先日入居したばかりの入居者の部屋から水漏れがあり、管理会社の対応が遅れたこともあってクレームがひどくなりその入居者が早期に退去してしまいました。今後このようなことを起こさないようにしたいのですが、何を注意すればよいでしょうか?
まずはクレームを起こさない体制づくりです。万が一起きた場合はとにかく素早く解決することが大切です。
収益物件活用においては、空室を埋めるという対応策と同様に、そもそもどうやって空室の発生を抑えるか(退去を少なくするか)という予防策がとても大切です。
新規の入居者の募集方法を考えるとともにどうやって空室を発生させないかという点です。現在は昔のように敷金・礼金が取れるわけではありません。原状回復費用も多くの部分でオーナーさん負担です。まして賃料は徐々に下がっていきます。さらに、新規の入居者を募集するには成果報酬で広告料として家賃の1~2カ月分がオーナーさんの出費として必要になってきます。
つまり入居者がころころ入れ替わる状況はオーナーさんにとって不利益でしかなく、長く住んでもらうことが利益に直結していくということです。
そして、退去の理由を分析すると大きく二つに分かれることが分かります。一つはやむを得ない退去です。これは結婚や就職、転職、入学等ライフスタイルの変化に伴う転居です。これは防ぎようがありません。
一方で、仕方がないとはいえない退去があります。それは物件および管理に対する不満による退去です。私の会社では8000戸の管理をしていますが、正直過去にはこのような退去が多くありました。ある方法でそれを現在は基本的にゼロまで持っていくことに成功しましたが、ご理解をいただきたいのは、入居者の居住年数を長くしなければオーナーさんの利益最大化にはつながらないということです。そのためには、不満による退去を極限まで減らす必要があります。
◆まずはクレームの起きない部屋づくり
では、まずクレームが起きない体制づくりから解説します。クレームは基本的には商品の不具合によって発生します。オーナーさんにとって商品は物件です。この商品が不十分な状態で入居者に貸してしまっているためにクレームは発生します。
このために、当社では、原状同復を一律のやり方で行うとともに、一律のビルメンテナンス、清掃を導入しています。以前はオーナーさんのやりたいように原状回復を行っていました。極端な話、多少汚れていても清掃のみで済ませてしまうオーナーさんもいれば、フルリフォームするオーナーさんもいてまちまちの状態でした。このような状態で入居者を入れると、特にお金をかけないオーナーさんの物件からは必ずと言っていいほど入居後にクレームが発生していました。それを当社一律の原状回復工事を行うことで質が一定になり、一気にクレームがなくなったのです。
万が一クレームが起きたときの体制も重要になります。クレームが起きたときに対応が遅くなることで二次クレームになり、それが退去の原因になってしまうことが過去に多々ありました。これは他の業界も同じではないでしょうか。対応の遅さにお客様が怒ってしまい、より大きなクレームに発展するというパターンです。
まずはクレームを起こさない仕組みづくり、そして万が一起きた場合にはその場で迅速に対応(解決)する仕組みづくり。これによって入居者の満足度を高めること、不満を極カゼロにして入居年数を伸ばすことがオーナー利益の最大化につながります。