少子高齢化に伴って、高齢者が一人で住居を借りるケースが今後も増えていくと聞きますが、どうしても病気やケガ、あるいは死亡といったリスクがよぎってしまいます。
高齢者の孤独死リスクは、保険とセンサーを活用してヘッジすることをおすすめします。
高齢者を受け入れるにあたって考えておくべき最大のリスクは、やはり孤独死です。私の会社では年に10件前後の孤独死を経験していますが、その発見までの時間によってダメージは変わってきます。極端な話、死後一カ月以上経過していると大幅な工事が必要になりますが、1~2日であればそれほど問題になりません。ちなみに死後2カ月の腐乱死体が発見された部屋は、20㎡弱のワンルームでしたが、スケルトン工事に350万円ほどかかりました。そして次の入居者を入れるまでに半年ほどを要し、決まった家賃は従前の2割引という水準でした。
収益物件活用においては、自分のアパートで孤独死が起こり、かつ発見が遅れてしまえば、資産の大幅な毀損となるので絶対に防がなければなりません。発見に関しては運次第なところは正直ありますが、当社では巡回に力を入れ、できる限り頻繁に物件を見回るようにしています。これでも完全に孤独死を発見することはできませんが、やらないよりは効果的です。
孤独死に対するリスク管理としては、まず入居者保険があります。私の会社では提携する少額短期保険会社の孤独死に対応した入居者保険を利用しています。これは、万が一入居者が孤独死した場合、オーナーさんが孤独死によって被った損害の補伯を受けられる仕組みです。
孤独死が発見された場合、家賃保証分として最大200万円、原状回復費用相当分として100万円が補倍される、かなり手厚い保険です。これによって万が一孤独死が起こってしまっても、原状回復費用および家賃相当額が補償されることになります。
ただし、費用負担はオーナーさんで、1戸当たり3000円程度(1棟単位で加入)かかります。高齢者を入居させる場合には必ず加入することをおすすめします。
ただ、そうはいっても孤独死は未然に防ぎたいもの。高齢者の単身世帯にセンサーを付けるという方法もあります。費用は1台あたり大体4~5万円程度です。このセンサーは一定時間、人が動かなければ自動的に知らせる機能を備えているので、入居者の異変にいち早く気づくために有用です。行政によってはこのセンサーを付ける費用に補助を出しているところもあるので導入する際は確認したほうがよいでしょう。