日本では超低金利状態が長く続き、マイナス金利の導入により金利は史上最安値を記録しています。この水準で固定金利にしておいたほうがいいのか、より金利の安い変動金利を選択すべきなのか、どちらが良いでしょうか?
基本的には変動か短期(5年以下)の固定をおすすめします。
なぜかというと、20年などの長期固定金利を組んだ場合、途中で売却する場合には、違約金がかかるケースがあるからです。私が取引した中では、2億円弱の物件を取得するにあたり取得時に20年の固定金利を選択し、取得から5年目で売却したときに、1000万円程度の違約金がかかったという事例もあります。
違約金は取得時の金利と売却時の金利、さらには借入期間などによって決まるので一概にいくらとはいえませんが、途中売却の可能性がある場合、超長期の固定は売却の足かせとなるのは事実でしょう。収益物件は、マイホームと違って未来永劫持ち続けるものではありません。もちろん無理に売る必要はありませんが、そのときの状況によって、売却して利益確定したり資産を組み換えたりと、利益が最大化するように経営判断を下していく必要があります。
特に、個人で物件を取得するに当たっては、取得から5年超で長期譲渡になります。長期譲渡になれば譲渡益に対してかかる税率が約40%から20%に一気に下がるため、売却をするケースが多いのが事実です。つまり収益物件の活用においては5年というのが―つの区切りになるため、借入条件は変動もしくは5年以下の固定金利を選択するのが合理的といえるのです。
しかしながら、「金利が低いときには長期で固定のローンを組む」というのは、資産運用の鉄則でもあります。収益物件活用の最大の目的は、「副収入」「貯蓄」「生命保険」「節税」の4つの活用方法を通じて資産を守ることですが、「副収入」や「生命保険」をメインの目的に据えていて、将来的な売却を考えていない場合であれば、長期の固定金利を選択するのもいいでしょう。また地主さんのケースで多いのですが、先祖伝来の土地に収益物件を建築し絶対に売却はしないという案件もあります。このようなケースは現在の最低金利のときにできるだけ長期の固定金利を選択するというのは合理的な判断になります。