レンタブル比は、ビルやマンションなどの延べ床面積に対する賃貸面積の占める割合を示したものです。建物の収益性を判断するための指標の1つになります。
レンタブル比を高めることで収益性を高めることができる一方、共用部分の占める割合は少なくなるため見栄えや機能性が悪くなるなどの欠点があります。
逆に、レンタブル比を低めにすることで共用部分の快適さは上がるものの、収益性は下がります。
そこで、レンタブル比はどの程度が目安になるのか、またニーズに応じてどの程度にするのがいいのか、悩んでしまいます。
この記事では、
- レンタブル比の意味
- レンタブル比の計算方法
- レンタブル比の目安
について解説します。
目次
1.レンタブル比とは
レンタブル比とは、アパートなどの共同住宅において、延べ床面積に対する専有面積(賃貸可能部分)の占める割合のことを言います。
計算式は次の通りです。
建物の面積には、「建物として機能するために必要な共用部分」と「収益の上がる専有部分(賃貸可能部分)」があります。レンタブル比が高いということは、収益を生むスペースの割合が高いことを意味します。つまり、収益物件として効率がいいことを意味します。
通路などを工夫して共用スペースを最小化すればレンタブル比は向上し、収益物件としての効率も高まります。ただし、エントランスやその他の共用部分を軽視することによって建物内の見栄えが悪くなると、物件としての魅力は落ちてしまいます。
2.レンタブル比の目安
この章では、レンタブル比の目安についてお伝えします。
レンタブル比は高めれば高めるほど収益物件としての効率があがる一方、エントランス等の共用部分が魅力ないものになってしまうリスクもあります。
そこで、どの程度のレンタブル比が理想なのかが疑問となりますが、この点については物件の種別によって分けてみていくといいでしょう。
①賃貸マンションの場合
賃貸マンションの場合、レンタブル比はおおよそ65~80%程度です。
レンタブル比を上げるほど賃貸部分の面積が大きくなるため収益性は上がりますが、利便性や外観は損なうことになってしまいます。それによって入居検討者からの人気が下がってしまわないように、廊下やエントランスなどの共用部分を確保することが必要です。
②オフィスビルの場合
オフィスビルの場合、おおよそ65~75%程度がレンタブル比の目安になります。
なお、賃貸用ではなく自社ビルとして保有をする場合は、レンタブル比は低い傾向にあります。貸す目的ではなく自社で使用する目的として設計をし、収益性を考慮に入れないためです。
③ホテルの場合
ホテルの場合、レンタブル比は70%程度が目安になります。
なお、これはビジネスホテルの場合の目安で、いわゆるリゾートホテルの場合はより低いレンタブル比になります。
3.レンタブル比を活用する場面
ここまで、レンタブル比の目安についてお伝えしました。実際にレンタブル比を活用する場面で多いのは、マンションやビル、ホテルなどの建物を新築する時です。
設計を進める中で、レンタブル比を活用して共用部分と賃貸部分(専有部分)のバランスを見ながら、収益性と機能性を両立した建物づくりを目指していきます。
4.レンタブル比は中古物件の購入の場合にはそこまで重要ではない
なお、新築ではなく中古などの物件を購入する場合、レンタブル比は物件選びにおいてそこまで重要ではないといえます。
なぜなら、中古収益物件の収益性はレンタブル比ではなく利回りで判断することが多いからです。
(表面)利回りは 年間賃料収入 ÷ 物件価格 によって決まります。この利回りが何%かによって物件を選ぶことがほとんどです。
5.おわりに
レンタブル比について解説しました。レンタブル比をどこに設定するかにより、収益性や快適さが変化します。
自分のニーズに応じて、レンタブル比を設定してみてください。
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