不動産を購入するとなると、数干万から億単位の金額を借り入れすることになります。金利負担も多額になるので、借金は早く返済したほうがよいのでしようか。融資期間は何年以上にしたらよいのでしょうか。
答えは、最低15年、できれば20年以上キャッシュフローが回るように設定することが望ましいです。
収益物件の活用とは、ある意味で会社経営的な側面もあり、いかに倒産を防ぐか(つぶれないようにするか)という観点が重要です。そのため、資金調達においては三つのポイントを抑える必要があります。金利、借入期間、借入割合(額)です。
3点の説明を行う前に、結論として何が良い条件なのかを知る必要があります。それは、低金利で借入期間は長く、そして自己資金をなるべく使わないことです。金利が3%よりは1%のほうがいいことは誰にでも分かります。金利11コストなので、コストが下がるほど利益が大きくなるからです。しかし、期間を長くすること、そして借入割合を高めることは、金利を低くすることと同等かそれ以上に重要です。
借入期間を長くするのは、安定したキャッシュフローを得るため、つぶれない経営をするためです。借入期間が短いほどキャッシュフローはプラスになりにくくなります。なぜなら、毎月支払う元金と金利の合計が大きくなるからです。場合によっては損益計算書上の利益が出ているのにキャッシュフローが回らず「倒産」という事態にもなりかねません。物件の利回りにもよりますが、借入期間は最低でも15年、できれば20年以上は確保するべきです。極端な話、多少金利が高くなっても期間を延ばすという選択肢もあります。それほど「期限の利益」を得るということは重要です。
次に借入割合です。物件取得にかかる総額のうちいくらを借り入れるかという視点です。これはキャッシュフローの問題と手元流動性のバランスになります。自己資金を多く入れれば(つまり借入割合を下げれば)キャッシュフローはプラスが大きくなります。しかし、それでは収益物件活用の意味がなくなってしまいます。収益物件活用のメリットとして自己資金を使わずに行えるという点があることを本書の冒頭で説明しました。自己資金(手元流動性)はイザというときの備えや他の運用に使うことができるのです。また、仮に自己資金を多く入れなければキャッシュフローが回らないような物件は、その時点で問題があると判断もできます。
以上の3点をトータルで考えて、借り入れ条件を交渉する必要があります。