ある金融機関に収益物件への融資を申し込んだところ、担保評価が足りないので不足分の自己資金を入れるか、他に共同担保を入れてほしいと言われました。自己貨金はなるべく残しておきたいのですが、他の不勧産は自宅しかありません。共同担保は絶対に必要なものなのでしょうか?
取得物件だけを担保に入れ、共同担保はしないのが原則です。
◆共同担保とは
共同担保とは、一つの債権の担保として、複数の物の上に担保権を設定することをいいます。
具体的には、金融機関が収益物件への融資を実行するにあたって、融資対象の不動産だけでは担保価格と借り手の信用力だけでは融資希望額に満たない場合、不足分の自己資金を入れるか、他に所有する不動産を担保として差し入れることを求められることがあります。
つまり、担保(保全)の補完という意味合いがあります。また、それだけではなく自宅を共同担保に求める場合は、担保補完という意味合いよりはどちらかというと自宅を守るために返済を怠らないという精神的なコミットのために求めるというケースもあります。共同担保として求められるのは、自宅であったり、他の収益物件だったり様々です。
まず、前提として理解するべきなのは、収益物件の資金調達においては、原則として購入物件を担保に資金を調達するということです。他に担保を入れるというのは本筋ではないということです。そのため、共同担保を求められるということは、その物件の担保評価が極端に低いか、あるいは属性に問題があるかということが考えられます。ただし、一部の金融機関では物件や属性うんぬんの前に標準として共同担保を求める金融機関もあります。
◆金融機関との交渉が必要
金融機関は、確実に返済をして金利を払ってくれる優良顧客を求めています。そのため、あの手この手を使ってリスクを低減し、顧客を引き留めて借り換えされないような状況を作ろうとします。共同担保を求めるのも、その一例です。しかし、借りたい一心で、安易に条件をのまないように気をつけなければなりません。
共同担保は、いわば借金のカタにとられた人質のようなもので、融資を受ける側にとっては非常に不利な条件付けです。共同担保に取られた物件は、単独では売却や借り換えができなくなるため、長期的な経営計画が崩れてしまう可能性があります。金融機関にとっては一度付けた共同担保を外すメリットはないので、返済が進んでいても共同担保はなかなか外してくれません。共同担保を確実に外すには、別の担保を提供するか、債務を完済するしかありません。
収益物件活用で資産を構築していくためには、融資を受けながら物件の数を増やしていく必要があります。物件や取引先が増えるごとに、資金の振り分けバランスも考えなくてはいけません。
金融機関は、自社の利益のためにできるだけリスクなく貸付を行おうとします。しかし、特に共同担保を入れてしまうと、所有物件の権利関係が複雑になり、後々まで経営に影響しますので、自宅に限らず他の所有物件でも、できるだけ避けたいところです。どうしても共同担保を求められる場合は、いっそ他の金融機関を当たるか、他の物件を探すべきでしょう。
◆共同担保を提供しても借りたほうがいいケースはある
では、共同担保は絶対に断るかというと、ケースバイケースです。たとえば、自己資金はまったくないが借り入れもなく、自宅はある人の場合です。共同担保を入れることによってフルローン・オーバーローンの融資を受けられるのであれば検討すべきでしょう。手元資金がない人にとっては、ある意味共同担保を使わなければ収益物件の活用による資産運用ができないわけですから共同担保に応じるべきです。
その他は個別の判断になります。たとえば、自分がすでに持っている物件の隣に、この物件を買うことによって既存の物件と地続きになり価値が上がるからどうしても欲しいというケースでは共同担保でもなんでも入れて取得するという選択肢も出てきます。原則としては取得する物件を担保に入れることで資金調達をするのが収益物件の活用における基本ですが、共同担保という例外的な対応は個別のケースで判断するということです。