収益物件から目標とするインカムゲイン(資産を保有中に得られる収益)を得るには何を指標に考えれば良いのでしょうか。
それは実質利回り、そして実質利回りと借入金利との差であるイールドギャップです。
この記事では、インカムゲインを得るために知っておきたい指標となる実質利回りとイールドギャップについて解説します。
実質利回りとは?
「実質利回り」とは、収益物件を購入する際の諸費用、運用する際の管理費、修繕費、固定資産税、都市計画税などの諸経費を考慮した上で計算した利回りのことです。
これに対し、経費を考えず、物件価格に対してどれくらいの賃料収入が得られるかという表面的な収益を表す指標を「表面利回り」と言います。
収益物件におけるインカムゲインとは、「表面利回り」ではなく、実質利回りと借入金利との差、つまり「利益」のことを言います。
この実質利回りと借入金利との差は、専門的な用語で「イールドギャップ」と呼ばれています。
表面利回り、実質利回り、イールドギャップの計算式と算出例
それでは、下記の物件Aを例にとり、表面利回り、実質利回り、イールドギャップを実際に算出してみましょう。
■物件A
- 物件価格:1億円
- 賃料収入:年1,000万円
- 諸経費:年200万円
- 借入金利:2%
表面利回りの計算式と算出例
表面利回りは年間の家賃収入の総額を物件価格で割り戻すことで算出できます。
計算式と物件Aにおける算出例は以下の通りです。
- 計算式:表面利回り=賃料収入÷物件価格×100
- 算出例:1,000万円÷1億円×100=10%
実質利回りの計算式と算出例
実質利回りの計算式と物件Aにおける算出例は以下の通りです。
古い物件ほど修繕費、つまり諸経費がかかるので、必然的に実質利回りも下がる傾向にあります。
- 計算式:実質利回り=(賃料収入-諸経費)÷物件価格×100
- 算出例:(1,000万円-200万円)÷1億円×100=8%
イールドギャップの計算式と算出例
イールドギャップの計算式と物件Aにおける算出例は以下の通りです。
- 計算式:イールドギャップ=実質利回り-借入金利
- 算出例:8%-2%=6%
イールドギャップ6%が物件Aにおけるとなります。つまり、2%でお金を借りて、8%で運用し、6%の利益が出るということです。
より現実的な利益を算出するには、このように表面利回りだけでなく実質利回り、イールドギャップを計算しておく必要があります。
イールドギャップを目安にインカムゲインを考えるメリット
実質利回りにおける高利回り、低金利というイールドギャップが高く取れる条件を整えることが「収益物件からインガムゲインを得る仕組み」を構築することにつながります。
つまり、イールドギャップを目安に考えれば、目標とするインカムゲインを得るためにどのような条件で借り入れをすれば良いのかが判断できるわけです。
たとえば、表面利回り9%、実質利回り6%という物件への投資を考えるとします。
このとき、インカムゲイン=利益を4%以上は得たいと考えた場合、イールドギャップを4%以上にしないといけません。
そうなると、「実質利回り6%-借入金利2%以下=イールドギャップ4%以上」なので、借入金利は2%以下でなければならないことがわかります。
イールドギャップを何%に設定するかは、収益物件の活用の目的によって変わってきます。
借入期間や金利にもよりますが、一般的にはイールドギャップが4~5%取れれば借入金の元金分の返済が可能になります。
海外では金利の高さなどからイールドギャップがゼロやマイナスになるケースもあります。
しかし、日本は比較的イールドギャップが高く取れるので、収益物件を購入するときは、実質利回りに加えてイールドギャップをどうすれば高く取れるかを考えたほうが良いでしょう。
実質利回りやイールドギャップという指標を使えば、収益物件からインカムゲインをどれくらい得られるかどうかのシミュレーションができます。
目の前の物件に投資すべきか否かを判断する基準にもなるので、覚えておくと良いでしょう。