アパート経営者にはコミュニケーション能力が必須…と聞くと意外に思う方もいるかもしれません。
しかしアパート経営は会社経営と同じです。しかもその事業スタイルは多くの作業を他者(他社)に委託し、自身は全体をコントロールすることに注力して収益を得るビジネスモデルを基本としています。
関係・協力会社との良好な関係を築くために必要とされるコミュニケーション能力について解説します。
アパート経営におけるコミュニケーション能力の重要性
アパート経営というビジネスを成功させるには、協力者との間に良好な関係を築けるかどうかが鍵となります。
コミュニケーション能力はそのために必要なスキルであり、コミュニケーションが不得手な人にこのビジネスは向きません。
ただ、コミュニケーション能力が高い人とは、必ずしも話すのが得意で社交的な人を指すわけではありません。
例えば、「金を支払っているのは自分なのだから、作業を委託する会社は自分の言うことに従っていればいい」といった高圧的な態度を取ってしまうオーナーがいます。
あるいは相手の会社のやり方が気に入らないとすぐにクレームを付け、喧嘩腰になる人も少なくありません。
こうした人は話すのが苦手というわけではありませんが、コミュニケーション能力には少々問題があると言わざるを得ません。
ではコミュニケーション能力が高いのはどんな人かと言えば、相手の立場に立って話し、接することができる人、静さを失わず粘り強く情報や価値観の共有をしようとする人、関係・協力会社と信頼関係を構築しようと努力する人などです。
これらは見方を変えれば、会社や担当者を「うまく使う」ことができる人たちです。
アパート経営において関わる人たちとは
アパート経営者が相手にする人たちとは、管理会社や不動産会社の担当者、確定申告を依頼する税理士などです。
たとえば管理会社は非常に多くのアパートオーナーを顧客として抱えています。そしてどの物件を重点的に扱い、客付けしていくかは、管理会社および担当者のさじ加減一つで決まります。
管理会社の担当者も人間なので、物件を扱う際は高圧的で喧嘩腰のオーナーよりも、感じのいい人や話しやすい人の物件を優先してしまうのが人情というものです。
実際にデータを取れば、コミュニケーション能力の高い人、管理会社の担当者や各関係者をうまく使うことができるオーナーほど物件の入居率が高いという事実が明らかになるはずです。アパート経営者のコミュニケーション能力の有無は収益に直結すると言っても過言ではありません。
コミュニケーションをとる上で知っておきたい不動産業界のこと
もう一つ、アパート経営で関係・協力会社と円滑なコミュニケーションをとるために欠かせないポイントがあります。
それは不動産業界独特の特性や体質を理解し、そのことを前提として担当者と接し、動かすことです。
やや乱暴な表現になりますが、不動産業界は「古く」、「いい加減」な業界です。世の中の最先端の動きからは3歩も4歩も遅れた後進性を抱えています。最近でこそインターネットやメールを駆使する会社が増えてきていますが、一方でいまだに主要な伝達手段は電話とFAXという会社も少なくありません。
また、対面で接することや仲間内の関係で仕事が回っているという特性もあり、人との関わり合いが非常に重視されます。中には「好きか嫌いか」という判断で商売をする人もいます
そのため不動産会社と良好な関係を築くにはまず特定の人と懇意な間柄になることから始めなければならず、そこで苦労をするオーナーも出てきます。
さらに、これはおかしな話なのですが、不動産業界では物件を所有している、紹介する側のほうが「偉い」と捉えられる向きがあります。
不動産は他の商品と違って代替のきかないものであることも関係しているのでしょう。お金を払うお客様側よりも、不動産を売る側や紹介する側が主導権を握っている例がよく見られます。
その良し悪しは置いておいて、こうした特徴についてもある程度理解していることが求められます。
不動産業界の特性や体質、古い習慣なども把握した上で、管理会社や不動産会社を上手に使うこと、これがアパート経営をスムーズにスタートさせ、継続していくコツです。
そのために必要なのがアパート経営者のコミュニケーション能力です。アパート経営における武器として、ぜひ意識してみてください。