ファミリー向け、単身者向けを問わず「ペット可物件」の需要が高まっています。
アパート経営をする上で、入居者のペットについてどのように考えるのが良いのでしょうか。ペット可物件のアパート経営をするメリットとデメリットについて解説します。
ペット可物件の市場
日本のペット関連市場は1.4兆円を突破、それに合わせて賃貸物件にもペット可物件が増加しています。
中には入居者とペットが快適に暮らすための設備を整えたペット共生型物件も現れて一定の人気を得ています。 しかし、全体的にはその需要の多さに比べてまだまだペット可物件の数は少なく、物件供給が追いついていないのが現状です。
さらに、以前はペットを飼うのはファミリー層が中心だったのですが、近年では単身者がペットを飼うケースが急増しています。そのため、今後は単身者用のペット可物件の需要がさらに伸びていくと考えられます。
ペット可物件のメリット・デメリット
アパート経営をする上で、ペット可物件を運営することにはどのようなメリットとデメリットがあるのでしょうか。
それぞれ考えられることを挙げてみます。
メリット
最大のメリットはすでにペットを飼っている層、これからペットを飼いたいと思っている層に向けてアピールができ、物件の競争率が高くなることです。
そのことで賃料や敷金、礼金を高く設定することができます。首都圏ではペット可の物件は全物件数の約11%にしか満たないため、入居率のアップが期待できますし、さらにペットがいると次の引越し先を探しにくくなる傾向があり、入居期間も長くなるのもメリットです。
デメリット
ペット可物件にはデメリットもあります。
まず原状回復費用が高額になりやすいこと。壁や柱に引っかき傷が残る、床に尿などが染み込んで臭いが取れなくなる、排水管やベランダの排水口にペットの毛が詰まるなどの損害を受けやすく、その分、想定外の費用がかかる恐れがあります。
またペットの鳴き声・臭いなどに対して同じ建物内の住人や近隣からクレームを受けることも考えられます。特にもともとペット不可だった物件を途中からペット可に変更する場合には、以前からの入居者からクレームが付き、トラブルに発展することもよくあるので注意が必要です。
ペット可物件を運営するコツ
では、なるべくトラブルを回避しつつ、ペット可物件を運営するにはどうすれば良いのでしょうか。
意識すべきポイントは次のとおりです。
ペットの制限
アパート内で飼って良いペットの種類、個体数、大きさを厳格に定めておきましょう。
審査の際にペットの写真提出を求めるのも良い方法です。
原状回復の条件
ペット可では通常の賃貸より原状回復費用がかかります。
そのため入居者が原状回復を行う箇所をあらかじめ決めておく、あるいは退去後のハウスクリーニングや消臭消毒費用を入居者が負担することなどを賃貸借契約書の「特約」として細かく明記しておきましょう。退去時にトラブルにならないよう、条件については入居時によく説明しておくことも必要です。
飼い方のルール
飼い方についてのルールも定めておきます。
建物内の廊下やエレベーター内ではペットを抱き上げて移動する、ペットの毛は排水口に流さない、ペットのゴミは密封して捨てるなどのルールが考えられます。
飼いやすい環境の作り方
通常の賃貸物件を名目だけ「ペット可」にしても、それでは本当にペットに対応した物件とは言えません。
たとえば床材はフローリングよりも傷に強いフロアタイルにする、壁に消臭タイプの壁紙を使用する、柱には防護カバーを設置する、ペットの足洗い場を作るなどの工夫が考えられます。
ペットを飼いやすい環境を整えることが建物を守ることに繋がり、結果的にペット可物件のデメリットを減らすことになると考えましょう。
ペット可物件の運営にはメリットもデメリットもありますが、入居者による需要が高まっていることは確かです。ペット可物件の運営を考えるなら、まずしっかりとデメリットを回避するための対策を講じることをおすすめします。
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