不動産投資で物件を購入する際は、物件が違法建築でないかどうかの確認が欠かせません。特に中古物件の場合は、増改築した結果違法建築になっている場合もあります。
違法建築物件には、さまざまなリスクが伴います。不用意に違法建築物件をつかまないために、違法建築とは何か、また、購入前のチェックポイントについて知っておきましょう。
違法建築とは
違法建築とは、建築基準法およびこれに基づく法令や条例に違反して建っている建築物です。未登記の増改築がある物件なども違法建築になります。
違法建築で最も多いのは、建蔽率や容積率が規定をオーバーしている物件。建蔽率・容積率がオーバーしている物件のほとんどが建築後違法に増改築した物件ですが、なかには新築時に建築確認を取ったあと、確認図面とは違う物件を建てたという悪質なケースも見られます。
さらには建築確認も取らず、まったく法令を守らずに建物を建ててしまっているケースもあるので注意が必要です。
違法建築物件を取得してしまうリスク
違法建築物件を取得してしまうと、融資を受ける際と売却時に大きなリスクが生じます。
違法物件の購入に対しては基本的に銀行融資がつきにくくなります。銀行融資が受けられなければノンバンクなど高金利の融資を受けるか、自己資金で購入するしかありません。
一見利回りの高い物件でも、高金利で融資を受けていれば手元に残るキャッシュは減りますし、キャッシュアウトを伴うのであれば収益物件としての優位性はなくなります。売却する際も違法物件は買い手が付きにくく流動性が低いというリスクがあります。ネガティブな条件の多い違法建築物件は、購入しないのが賢明です。
違法建築を事前に見抜く方法
物件が違法建築かどうか購入前に見抜くには、物件の「確認済証」もしくは「検査済証」をチェックするのが一番です。
「確認済証」とは、建築物の工事に着手する前に、その計画が建築基準法に適合するかどうかを審査し、内容が確認された場合に発行される証書のこと。
「検査済証」は、工事途中の中間検査や工事完了時の完了検査で建物が建築基準法に適合しているかを確認し、合格した場合に発行される証書です。
「確認済証」はすべての物件にあるはずのものなので、これがない物件には原則的に手を出すべきではありません。「検査済証」の方はついていない物件も多く、特に木造建築の場合はほとんどないのが現状ですから、こちらはなくても大きな問題にはなりません。
また「重要事項説明書」の有無を確認し、ある場合はもらいます。きちんと署名捺印した重要事項説明書を受け取り、必ず口頭で説明を受けるようにしてください。
重要事項説明書では「対象物件に関する事項」と「取引条件に関する事項」を確認して、購入を検討する際に聞いた条件と異なる部分がないかをチェックします。
容積率・建蔽率オーバーの物件でも融資がでる物件もある?
例外的に、容積率・建蔽率がオーバーしていても違法建築にならないケースがあります。「既存不適格物件」がそれです。既存不適格物件は、建物建設当時には適法であったものが、その後法律が変わってしまって法令不適格となってしまった物件です。
この場合は違法建築ではないため、個別の事情によりますが、まずほとんどの金融機関で融資が受けられます。
どれほど収益性が高くても、法律に準じない違法建築物件にはさまざまなリスクが存在します。違法であるという時点で、収益物件としては致命的なマイナス。健全で有効な不動産投資を望むなら、違法建築とは何か理解の上、違法建築物件を購入しないよう注意しましょう。