収益物件を購入する際、自己資金の割合をできるだけ減らし、フルローン、できればオーバーローンで融資を受けたいと考えています。今は、なかなかフルローンは出ないといわれていますが、どうすれば物件価格以上の融資を受けることができるのでしょうか?
物件価格以上の融資を受けるのに必要な条件は、物件の担保評価額+買主の信用貸し出し枠が、物件価格を上回っていることです。
◆担保評価と借り入れの関係
フルローン・オーバーローンを引ける物件=積算評価の高い物件。そう考えている人も多いでしょう。たしかに固定資産税評価額より売値が高い物件であれば、担保評価が高くなりフルローンが出やすくなるのは事実です。なぜなら、万が一借り主が返済不能の状況に陥った場合、金融機関は担保不動産を競売などで処分して資金を回収することになりますが、担保評価が高いほど、金融機関は多くの資金を回収できる可能性が高いからです。しかし、物件は必ずしも積算価格だけで評価されるのではありません。金融機関それぞれに評価の基準を持っていますが、収益還元法で判断する銀行もあれば、積算を重視する金融機関、両方を見る金融機関、それぞれです。そして出された評価額に応じて担保評価の額が算出されます。
◆信用での貸し出し
金融機関は担保評価の金額の範囲でしか融資をしないということではありません。金融機関の担保評価では、通常「掛け目」が入り、一般的には売買価格(市場価格)を上回ることはほとんどなく、売買価格の60~70%で評価されます。
前述の通り、金融機関は物件の担保評価だけではなく、借り主の属性に重きを置いて融資をします。どちらかといえば、この属性のほうが重要だということです。そして、物件の担保評価を超える範囲の融資は、「信用」での貸し出しとなります。つまり担保を取れていない部分の貸し出しということになります。
たとえば、1億円の物件を1億円の融資を受けて取得する場合、金融機関の担保評価が7000万円だとすれば、その差額である3000万円は借り主の信用での貸し出しということになります。この信用での貸し出しをどれだけできるかというのは、その個人の属性によって変わります。
極端な話をすれば、属性が良ければどんな物件でもフルローン、オーバーローンが出るのが現実です。実際、当社のお客様のなかにも物件にかかわらず必ずオーバーローンが出るという人が多数います。
ただし、原則は属性と物件の担保評価の掛け合わせで融資が行われるので、金融機関にとっては担保評価の高い物件のほうが貸しやすいのは事実です。
また余談ですが、金融機関は、自社での貸出額と、その人が受けている他の金融機関も含めた全体の借入総額という二つの視点で見ています。
まず自社の貸し出しですが、一人の相手先に対して総額いくらまで、信用額でいくらまでという基準を持っています。自社では貸し出しをしていなくてもすでに他の金融機関からの借り入れが多く、これ以上の借り入れはできない(させられない)という判断をされる場合もあります。これは総体での借り入れが限度にきているという状況です。それ以上の融資を受けるには、属性をさらに上げるか、資産の整理をして借り入れ枠を空ける必要があります。