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相続した物件で賃家建付地の評価減が受けられない場合はどんなとき?
2018/07/16

相続した物件で賃家建付地の評価減が受けられない場合はどんなとき?

相続税対策として有効に活用できる貸家建付地。
しかし、とりわけ相続直前に収益物件を取得する際には、思ったような評価減が受けられないことがあります。
貸家建付地を相続税対策として活用する際に知っておくべきケースについて説明します。

 

 

貸家建付地の評価減が受けられない場合はどんなとき?

 

宅地は利用制限や権利の有無によって、自用地(自分で利用している利用制限のない土地、更地)、貸宅地(貸し付けている第三者が建物を建築しており、それによって自分が地代を得ている土地)、貸家建付地などの種類に分けられます。

 

貸家建付地は、アパートやマンションなどの収益物件を建てて、他人に貸し付けている土地のことです。
貸宅地との違いは、自分が建築した建物を他人に貸しているという点にあります。

 

貸家建付地は単なる土地やマイホーム物件ではなく、人に貸しているという性質上、相続税が大幅に評価減されます。
仮に固定資産税評価額が3,000万円の土地を所有していたとして、その土地に収益物件を建てて人に貸せば、1割以上、評価が下がります。

 

あるいは現金資産を持っていて、その現金で貸家建付地を購入すれば、評価をもっと下げることができます。
土地の路線価は一般的に時価の7~8割程度であり、建物も同様です。
これに貸家建付地という条件が加われば、4~5割もの評価減を受けられる可能性があります。

 

 

さらに、収益物件は入居者からの家賃収入も得られます。これが、賃家建付地が相続税対策によく利用される理由です。

 

しかし、注意したいのは収益物件に「長期の空室」があった場合です。
空室は人に貸されていないことになるので、その部分については貸家建付地としての評価減が受けられません。
長期の空室の中には、オーナーが使用していた場合も含まれます。

 

 

相続税対策の物件は満室の物件がいい?

 

そのため、相続税対策として貸家建付地を取得する場合は、長期の空室と呼べる状況が起きていないかどうかを確認する必要があります。

 

特に相続直前に収益物件を購入するなら、入居率によって評価が変動することを意識しておかなくてはなりません。
最も望ましいのは、満室で、なおかつ全室通常の賃貸借契約である物件を選択して買うことです。

 

 

運営中に空室が出た場合はどうなる?

 

では、収益物件を購入して運営中に空室が出て、そのタイミングで相続が発生した場合はどうなるのでしょうか?

 

こうしたケースでも、しっかりと入居者の募集活動や部屋のリフォームを行っていれば「一時的な空室」とみなされるので問題はありません。

 

国税庁の通達によると、「継続的に賃貸されてきたもので、課税時期において、一時的に賃貸されていなかったと認められる」部分(一時的な空室と認められる部分)の範囲は、以下の事実関係から総合的に判断するとされています。

 

 

1.各独立部分が課税時期前に継続的に賃貸されてきたものか

2.賃借人の退去後、速やかに新たな賃借人の募集が行われたか

3.空室の期間、他の用途に供されていないか

4.空室の期間が課税時期の前後のたとえば1ヶ月程度であるなど一時的な期間であったか

5.課税時期後の賃貸が一時的なものでないかどうか

 

 

貸家建付地を購入することは、相続税対策として非常に効果的です。
しかし、その際に十分な評価減が受けられないケースがあることに留意しておきましょう。

 

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