不動産投資の基本は管理会社の選び方にあります。
管理会社はどのような点を評価し、どんな視点から選べば良いのか、その選び方について解説します。
管理の重要性
今から20年以上前には、日本に空室率という問題はありませんでした。なぜなら、アパートの貸室に対して入居者の方が多かったからです。
空室が出るようになったのは平成10年頃からで、日本の人口が伸びなくなり、さらには減少に転じてから、入居率が問題となり始めました。
現在、日本全体の賃貸物件の空室率は20%と言われています。今後、この率が下がることはなく、むしろ年々入居者探しは難しくなっていくでしょう。
このような状況下におけるアパート経営では、いかに入居者を確保するかが最重要課題となりますが、その重要な役割を担うのが管理会社です。 優れた管理会社であれば仲介会社とのコネクション、物件の管理能力、経営に関するコンサルティング能力などを持っています。
競争が激化すればオーナーが自主管理していくのは難しい時代になっていくことが予想されるので、管理会社に依頼するほうが、結局は費用対効果に優れているという時代になっていくでしょう。
現在の管理会社を変えるべきか
中古の収益物件を取得するときにすでに管理会社が管理を行っていた場合、新しく管理会社を選び直すべきなのでしょうか。
これは基本的に問題があれば変える、なければ変えないというスタンスで良いでしょう。 物件が問題なく運営されているようであれば、それを変更することはマイナスになりかねません。その管理会社は対象となる物件について十分な知識とノウハウがあると考えられるからです。
もしも物件を取得したあとで運営状況が悪くなれば、そのときに新しい管理会社に変更しても遅くはありません。逆に、空室が多く運営状況が良くない物件を取得したときはまず管理会社を変えるべきです。
管理会社を変更、選ぶポイント
管理会社を変更する場合、あるいは選定するときの選び方は次のとおりです。
管理実績
管理実績とは管理会社の管理戸数と入居率のことです。
調べられるのは会社が自ら公表している数字なので鵜呑みにすることはできませんが、一定の指標にはなります。いずれにしろ重要なのは最低限の実績があることです。管理戸数は3,000戸以上あれば安心できます。管理会社はスケールメリットによって業績が左右されるので、管理戸数は多いほど良いと言えます。入居率はエリアによっても基準が変わりますが、90%以上は確保されていることが望ましいでしょう。
管理・客付けに特化しているか
管理会社は仲介店舗を持たず、管理に特化している会社にすべきです。
自社仲介店舗を持つ管理会社では募集窓口がその店舗に限定され、間口が狭くなるためです。複数の仲介会社を活用している管理会社のほうが幅広く入居者を集められます。ただし、札幌や福岡などの地方都市では仲介店舗を持たざるを得ない事情もあります。その場合は会社内で仲介事業と管理事業が明確に分かれていることがポイントになります。
収益物件の媒介のノウハウ
管理会社は収益物件の売買にも精通している必要があります。不動産投資では収益物件を取得し管理した後に、売却するという出口戦略も考えるべきだからです。どのように管理をしていけば高く売れるか、どうすればコストをかけず売り物件にできるかという視点は不可欠です。オーナーと節税プランや出口戦略を共有し、出口を見据えた管理や修繕方法を提案してくれる管理会社が理想です。
相性
最後は相性の問題です。
収益物件の運営は短くても5年以上、長ければ孫子の代にまで及ぶ可能性があります。信頼でき気持ちよく取引できる会社、担当者を選びましょう。
地方都市で管理会社を選ぶポイント 人口50万人未満の地方都市(関東地方は除く)では、管理会社・仲介会社自体が少ないので、管理と仲介が分離していないのが一般的です。 その場合は、そのエリアで最も多くの仲介店舗を持っている会社を選ぶのが得策です。その上で担当者と密な関係を築いていきましょう。
というのも、地方都市では入居希望者の数が限られている中で、地元に力を持つ管理会社・仲介会社に、地元のオーナーはもちろん、首都圏在住のオーナーからも物件の管理依頼が集中します。つまり、管理物件間で競争が起きるということです。 このような状況の中で、同じ管理会社内で自身の物件を優先的に推薦してくれるよう、良好な関係を築いておく必要があります。
不動産投資においては管理会社の存在が非常に大きなものであるということがお分かりいただけましたでしょうか。
ここに挙げたような観点で実績を検討し、優秀な管理会社を選ぶようにしてください。
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