収益物件を購入する際には融資を利用することになりますが、どのような金融機関が融資してくれるのでしょうか?また今まで借り入れしたこともないのですが、どのように金融機関にアプローチすればよいでしょうか?
答えは、経営者なら「オーダーメイド型」、サラリーマンなら「パッケージ型」です。
◆融資の二形態
収益物件への融資には、大きく分けて二つの形態があります。私の造語になりますが、「パッケージ型」と「オーダーメイド型」の二つです。
パッケージ型とは、ある程度商品が決まっていてその決まった条件で貸し出しが行われるものです。金利、期間、融資割合がある程度決まっており、それに当てはめて融資を行います。ある意味、住宅ローンに近い形のアパートローンです。一部の地方銀行やノンバンクがこの商品を展開していますが、金融機関のなかではこのような商品を持っているのは少数派です。
もう一つがオーダーメイド型のアパート融資です。これは、属性や物件に応じて個別に融資条件を決めていくものです。一案件ごとに、金利、期間、融資割合を決めていくのでオーダーメイドとなります。ほとんどの金融機関で行っているのはこのパターンです。
その他、最近はオーダーメイドとパッケージの中間のポジションを取る金融機関も出てきています。いずれにしても、近年は各金融機関とも収益物件に対する融資に積極的な姿勢が見られます。これは、製造業を中心として融資金額自体が減少傾向にあり各金融機関としても新たな貸出としてアパート(収益物件)への融資を強化していることが背景です。
◆サラリーマンは「パッケージ型」アパートローンを狙うのが基本
近年、収益物件活用が一般的に認知されて市場が形成されてきたこともあり、一部の金融機関ではサラリーマン向けの「アパートローン」がパッケージで提供されています。スルガ銀行、オリックスなどの一部の地銀・ノンバンク系のみならず、他の金融機関にも同様の商品があります。
この商品の特徴は、「融資条件」が項目ごとに決められていることです。具体的には、借入資格等(年齢・収入など)や、融資金額の上限、返済期間などがあらかじめ提示されており、この融資条件のなかに当てはまる人と物件のみが融資対象となります。
融資金額は物件の担保評価から算定され、担保評価の金額を超えて融資することは原則ありません。また、融資金額の上限が1億円であれば、いくら担保評価が高くても1億円までしか融資しませんし、融資割合(物件価格の90%や70%といった具合)、融資期間(税務上の耐用年数—築年数など)、金利等がすべてルールとして規格化されており、原則としてその範囲内で融資します。
このように条件をある程度パッケージ化して審査を簡便化し、融資が出やすくなっていることはメリットですが、他の地方銀行や信用金庫と比べると一般的に金利は高くなる傾向があります。
◆経営者は「オーダーメイド型」ローンを狙う
オーダーメイド型の融資を行っているのは、全国の地方銀行、信用金庫といった地域密着型の合融機関です。こちらのほうが数は断然多く、一般的です。
このような金融機関は、もちろん物件の担保評価は取りますが、たとえ担保評価が低くても借り手に信用があれば評価を超えた融資もしますし、融資期間、金利もその案件によって決定されます。つまり、その案件ごとにしつらえた、まさにオーダーメイド型の融資といえます。
会社経営者や地主層は後者のオーダーメイド型の金融機関を利用するのがよいでしょう。パッケージ型の融資よりも圧倒的に好条件で融資が受けられます。ただし、属性に貸すという側面がより強いので、利用できるかどうかは借り手の属性次第です。