不動産投資におけるリスクの一つに、収益物件の「事故物件」化があります。中でも殺人事件と自殺は、オーナーとして多大な被害を受ける事態となる恐れがあるでしょう。
それらが発生したらどのように対応すれば良いのか、また事前の対策として考えられることはあるのか、不動産投資をするにあたって、事故物件について知っておくべきことをご紹介します。
事故物件のリスク
不動産投資、特に収益物件活用においては、人がそこで生活を営むものであるという性質上、「死」という問題に直面するのを避けることはできません。
特に居住者が殺人事件や自殺によって死亡した場合には、経営上大きなダメージを受けることになってしまいます。
こうした物件は事故物件と呼ばれます。新たに入居者を募集する場合、事故物件の告知義務についてはまだ明確なルール化がなされていません。 しかし少なくとも事故(事件)が発生して数年の間は告知するのが通例とされています。
となれば、その間、前と同じ賃料で入居してくれる方が現れる可能性はきわめて低くなってしまうでしょう。
事故が起きた場合の対応
事故が起きた場合には、オーナーとしてどのような対応ができるのでしょうか。
殺人の場合と自殺の場合とで見てみましょう。
殺人事件の場合
殺人事件が発生すると、その部屋だけでなく、ほかの入居者も一斉に退去してしまう可能性があります。
その後、数年にわたり入居者ゼロとなる可能性も否めません。 こうした事態に遭遇したら、外壁の塗替え、エントランスの刷新など物件のイメージが変わるリフォームを行い、物件名も変えることを検討すべきです。また家賃を下げて入居者を募ります。または、これを期に収益物件として売却するか、究極的な選択としては更地にして売却する方法もあるでしょう。
全国報道されるレベルの殺人事件であった場合は、売却するのが最も賢明な選択となる可能性が高いでしょう。
自殺の場合
自殺の場合は殺人事件の場合よりは影響は小さいと言えます。
しかしそれでも、部屋を原状回復する必要があり、当分の間はその部屋を貸すことはできません。募集を再開する際も家賃の値下げは避けられないでしょう。
また、次の入居者に対しては自殺について告知義務があるというのが一般的な認識です。 ただし、自殺した借り主との契約に連帯保証人がついていれば、連帯保証人に損害賠償を請求することが可能です。
もしくは借り主の相続人に損害賠償を請求することもできます。 実際に損害賠償が認められた判例もあります。
ただ、実際には悲しみに打ちひしがれる遺族に多額の損害賠償請求はしづらく、裁判に持ち込むのも時間と費用がかかります。現実的な選択としては、「契約が終了するまでは部屋を借り続けて欲しい」と遺族に交渉することでしょう。
事故物件扱いになるのはいつまで?
物件が事故物件扱いとなるのは、一般的には次の入居者が入るまでとされています。
告知義務も次の入居者までで、不動産業界ではその次の入居者には「告知しなくてもいい」というのが通例となっています。 ただし、告知するかどうかはオーナーの裁量に任されているとも言えます。
事前にしておくべき対策
殺人事件や自殺が起こる前に、オーナーとして事前にしておくべき対策もあります。
それがリスクヘッジのための保険加入です。
いまは自殺・他殺・孤独死などに対応している火災保険があります。保証内容は保険によって異なりますが、原状回復費用を補償し、さらに6~12カ月程度の空室補償がついている保険も見られます。 自殺も殺人も、ありえないというほどには珍しいものではありません。不動産投資をする際には、万一に備えてこうした保険にはぜひ加入しておくべきです。
また犯罪防止のための防犯カメラなどの設備も整えておきましょう。 事故や事件の発生リスクはゼロにすることはできません。しかし事前にその可能性を想定し、対策や対応を考えておくことはいざというときに必ず役に立ちます。
事故物件について事前に頭を整理しておくことが、最も重要な対策と言えるのではないでしょうか。
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