中古の収益物件の購入を検討する際、物件資料として「レントロール(入居者一覧)」を渡されます。
レントロールはどんな点に注意して、どこをチェックすればいいのでしょうか? 現状で入居率が低い物件は、購入しない方が賢明なのでしょうか? 「入居率」と「レントロール」をプロはどう見るのか。ポイントをご紹介します。
物件購入前にレントロールを確認すべき理由
物件活用における収益とは、賃料(家賃)収入です。賃料収入は安定して毎月入ってくる代わりに、営業努力で売上げを大きく伸ばすこともできません。
だから、いくらの賃料で入居者が入るか(入っているか)が非常に重要です。物件の購入を検討する際は、現在のレントロールによる賃料収入が妥当かどうか、見極める必要があります。
そもそもレントロールで何がわかるの?
レントロールとは、賃貸物件における既存利用者の入居条件の一覧のこと。どの部屋を、どんな人が、いくらで借りているかという内訳です。レントロールを見れば現在の賃料収入(月額)が分かり、年額の賃料収入予定もわかります。
一般的に賃貸市場では、経年劣化によって賃料が低下します。同じ間取りの部屋で新築と築古があれば借り手は新築を選びますから、築古物件は賃料を下げるよう圧力がかかってきます。
つまり現在のレントロールで収益が出ているとしても、将来的に賃貸収入が下落する危険性があるのです。賃料収入の下落はそのまま物件価格の下落につながるので、レントロールを慎重にチェックして、賃料の下落要素がどの程度かを確認することが重要です。
レントロールはどんなところをチェックすべき?
まず「入居者の入居期間と賃料」、そして「入退去履歴」をチェックします。詳細に見て賃料水準の妥当性と、入居率に偽装がないかを確認します。
賃料水準は妥当か
入居者の入居期間を見ると、長年入居している人の賃料は、現在の賃料相場に比べて高くなっているはずです。
たとえば10年前から入居している102号室(賃料110,000円)の人が退去になった場合、賃料相場が10年間で75,000円になっているとしたら、次の入居者の募集時には35,000円もの賃料下落を考慮する必要があります。
このように、現在の賃料水準に引き直してみると、物件に表示されている利回りが妥当かどうかチェックできます。
また、法人契約で複数戸を長期間借り上げているような場合も注意が必要です。借り上げが続く限りは優良物件ですが、一斉解約や家賃の引き下げを要求されたりした場合は、収益に対する打撃が大きくなります。
怪しい入退去歴はないか
取引の現場では、稀に入居率の偽装が行われることがあります。知り合いなどを高めの賃料で入居させ、賃料収入を意図的に上げて「満室」物件として売却する手法です。
物件が売れてしまえば偽装入居者は退去するので、購入後いきなり空室が出ます。 そうなるとキャッシュフローが苦しくなるばかりか、次の募集で賃料が下がり、初期段階で物件価格が大きく下落することになります。
入居率の偽装を見抜くためには、入退去履歴を確認します。直近数カ月間の入居が不自然に多い場合は、偽装があるかもしれません。
事前にレントロールを確認して入居率の改善余地を探そう
レントロールの妥当性や近隣の家賃相場を確認するには、地元の賃貸仲介業者や管理会社に直接ヒアリングするのが確実。地元業者は物件の家賃相場や入居者の傾向、入居付けのしやすさなどの情報を把握しています。物件を購入したら、以後長く付き合うことになるかもしれないので、ヒアリングは直接訪問して行うのが基本です。
レントロールを見る上で重要なポイントは、「自らがオーナーとなった後に入居率を上げることができるか否か」です。現在の入居率が低ければ、原因を調べましょう。現状の経年劣化が入居不振の原因であれば、取得後リフォームあるいはリノベーションすることで、入居率アップは可能です。