

  • 定義:不動産売却に伴う確定申告を税理士に依頼する際の費用
  • 金額:10万円〜30万円程度
  • 支払時期:確定申告の時期(2〜3月)

譲渡所得税の納付が必要な場合や、納付が不要でも各種控除・特例の適用を受ける場合は、確定申告が必要です。

不動産売却時の税務は複雑なため、自力での対応が難しい場合には、税理士に依頼する費用が生じます。

譲渡所得税の計算式を再掲しますが、とくに「取得費」の計算と、適用できる「特別控除」の判断が難しいところです。

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以下の場合には、税理士に依頼するのが賢明でしょう。

  • 確定申告の準備をする時間や知識がない場合
  • 高額な不動産を売却し、多額の譲渡所得税が見込まれる場合
  • 複数の不動産を売却するなど、税務処理が複雑な場合
  • 節税対策や税務調査対応など、専門的な税務サポートが必要な場合

一方、以下のケースでは、税理士に依頼せずにご自身で対応することも可能です。

  • 取得費や控除の計算が明確で、自力で問題なく確定申告できる場合
  • 売却益が発生せずに譲渡所得税の課税がなく、特例・控除の適用も受けない場合

3. 不動産売却費用を安くする10の工夫

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ここまで見てきたように、不動産売却には、さまざまな費用がかかります。「できるだけ、安くしたい」というのが本音ではないでしょうか。

以下では、不動産売却にかかる費用をできるだけ抑えるための工夫をご紹介します。

1.売却時の所有期間に配慮する
2.譲渡所得税に関連する特例を最大活用する
3.譲渡所得を損益通算する
4.抵当権抹消登記は自分で行う
5.クリーニングやリフォームは必要十分に留める
6.不要品は売却する
7.仲介手数料は無理のない範囲で交渉する
8.ローンは出口を見据えて選ぶ
9.どの費用も相見積もりを取る
10.不動産の専門家に相談する

3.1. 売却時の所有期間に配慮する

1つめは「売却時の所有期間に配慮する」です。

前出の譲渡所得の税率表を再掲しましょう。

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不動産売却では、所有期間によって譲渡所得税の税率が大きく変わりますので、注意が必要です。

なお、所有期間の判定基準は、引渡し日または契約の効力発生日(通常は契約の締結日)の、どちらでも任意で選択できます。

参考1:譲渡日の判定
土地や建物の譲渡日は、原則として、譲渡した土地や建物の引渡しがあった日となります。ただし、納税者の選択により、農地以外の資産については譲渡に関する契約の効力発生日(通常は契約の締結日)、農地については譲渡に関する契約の締結日とすることもできます。
出典:全日本不動産協会「譲渡所得における不動産の譲渡日と取得日の判定法」

参考2:取得日の判定(原則)
売買により他から取得した土地や建物の取得日は、譲渡日の判定基準を準用します。したがって、原則的には土地や建物の引渡しがあった日が、取得日となります。ただし、納税者の選択により売買契約締結日を取得日とすることもできます。
出典:全日本不動産協会「譲渡所得における不動産の譲渡日と取得日の判定法」

3.2. 譲渡所得税に関連する特例を最大活用する

2つめは「譲渡所得税に関連する特例を最大活用する」です。

不動産売却で発生する譲渡所得税の負担を軽減するためには、特例の活用が欠かせません。

譲渡所得税の特例の例
マイホームを売ったときの特例:マイホームの売却で、一定の要件を満たす場合に適用される特別控除。3,000万円を譲渡所得から控除できる。
マイホームを買い換えたときの特例:マイホームを売却し、新たにマイホームを取得する場合に適用される特例。譲渡益の課税を繰り延べできる。
被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例:被相続人の居住用家屋を相続し、一定の要件を満たす場合に適用される特別控除。

このような特例を適切に活用すれば、譲渡所得税の負担を大幅に軽減できる可能性があります。

特例の適用には複雑な要件があるため、不動産の売却を検討する際は、税理士など専門家に相談し、自身の状況に合った特例を適用することが重要です。

税理士に依頼しない選択をする方は、税務署で相談しましょう。最寄りの相談窓口は、税についての相談窓口(国税庁)にて確認できます。

参考:国税庁「No.3302 マイホームを売ったときの特例」「No.3355 特定のマイホームを買い換えたときの特例」「No.3306 被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例」

3.3. 譲渡所得を損益通算する

3つめは「譲渡所得を損益通算する」です。

不動産売却で損失が発生した場合で、ほかの土地や建物の売却で利益が出ている場合には、その譲渡所得から損失額を控除できます(損益通算)。

注意点としては、土地・建物の売却による譲渡所得は分離課税となっています。総合課税である所得(給与所得、事業所得、家賃収入、株式の譲渡所得など)とは、損益通算はできません。

参考:国税庁「No.3203 不動産を譲渡して譲渡損失が生じた場合」

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ただし例外があり、マイホームの売却で損失が出た場合、その他の所得との損益通算や、翌年以降への繰越控除ができる特例があります。

(1)新たにマイホームを買い換える場合の特例
マイホームを売った年の前年から翌年までの3年の間に新たなマイホームを取得し、年末においてその新たなマイホームの取得に係る住宅ローン残高があるなどの、一定の要件に該当する場合には、売ったマイホームの譲渡損失の金額について損益通算及び繰越控除をすることができます

(2)新たにマイホームを買い換えない場合の特例
マイホームの譲渡契約締結日の前日において住宅ローン残高があるマイホームを売ったなどの、一定の要件に該当する場合には、そのマイホームの譲渡損失(住宅ローン残高からマイホームの譲渡対価の額を控除した残額を限度とします。)の金額について損益通算及び繰越控除をすることができます

出典:国税庁「令和5年度版 暮らしの税情報」

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出典:国税庁「令和5年度版 暮らしの税情報」を加工

参考:国税庁「No.3370 マイホームを買い換えた場合に譲渡損失が生じたとき(マイホームを買い換えた場合の譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例)」「No.3390 住宅ローンが残っているマイホームを売却して譲渡損失が生じたとき(特定のマイホームの譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例)」

3.4. 抵当権抹消登記は自分で行う

4つめは「抵当権抹消登記は自分で行う」です。

不動産売却時に必要となる抵当権抹消登記は、自分で行うと、司法書士報酬の費用を削減できます。

自分で抵当権抹消の手続きを検討されている方は、法務省の以下のページをご覧ください。

住宅ローン等を完済した方へ(抵当権の登記の抹消手続のご案内)(法務局)

法務省のページでは、以下のプロセスがそれぞれ詳しく解説されています。

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ただし、手続きに不慣れな場合、ミスによる登記の遅延などのリスクがあります。不安があれば、司法書士への依頼を検討しましょう。

コスト削減と手続きの確実性のバランスを考慮し、最適な方法を選択してください。

3.5. クリーニングやリフォームは必要十分に留める

5つめは「クリーニングやリフォームは必要十分に留める」です。

不動産売却前のハウスクリーニングやリフォームは、過剰にならない範囲を見極める必要があります。

過剰なクリーニング・リフォームを避けるポイント
汚れの程度の見極め:目立つ汚れや傷はクリーニングや補修が必要だが、軽度の汚れは売却価格に大きな影響を与えない。過剰な清掃は避ける。
リフォーム箇所の絞り込み:老朽化した設備の交換など、売却価格アップに直結するリフォームに絞る。買主の好みに合わない可能性があるリフォームは控える。
DIYの活用:専門業者に依頼せず、自分で行えるクリーニングやリフォームはDIYで実施する。ただし、スキルと安全性を考慮する。

クリーニングやリフォームの費用は、物件の状態や売却戦略によって大きく異なります。一律に必要経費として考えるのではなく、費用対効果を検討して判断しましょう。

3.6. 不要品は売却する

6つめは「不要品は売却する」です。

不動産売却前に処分する必要のある不要品は、できる限り売却して、金銭に換えましょう。

不要品を売却する方法の例
買取業者への売却:家電・家具・骨董品など、専門分野に強みを持つ買取業者に売却する。複数の業者から見積もりを取り、比較検討することが重要。
リサイクルショップでの売却:幅広い品目を取り扱うリサイクルショップに持ち込んで売却する。店舗までの運搬が必要だが、まとまった量の不要品を一度に売却できる。
フリマアプリの活用:スマートフォンで簡単に利用できるフリマアプリを活用し、個人間で不要品を売買する。手数料が低く、高値での売却が期待できるが、買い手とのやり取りや発送作業などが必要となる。
オークションサイトの利用:オークションサイトに不要品を出品し、競争入札で売却する。希少価値の高いアイテムは高値がつく可能性があるが、出品手数料や落札手数料がかかる。

注意点としては、不要品の売却価格は、物品の種類や状態によって大きく異なります。過度な期待はしないようにしましょう。

不要品を清掃し動作確認を行ったり、付属品や説明書をそろえたりすると、売却価格を上げやすくなります。

3.7. 仲介手数料は無理のない範囲で交渉する

7つめは「仲介手数料は無理のない範囲で交渉する」です。

本記事の前半で「過度の値引き交渉には注意が必要」とお伝えしました。

とはいえ、不動産の売却では、仲介手数料が大きな負担となるため、「仲介手数料を下げたい」という方は多いものです。その場合には、無理のない範囲で交渉してみるのも一案といえます。

仲介手数料の交渉は、売却しようとしている不動産の売りやすさによって、交渉の難易度が変わります。

  • 売りやすい物件(買い手がすぐに見つかる)の場合不動産会社は、早期の成約を見込めるため、ある程度の手数料の値引きに応じる可能性が高くなります。ただし、大幅な値引きを求めすぎると、不動産会社との関係性を損ねるリスクもあるため、バランスを取ることが大切です。
  • 売りにくい物件(買い手がなかなか見つからない)の場合:不動産会社は、売却に時間がかかることを見越して、手数料の値引きに応じにくくなる傾向があります。この場合、無理な値引き交渉よりも、不動産会社と協力して売却活動に注力するほうが賢明でしょう。

仲介手数料は成功報酬となりますので、いくら安い金額を引き出しても、成約しなければ意味がありません

不動産会社の立場も理解した上で、win-winの関係を築くことを心がけましょう。

3.8. ローンは出口を見据えて選ぶ

8つめは「ローンは出口を見据えて選ぶ」です。

不動産を売却する際のローン返済にかかる費用は、当初どのようなローンを選択したかによって大きく異なります。

将来的な売却を見据えて、最適なローンを選ぶことが、費用を節約するための重要な鍵となります。

繰上返済の可能性がある場合には、金利の高低だけでなく繰上返済に伴う手数料について十分に比較検討することが大切です。

低金利のローンでも、繰上返済の際の手数料が高額に設定されていると、結果的にトータルでの費用負担が想定以上に重くなってしまう可能性があります。

3.9. どの費用も相見積もりを取る

9つめは「どの費用も相見積もりを取る」です。

不動産売却にかかる各種費用は、各業者によって金額が異なります。どの費用についても、複数の業者から相見積もりを取ることが大切です。

相見積もりを取るポイント

  • 対象費用の洗い出し:仲介手数料、ハウスクリーニング、リフォーム、各種手数料など、相見積もりが可能な費用を洗い出す。
  • 業者選定の基準設定:費用の安さだけでなく、サービス内容や実績、信頼性など、業者選定の基準を設定する。
  • 見積もり依頼の方法:電話、メール、訪問など、業者に合わせた方法で見積もりを依頼する。依頼内容の条件をそろえ、明確に伝えることが重要。
  • 見積書の内容確認:見積書に記載された内容を詳細に確認し、不明点があれば質問する。追加料金の有無なども確認。
  • 価格交渉の実施:相見積もりの結果を踏まえ、価格交渉を行う。他社の見積もりを根拠に値下げを提案するのも有効。

相見積もりは手間がかかりますが、費用圧縮のために欠かせないプロセスといえます。事業者選びに迷ったら、ほかの売主の口コミなども参考にするとよいでしょう。

3.10. 不動産の専門家に相談する

10番めは「不動産の専門家に相談する」です。

不動産売却にはさまざまな費用がかかり、それぞれ節約の方法があります。しかし、自分だけで対策を考えるのは難しいものです。

そこで、早めに専門家である不動産会社へ相談することをおすすめします。

不動産の専門家に相談するメリット

  • 適切な売却戦略の提案:物件の特性や売主の希望を踏まえ、最適な売却戦略を提案してもらえる。費用対効果の高い方法を知るチャンスになる。
  • 各種費用の見積もり:仲介手数料、税金、各種手数料など、売却にかかる費用の見積もりをしてもらえる。資金計画を立てやすくなる。
  • 節税対策のアドバイス:税制の特例や節税対策など、専門的な知識に基づくアドバイスを得られる。税負担を軽減できる可能性がある。
  • スケジュール管理の助言:売却活動のスケジュールを適切に管理するための助言を得られる。無理のない計画的な売却が可能になる。

不動産の専門家に相談すれば、費用節約の具体的な方法や注意点を学べます。自分だけでは気づかなかった節約術を発見できるかもしれません。

もしお困りであれば、ぜひ弊社にご相談ください。豊富な実績をベースに、お客様のニーズに合わせた最適な対策をご提案いたします。以下のページから、お気軽にお問い合わせください。

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4. まとめ

本記事では「不動産売却にかかる費用」をテーマに解説しました。要点をまとめておきましょう。

不動産売却でかかる3つの基本費用として、以下を解説しました。

1.仲介手数料
2.印紙税
3.譲渡所得税

不動産売却の状況により生じる7つの費用は、以下のとおりです。

1.住宅ローン・不動産投資ローン返済手数料
2.抵当権抹消登記費用
3.ハウスクリーニング費用
4.土地の測量費用・境界確定費用
5.建物の解体費用
6.引っ越し費用
7.税理士費用

不動産売却費用を安くする10の工夫として、以下をご紹介しました。

1.売却時の所有期間に配慮する
2.譲渡所得税に関連する特例を最大活用する
3.譲渡所得を損益通算する
4.抵当権抹消登記は自分で行う
5.クリーニングやリフォームは最低限にする
6.不用品は買取業者に売却する
7.仲介手数料は無理のない範囲で交渉する
8.ローンは出口を見据えて選ぶ
9.どの費用も相見積もりを取る
10.不動産の専門家に相談する

不動産売却は、高額な取引になるため、費用面での準備と対策が欠かせません。本記事でご紹介した内容を参考に、利益を最大化する売却を実現していただければ幸いです。

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