アパートの大規模修繕の1つに「外装工事」があります。アパートの収益性を保ち、さらに向上を狙うために欠かせない重要な工事です。 今回は外装工事を成功させるためのポイントをご紹介します。
外装工事のポイントを押さえておく必要性
外装工事は多額の費用がかかるため、失敗が許されない工事です。一般的に、外装工事では外装塗装、屋根(屋上)などの防水工事、さらにベランダ、駐車場などの修復と塗装を行います。
アパートの大規模修繕の中でも外装工事は主要なものであり、建物の外観を整え、防水などの機能性を強化するカギとなります。しっかりと必要なポイントを押さえて、費用対効果の高い工事を遂行することが重要です。
外装工事の考え方
外装工事を目的で分けるとすると、アップグレード工事と復旧工事の2パターンが考えられます。それぞれどのようなものかを説明します。
アップグレード工事
外装の劣化部分を修復するだけでなく、プラスアルファによって収益性や資産価値のアップを狙おうという工事です。
具体的には、外壁塗装であればカラーリングを変えるだけでなく、光触媒塗料などの機能性の高い塗料を用いることで、壁面を汚れがつきにくく、美観を保ちやすくするといった工事が考えられます。
また、アップグレード工事は20年程度の長期保有を見越して行うものなので、塗装は下塗り、中塗り、上塗りを行う3度塗りを基本とします。
屋根も長期保有を前提とするなら、既存の屋根を解体撤去して葺き替え工事を行った方が頻繁な塗装などのメンテナンスが不要となり、費用対効果が高くなることがあります。最新の軽い屋根材を使えば耐震性などもアップします。
復旧工事
こちらは劣化や損傷した箇所を修復することを主目的とした工事です。外壁の損傷を改修する工事、サビの進行を止めるための塗装、屋上のシート防水の破れを補修する工事などがあります。塗装工事も、5年以内の売却を前提とした場合は1度塗りで対応することが可能です。基本的にこの復旧工事はマイナスをゼロに戻すための工事と捉えれば分かりやすいでしょう。
塗装工事をする際のポイント
塗装工事で重要なのがカラーシミュレーションです。これはコンピューターで色を指定し、施工前に完成後の色合いを確認できるものです。 塗装会社でも対応していますが、塗料メーカーに依頼すれば塗料の品番が指定できるため失敗が少なく、シミュレーション精度も高いと言われます。
ただ、カラーシミュレーションは無料で行うことができますが、塗料メーカーでは小規模の塗装工事では受け付けてもらえないことがあるので注意してください。
アパートのカラーリングはどんな層の人が入居するかというターゲット、建物の構造やデザインとのバランス、付近の環境や建物との調和などを考えて決めていくものです。アパートの印象を決める重要な部分なので慎重に選ぶ必要があります。
カラーシミュレーション作成後は、仲介会社(取次店)へのヒアリング(10社程度)と相見積もりを経て、色の正式決定、施工へと進みます。
防水工事をする際のポイント
防水工事は雨漏りを防ぎ、内部の腐食を食い止めるために必要です。特に雨漏りが起きてしまうと入居者からのクレームに繋がり、退去にも結びつきかねません。現在は問題ないという場合でも、専門家に問題箇所がないか点検してもらって診断を仰ぎ、先回りして予防に努めるという視点で取り組みましょう。
また、RC造などの屋上の防水工事には、ウレタン塗膜防水、シート防水、アスファルト防水といった種類があります。 コストを抑えたいのであれば、シート防水をお勧めします。平成以降に建てられた賃貸物件のほとんどがこの工法です。 劣化がひどくなければシート防水用の塗料を上塗りしコストを抑えて施行することができます。
ただ、シート防水で使用される防水材は色の種類が少なく、注文をしないと緑色などの防水塗料を使われてしまうため、張り替える場合でも物件の色に合わせて色を指定すると良いでしょう。
ここまで見てきたように、アパートの外装工事は目的と想定年数をしっかりと定めて計画を立てることが大切です。工事の内容によって予算、期間ともに大きく変わるため、最適な方法を選択してください。
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