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相続直前の物件購入で注意したい租税回避行為とは
2018/07/18

相続直前の物件購入で注意したい租税回避行為とは

収益物件の取得を利用した相続税などの税金対策を考えるとき、知っておきたいのが「租税回避行為」に関する知識です。

 

租税回避行為とはどのようなことを言うのでしょうか。
特に「相続直前の物件購入」で注意すべき点を取り上げて説明します。

 

 

 

租税回避行為とは

 

租税回避行為とは、税法が想定していない法形式を選択することによって、税負担を減少させようとする行為のことです。

 

一般的に租税回避に当たるのは、通常の取引では用いないような不自然、不合理で異常な取引形態を採用し、それによって通常の取引と同様の経済的効果を得ながら税負担を減少させるケースです。
簡単に言うと、法律の抜け道をくぐって課税を逃れる行為ということです。

 

租税回避は脱税とも節税とも異なります。脱税は納めなくてはならない税金を隠すなどして納めないことです。
節税とは控除や経費計上など税制上のシステムを適切に使って収める税金の額を払い過ぎないように抑えることです。

 

脱税は違法であり、節税は合法です。
では租税回避行為はどうかと言えば、「何人(なんびと)も法律の根拠がなければ、租税を賦課されたり、徴収されたりすることがない」という「租税法律主義」によって、形式的には合法とされます。

 

一方、租税負担は納税者に公平に配分しなければならないという「租税公平主義」という観点もあり、課税庁からは容認できない不当な行為として扱われているという側面もあります。

 

 

なお、租税回避行為があった場合、課税庁が租税法上は通常の行為形式に関する課税要件を満たしているとみなして課税することを、「租税回避行為の否認」と言います。
また、それを定めた規定は「否認規定」と呼ばれます。

 

 

相続直前の物件購入で租税回避行為になるケースとは?

 

不動産の評価は、国が定めている資産の査定によって決まります。
時価1億円の不動産を買えば、多くの場合、評価は1億円を下回ります。

 

そのため、たとえば1億円の現金資産を持っていたとして、その現金で不動産を購入すれば相続財産の評価が下がることになり、課税対象額も下がります。

 

 

土地の路線価は、一般的に時価の7~8割程度です。建物も同様です。
そして収益物件を購入すると、貸家建付地としての扱いになり、土地の評価は更地よりも大きく下がり、建物を入居者に賃貸してれば建物の評価も下がります。

 

大雑把に言えば、資産を現金で所有している場合と比べて、評価は4~5割下がる可能性があります。

 

 

この時価と評価額のギャップを利用すれば資産の圧縮が可能となり、それによってたとえば相続税を安く抑えることができます。

 

具体的には、生前に収益物件を購入しておけば、その方が亡くなった場合の相続税は現金として資産を持っていた場合よりもかなり減少します。
これはたとえ亡くなる直前に物件を取得したとしても有効な相続税対策です。

 

 

ただし、ここで重要なのは、その収益物件を取得したのが亡くなった本人の意志によるものであるかどうかです。
相続開始直前に何らかの相続税対策がなされた場合、税務調査によって税金逃れを疑われる可能性があります。

 

そのとき、仮に亡くなったのが余命宣告を受けて入院中の病人だったとすれば、物件の取得が本人の意志によってなされたのかが厳しく問われます。

 

もしも本人に判断能力がなく、相続人の意思で相続税対策商品を購入したとみなされれば、租税回避行為として否認される可能性があります。

 

 

 

収益物件を相続税対策として購入する際のポイント

 

相続財産として物件を取得する場合、それが個人での取得であれば、資産額は取得した時点の物件の相続税評価によって評価されます。

 

そのため、たとえ亡くなった方が余命3ヶ月と宣告された場合でも、極論を言えば亡くなる前日にでも、明らかに本人の意志での取得でさえあれば、取得したその日に相続税対策が可能になります。

 

ただ、現実に相続税対策として不動産を取得するときは、取得と契約だけでなく、登記まで終わっていたほうが望ましいということも頭に入れておくべきです。
そのことも含めれば、相続税対策はなるべく早めに実行に移しておいたほうがリスクを減らせるということになります。

 

 

 

相続直前の相続税対策には以上のような注意が必要です。
租税回避行為とみなされることがないよう、計画的で無理のない税金対策の実践を心がけてください。

 

 

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