貨貸経営をしていると、入退居の度に原状回復費用がかかりますし、場合によっては大がかりなリフォームも必要です。お金をかければ綺麗になりますが、その分収益が圧迫されてしまいます。適切なリフォーム&原状回復費用の見極め方を教えてください。
工事は、費用対効果で判断するのが基本です。(自己満足でやってはいけない)
◆「復旧工事』と「アップグレード工事」
収益物件のリフォームは、費用対効果を考えて行うのが基本です。ここが自宅等の実需不動産との大きな違いです。実需不動産に関しては自己満足の世界です。大理石を使う、豪華な外国製システムキッチンを入れる等々。しかし収益物件はあくまでも投資ですので、その工事でどれだけの効果があるかという視点が原則になります。具体的には、不具合を正常化する「復旧工事」と、物件の価値向上を目的とした「アップグレード工事」の二種類に分けて考えます。
「復旧工事」はマイナスをゼロに戻すものです。「アップグレード工事」は文字通り。プラスアルファを求め、賃料の維持またはアップを狙います。その工事をやる、やらないという判断ではなく、やらなければ物件を運営できないものが復旧工事」だと考えてください。ただし、「復旧工事」においても「費用対効果」の視点は重要なのでコストを抑える工夫は必要です。
一方の「アップグレード工事」は、「復旧工事」と異なり、必ず行わなければいけないものではなく、費用対効果を考えて、やるかやらないかを判断します。
たとえば、キッチンを替えた場合に、現状のままと交換した場合とで比較し、どういった効果が得られるのかをきちんと考える必要があります。賃料アップなどに効果が表れなければ、無意味なリフォーム(支出)となってしまいます。工事を行う場合には、まずそれが「復旧工事」なのか、それとも「アップグレード工事」に該当するのかをしつかりと考えたうえで実行することが大切です。