レインズとは何?不動産物件システムの仕組みを分かりやすく解説

レインズ
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レインズ(REINS)とは「Real Estate Information Network System」の頭文字「REINS」を示したもので、不動産物件情報交換のためのネットワークシステムを指します。

簡単に言うと不動産仲介会社が物件情報を確認するシステムなので、一般の方は残念ながらアクセスできないものです。ただし、物件を売却するために媒介契約をした売主のみ、自身の売却物件に限り閲覧できます。

一般人がアクセスできないのなら、あまり私たちには関係ないのでは…?と思うかもしれませんが、実はそうではありません。売却したい物件の情報がレインズに掲載されれば、より多くの不動産仲介会社に物件を見つけてもらうことができ、買主を早く見つけられるからです。

この記事では、自宅や収益物件を売買したい人やこれから売買を検討している人向けに、レインズを最大限活用するための方法を解説していきます。

◎レインズとは

 不動産情報を一元化するシステムで、不動産会社のみが閲覧できる
 一元化することで、スピーディーな不動産売買を実現するシステム

◎レインズに早く登録してもらうことで売主にもメリットがある

 専属専任媒介契約なら5日以内、専任媒介契約なら7日以内に登録される
 一般媒介契約の場合は登録義務はない

◎媒介契約を済ませた売主はレインズにどう掲載されているかチェックできる

 情報が正しいか、囲い込みされていないかを自分の目で確かめることが重要

◎一般の人でも見れるレインズ情報がある

 「REINS Market Informaiton」を使えば、過去のレインズ情報(成約情報)を閲覧できる

レインズの仕組みを正しく知っておくことが、スムーズな不動産売却につながります。レインズの仕組みや媒介契約の種類について、この記事を読んでしっかり理解してください。


1.レインズとは?

レインズ

冒頭でも述べた通り、レインズは不動産会社のみが利用できるネットワークシステムのため、一般の人は閲覧できません。(ただし、売却物件を売り出し中の売主は、自分の物件に限り)

なぜ不動産会社のためにレインズが作られたのか、システムの詳しい内容やメリットなどを解説していきます。

1.1.レインズとは不動産会社のみが閲覧・登録できるシステム

レインズ 閲覧

レインズ(REINS)は、国土交通大臣から指定を受けた不動産流通機構が運営しているコンピューターネットワークシステムのことです

正式名称は「Real Estate Information Network System(不動産流通標準情報システム)」といい、頭文字を取って「レインズ(REINS)」と呼ばれています。

会員になっている不動産会社だけが、レインズに登録されている売買物件を検索したり、物件情報を登録したりすることが可能です。

また、レインズには過去に取引された事例が蓄積されており、それらを参考にエリアごとの適正価格を知ることができます。

1.2.不動産会社がレインズを活用する3つのメリット

動産会社がレインズを活用することで得られるメリットは3つあります。

メリット①不動産情報を一元化することで、スピーディーな売買を実現

お客様から預かった物件売却情報をレインズに登録することで、レインズに登録している多くの不動産会社に情報を共有できます。売買物件が多くの不動産会社の目に触れることにより、スピーディーに不動産売買を成約できます

もしレインズがなければ、物件情報を複数の不動産会社に電話などで問い合わせる必要があります。しかしレインズを活用すれば、全国の物件をパソコン画面で簡単に検索でき、詳細な情報や図面などもシステムで確認できるのです。

メリット②蓄積された過去の取引事例を見ることで、適正価格が分かる

物件の売買が成立した後、不動産会社は、売買契約が成立した年月日や取引価格などをレインズに登録します。このように、レインズには実際の取引情報がリアルタイムで蓄積されています

こうした過去のリアルな取引事例を参考にすることで、新たに不動産の売却依頼や査定依頼が入った時に、蓄積された情報を基により適正な価格を算出できます。実際に不動産会社が行う査定でも、レインズの情報が活用されています。

メリット③媒介契約制度に基づいて、より安全な不動産取引を促す

不動産売買の媒介契約には3種類ありますが、このうち「専属専任媒介契約」と「専任媒介契約」ではレインズへの登録が義務付けられています。

レインズに登録すれば、売主は自分の物件が適切に取引されているかチェックできます。つまり、レインズの登録を推進することで、より安全で公平な不動産取引を実現できます

1.3.全国に4つのレインズがある

レインズは対象エリアごとに4つに分けて運営されており、それぞれ運営団体が異なります。

機構名称・団体名

対象エリア

東日本レインズ
(公財)東日本不動産流通機構

北海道・青森県・岩手県・宮城県・秋田県・山形県・福島県・茨城県・栃木県・群馬県・埼玉県・千葉県・東京都・神奈川県・新潟県・山梨県・長野県

中部レインズ
(公社)中部圏不動産流通機構

富山県・石川県・福井県・岐阜県・静岡県・愛知県・三重県

近畿レインズ
(公社)近畿圏不動産流通機構

滋賀県・京都府・大阪府・兵庫県・奈良県・和歌山県

西日本レインズ
(公社)西日本不動産流通機構

鳥取県・島根県・岡山県・広島県・山口県・徳島県・香川県・愛媛県・高知県・福岡県・佐賀県・長崎県・熊本県・大分県・宮崎県・鹿児島県・沖縄県

1.4.レインズが不動産会社しか利用できない理由

レインズ 個人情報

繰り返しになりますが、レインズは不動産会社だけが利用できるシステムです。その理由としては、個人情報への配慮があります。売却物件情報や顧客情報など、多くの個人情報を取り扱っているため、一般の人は利用できません。

ただし、レインズの情報を一般の人でも使えるようにしたシステムもあります。

それが「REINS Market Information」です。

「REINS Market Information」では、個人情報が特定できない情報に加工したうえで、エリアごとの過去の成約価格や相場、面積などの物件情報を検索できます。

詳しい活用方法や使い方を「4.一般人も閲覧可能な「REINS Market Information」の使い方」で紹介しているので、ぜひ参考にしてください。


2.レインズに早く物件情報を登録してもらう方法

レインズ登録

1章では「レインズとは何か?」を解説してきましたが、ここからは、不動産を売却しようとしている売主にとってのメリットに当たる部分を説明していきます。不動産投資で利益を出したい不動産投資家にとっても重要なポイントなので、ぜひしっかり理解してください。

売主にとってのレインズのメリットは、売却した不動産の物件情報を登録してもらうことで、より多くの不動産会社に情報を共有してもらえることです。見てもらえる確率が上がるため、物件の買い手が見つかりやすくなります。

ただし、レインズに物件を掲載することにより、「売りづらい物件」というイメージがついてしまい、値下げ交渉などが多くなり、希望していた値段で売却できなくなる可能性があります

売却を依頼する業者に顧客が多くいることが分かっている場合は、レインズに登録させることを急がず、業者の顧客の中で買主を探してもらう方が高値で成約する可能性が高まるでしょう。レインズに登録させるかどうかは、任せる業者の力量も見て判断することが賢明です。

ここからは、あまり顧客のつてを持っていなさそうな不動産業者に売却を依頼した場合、もしくは任せていた不動産業者が、なかなか売却ができない場合に、レインズに登録してもらう方法を解説していきます。

では、レインズのシステムに早く確実に情報を登録してもらうにはどうしたら良いのでしょうか。

2.1.レインズに登録義務がある媒介契約を選ぶ

早く物件情報を登録してもらうためのカギは、不動産会社との「媒介契約」の種類にあります。

不動産売却を不動産仲介会社に依頼する場合、まず媒介契約というものを結びますよね。媒介契約には3種類あり、レインズへの登録義務も異なります(他にもさまざまな違いがあります)。

媒介契約の種類

レインズへの登録義務

専属専任媒介契約

媒介契約締結の翌日から5日以内にレインズに登録する義務がある。

専任媒介契約

媒介契約締結の翌日から7日以内にレインズに登録する義務がある。

一般媒介契約

レインズへの登録義務はない。任意で登録が行える。

①専属専任媒介契約:5日以内にレインズ登録される

専属専任媒介契約とは、一社の不動産会社のみと媒介契約を結ぶものです。売主が自ら買い手を見つけて契約することはできず、契約する場合は違約金が発生します。

その代わりに、売主に1週間に1回以上の頻度で販売状況を報告し、契約締結の翌日から5日以内にレインズに登録する義務があります。

②専任媒介契約:7日以内にレインズ登録される

専任媒介契約とは、専属専任媒介契約と同様に一社の不動産会社のみと媒介契約を結ぶものですが、売主が自ら買い手を見つけることが禁止ではありません。ただしその場合、媒介契約のために要した費用を支払う必要があります。

また、売主に2週間に1回以上の頻度で販売状況を報告し、契約締結の翌日から7日以内にレインズに登録する義務があります。

③一般媒介契約:レインズ登録の義務はない

一般媒介契約とは、複数の不動産会社と媒介契約を結ぶことができる契約です。売主が自ら買い手を見つけても問題なく、違約金なども発生しません。

ただし、売主に販売状況を報告する義務はなく、また、レインズに登録する義務もありません。


レインズに確実に登録してもらいたい場合は、レインズへの登録義務がある媒介契約を選ぶと確実です。

2.2.レインズに登録してもらうよう不動産会社にお願いする

先ほど説明した通り、一般媒介契約を選ぶとレインズへの登録義務はありません。しかし、登録ができないわけではなく、不動産会社が登録したいと思えば登録は可能です

レインズの登録をしてもらえるよう、不動産会社に働きかけて登録してもらうようにしましょう。

ただし、一般媒介契約ではレインズへの登録をしたがらない不動産会社が存在することも事実です。なぜならば、不動産会社が自力で買主を見つけて売買が成立すれば、売主と買主の両方から仲介手数料を受け取れるからです(これを両手仲介といいます)。

もちろん、自力で見つけた買主と、希望の価格で取引できる場合もあるため、この場合には時間の面でも価格の面でもベストな取引ができたといえます。業者に販売力や顧客のつてがある場合は、レインズに登録しない方が取引が上手く行く場合もあるので、覚えておきましょう。

そのため、一般媒介契約を締結した後にお願いしても動いてもらえない可能性があります。確実に登録してもらうには、契約前にレインズ登録について相談し、契約事項にレインズ登録についての内容を追加すると良いでしょう。

2.3.登録状況を確認し、囲い込みに注意する

レインズへの登録義務がある専属専任媒介契約や専任媒介契約を締結した場合でも、本当にレインズに登録されているか確認するため、レインズの登録状況を確認しましょう。

レインズは不動産会社しか閲覧できないシステムだと紹介しましたが、売却依頼主の場合は、自分が依頼した物件のレインズ登録内容や取引の現状を確認できます

レインズに物件情報が登録されると、レインズから不動産会社に登録証明書が発行されます。不動産会社から登録証明書を受け取り、書面に書かれているレインズのURLとID・パスワードを入力して、情報を確認してみてください。

登録証書

出典:東日本レインズ「登録証明書面サンプル」

レインズにアクセスすると、登録物件の取引状態が確認できます。「公開中」「書面による購入申し込みあり」「売主都合で一時紹介停止中」の3つのステータスのうち、「公開中」になっているか確認してみてください。

まだ申し込みが入っていないのにステータスが「公開中」以外になっている場合、不動産会社が「囲い込み」をしている可能性があります「囲い込み」は、不動産会社が、他社に自社の売却物件の情報を紹介しないという行為です。自社で買主を見つければ売主と買主の双方から仲介手数料をもらえるので、自社の利益だけを最優先する悪質な行為です。

こうした囲い込みをチェックするためにも、自分でもレインズの取引情報をしっかり確認するようにしましょう。


3.売主が媒介契約締結後にレインズを見る方法

レインズ

「囲い込みに注意」についての解説で少し触れた通り、売主に限り、一般人でもレインズを見ることができます。

ただし、不動産会社が使うように全ての情報を見れるわけではなく、あくまで自分の物件がどのようにレインズに登録されているかを確認するためのものです。まさに囲い込みを監視するための仕組みです。

3.1.レインズで自分の売却物件を確認できる条件

レインズを確認できるのは、自分の不動産を売却するために不動産会社と媒介契約を結び、登録証明書を受け取った方のみです。

専属専任媒介契約または専任媒介契約の場合はレインズの登録が必須なので、登録証明書をもらえない場合は確認してみましょう。

媒介契約の種類

レインズへの登録義務

専属専任媒介契約

媒介契約締結の翌日から5日以内にレインズに登録する義務がある。

専任媒介契約

媒介契約締結の翌日から7日以内にレインズに登録する義務がある。

一般媒介契約

レインズへの登録義務はない。任意で登録が行える。

一般媒介契約の場合は登録義務はなく、不動産会社が任意で登録を行うことができます。

3.2.レインズで自分の売却物件を確認する手順

パソコンと登録証明書を用意し、以下の手順で確認します。

①該当エリアのレインズ公式サイトにアクセスする

 東日本レインズ西日本レインズ中部レインズ近畿レインズ

②サイト内の「売却依頼主向けログイン」をクリックする

③登録証明書に記載されている「確認用ID」と「パスワード」を入力する

④売却依頼物件が表示される

⑤内容に問題が無いかチェックする

なお、毎日深夜(23時~翌日7時)の時間帯はメンテナンスで閲覧できないため、利用時間に注意しましょう。

自分が売却を依頼している物件が表示されたら、内容に問題がないか確認してみましょう。

①物件情報に誤りがないか

 間取りや築年数などが正しいか、不足している情報がないかを確認

②図面が登録されているか

 「図面の表示」ボタンが無い場合、図面が登録されていない可能性あり

③取引状況が合っているか

 「公開中」「書面による購入申し込みあり」「売主都合で一時紹介停止中」のいずれか
 取引が進んでいないのに「公開中」以外になっている場合、囲い込みの可能性あり

気になる点があれば、不動産会社に連絡して確認しましょう。適切に売却活動が進められているか、自分の目でも確かめることが大切です。

不動産の売却について一通りの知識を知りたい方は以下の記事もご覧ください。


4.一般人も閲覧可能な「REINS Market Information」の使い方

レインズ

出典:REINS Market Information

ここからは、不動産会社だけが利用できるレインズではなく、一般人でも誰でも閲覧・検索ができる「REINS Market Information」の使い方について紹介します。

「REINS Market Information」は、レインズを運営している不動産流通機構が、一般の人向けに公開している不動産取引情報検索サイトです。

個別の物件が特定される情報(詳しい住所など)は削除されているものの、実際に過去に取引された物件成約価格を検索できます。つまり、自分が今売りたい物件はいくらで売れそうか」「あのエリアで物件を買うといくらぐらいなのか」という時の判断材料になります。

4.1.REINS Market Informationにアクセス

まずは、以下のURLをクリックし、REINS Market Informationにアクセスしましょう。

http://www.contract.reins.or.jp/search/displayAreaConditionBLogic.do

すると、以下のようなトップ画面が表示されます。

レインズトップ

出典:REINS Market Information

4.2.検索したい建物種別や地域を選択する

次に、具体的に検索したい条件を選択していきます。

レインズ枠あり

出典:REINS Market Information(オレンジ枠は、説明のために当サイトが追加したもの)

まず、「マンション」もしくは「戸建」を選び、その下にある「都道府県」「地域」のプルダウンからエリアを選びます。

例えば、東京都中央区のマンションの情報を見たい場合は、「マンション」の下の都道府県→「東京都」、地域→「都心5区」を選択し、「検索する」ボタンをクリックします。

4.3.エリアごとの過去の取引価格を確認できる

レインズデータ

出典:REINS Market Information

検索画面の上半分には、そのエリアの直近1年の取引情報(単価と築年数)がプロットされたグラフが表示されています。また、右側の「追加検索条件」で条件を追加して検索すると、より詳細な地域の情報を表示することもできます。

例えば追加検索条件のプルダウンで「中央区月島」を選んで検索してみます。結果は、画面の下半分に表示されます。

レインズ一覧

出典:REINS Market Information

取引情報一覧の中から、あなたが売却したい(購入したい)物件に近い情報を探せば、物件価格の目安とすることができます。


5.まとめ

この記事では、レインズとは何かを軸に、さまざまな情報をお伝えしてきました。最後に簡単にこの記事をおさらいしてみましょう。

◎レインズとは

 不動産情報を一元化するシステムで、不動産会社のみが閲覧できる
 一元化することで、スピーディーな不動産売買を実現するシステム

◎レインズに早く登録してもらうことで売主にもメリットがある

 専属専任媒介契約なら5日以内、専任媒介契約なら7日以内に登録される
 一般媒介契約の場合は登録義務はない

◎媒介契約を済ませた売主はレインズにどう掲載されているかチェックできる

 情報が正しいか、囲い込みされていないかを自分の目で確かめることが重要

◎一般の人でも見れるレインズ情報がある

 「REINS Market Informaiton」を使えば、過去のレインズ情報を閲覧できる

「レインズは不動産会社しか見れないから関係ない」と思ったら大間違いです。

不動産売却を考えている人にとっては重要なシステムですので、どの媒介契約を行うかの選択を含めて、レインズで何ができるのかをしっかり頭に入れておくと良いでしょう。

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