親などからアパートを相続して取得した場合、そのアパートはどのように扱えば良いのでしょうか。
仮に売却することにしたとしても、すぐに売るのは避けるべきだとも言われます。ここではアパートを相続した場合の取り扱いについて解説します。
相続したアパートの価値
アパートを相続するとどれくらいの相続税がかかるのかは、アパートの評価額によって決まります。
この評価額はどのようにして決まるのでしょう。
まず、土地(敷地)と建物はそれぞれの価値が別々に評価されます。土地の価値の基準になるのは「路線価」です。路線価はその土地が接している道路の価値に即して決められている価格で、実勢価格のおおむね70~80%と言われます。 この土地にアパートを建てていると、土地を賃貸物件の敷地として活用していることからさらに割り引いて評価されます。
一方、建物の価値は「固定資産税評価額」で評価されます。固定資産税評価額は毎年、固定資産税を支払う際の基準となる評価額で、実勢価格のおおむね60~70%と言われています。さらにこの建物を賃貸している場合には、こちらも割り引いて評価されます。
したがって、相続したアパートの価値は、評価額としては実勢価格よりもかなり低いものとなります。
相続したアパートの取り扱い
相続したアパートはどのように取り扱えば良いのでしょうか。考えられる主な選択肢は次の2つです。
そのまま運営する
アパート経営によって収益が見込めるという場合はそのまま運営するのが得策です。
築浅で人気エリアのアパートで入居率も悪くないといった条件が揃っているのならそのまま家賃収入を得ることができます。自分自身で直接、運営しなくても管理会社に任せるという方法もあります。
売却する
逆に現在、十分な収益が出ていないアパートは売却したほうが良いでしょう。
相続税対策として相続したアパートも一定期間を置いて売却することを想定すべきです。アパート経営では、いまのところ収益が出ていなくてもやがて盛り返すだろう……といった考え方はしないほうが無難です。家賃を思い切って下げることでもしない限り、入居率が急激に回復することはなかなかありません。この先、建物は老朽化していき、メンテナンス費用、修繕費用もかかります。売却して現金化することを考えたほうが結果的に正しいということのほうが多いでしょう。
相続したアパートをすぐに売ってはいけない理由
ただし、相続したアパートをすぐに売ることは避けるべきです。
このことについては実は明確な規定はないのですが、相続発生後すぐに売却して現金化すると、相続税を意図的に逃れるための租税回避行為とみなされる可能性があります。税務調査があれば指摘され、否認されることが多いでしょう。
そのため相続して一旦、取得したアパートは一定期間、保有していなければいけません。一定期間とは申告までの10カ月プラス一般的な税務調査期間である3年を加味した、おおよそ4年以上と考えましょう。最低でも4年はアパートを保有してから、売却に動き出すようにしてください。
アパートを相続して取得した場合、すぐに売ると租税回避行為とみなされる危険性があることがお分かりいただけたでしょうか。売却すると決めた場合でも、4年は運営していくことを念頭に置いておく必要があります。
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